第3回 中国のゼロコロナ政策失敗で、中国以上に割を食うのが日本である理由【米国不動産のプロが解説】

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第3回 中国のゼロコロナ政策失敗で、中国以上に割を食うのが日本である理由【米国不動産のプロが解説】

ここ数年の不動産投資ブームにより、大金持ちと言われる富裕層に限らず、一般の企業に勤める会社員や医師、公務員なども不動産投資ができる環境になりつつあります。中でも、経済成長を続ける米国の不動産は、長期保有の分散投資先として注目を集めています。そんな米国不動産にまつわる経済事情を、マーケット情報に強いチーフストラテジストに解説していただきます。

本記事は、2022年4月26日執筆時点の、オープンハウス様よりご提供いただいた情報になります。

ゼロコロナ政策も虚しく、中国各都市で続出するロックダウン。その煽りは日本にも……

かねてから、現実的ではないと指摘されてきた中国のゼロコロナ政策ですが、いよいよ限界を迎えようとしています。

感染者がごく少数見つかっただけで(場合によってはたった1名でも!)、都市をロックダウンさせるというシビアな感染防止策を取って来た中国政府。しかし、感染力の高い変異株の猛威を防ぎ切ることはできず、4月18日時点で22もの都市/地域がロックダウンに追いやられています。上海では、陽性認定者が40万超に達するなど、ゼロコロナ政策を継続するのはもはや不可能と言っていいでしょう。

しかし我々日本人にとって、この状況は対岸の火事ではありません。それどころか、被る経済ダメージは中国本国よりも日本の方が大きいとすら言えます。今回は、中国のゼロコロナ政策失敗が日本経済に何をもたらすのかを考えてみます。

中国のロックダウンで、日本の原材料や部品の供給が断たれる

中国は今や世界のサプライチェーンの中心的存在です。輸入総額こそアメリカにわずかに及ばず世界2位ですが、輸入額および輸出入を足し合わせた貿易総額では世界1位(いずれも、2020年の順位)。その中国が経済活動を自粛すれば、世界規模で物品の過不足が発生することは避けられません。

その際、最も割を食うのは日本です。日本にとって中国は、輸出入の双方で一番の貿易相手国です。その金額とシェアは、輸出が約15兆円で全体の22.0%、輸入が約17.5兆円で25.8%(いずれも2020年の実績)。それぞれ約4分の1を占めており、この金額が激減するとなると、貿易ビジネスには大きな痛手です。しかし、本当に恐ろしいのはここからです。問題の本質は金額ではなく、その中身にあるのです。


日本は資源が乏しいため、各種製造業で用いる原材料を国内で賄うことができません。また、人件費も安くない(高いとも言えないのが悲しいところですが……)国ですから、加工の精度や特殊な仕様が求められない部品や機械パーツは、人件費が抑えられる海外で製造しています。これらの素材や中間財(部品や機械パーツ)に対し、高い技術力や企画力、ホスピタリティーなどで付加価値を加え、それを国内外で高く売るのが日本の製造業の勝ちパターンです。そして、その素材や中間財の主な供給源こそ、ほかでもない中国なのです。

木材加工業を営むお客様から聞いた、現場の切迫感。

私の本業は米国不動産の売買コンサルティングなのですが、先日その商談でとある木材加工会社の経営者さんとお話する機会がありました。そこでここに書いたようなゼロコロナ政策に関する懸念についてお話したところ、大いに共感していただけました。

その企業でも、もともと中国産の加工木材を使用していたそうなのですが、私と同じようにゼロコロナ政策に不安を覚え、数ヶ月前からベトナムの加工木材に切り替えられたとのこと。ベトナムにはツテもなく、サプライヤー探しにはずいぶん苦労されたそうですが、おかげで現在は大きな心配ごとなく事業を継続できているようでした。「他社は中国で一次加工されている材料を使っているところがほとんどで、今はみんな青い顔をしている」とおっしゃっていました。

俺は製造業じゃないから関係ないぞとお思いの方も、安心してはいられません。ゼロコロナ政策失敗の影響が著しく大きくなった場合の、最悪のシナリオはこうです。

  1. 中国国内の生産網や物流網がストップする
  2. 日本に素材や中間財が入ってこなくなる。
  3. 日本の製造業が、ものを作れなくなる。
  4. 売り物がなくなり、製造業の業績が悪化。雇用にも影響が出る。
  5. 一部の物品が品薄になり、価格が高騰する。市民生活にも影響が出る。
  6. 輸出量も減り、貿易赤字が悪化。外貨獲得手段が減少し、円安がますます進行。

ここまで来ると、国民全員に影響が出ます。警戒するに越したことはないでしょう。

「日本以外も総崩れ」にはならない理由

中国は世界一の輸出国ですから、日本以外にも中国への依存度が高い国はいくらでもあります。それらの国も日本と同じくらい影響を受けるのなら一人負けにはならずに済むのですが、生憎、日本ほど影響を受ける国はなさそうです。

まず、当事者である中国はどうでしょうか? 輸出売上が無くなることの負の影響はさぞや大きいだろうと思いきや、案外そうでもなさそうです。なぜなら、売上は無くなるのではなく、遅れるだけだからです。 中国からの輸出が止まると、各国は別の供給源を探すでしょうが、条件の合うサプライヤーはそう簡単には見つかりません。価格やクオリティーはともかく、物量の面で中国の代わりを務められる国はまず見当たらないからです。結局、顧客のほとんどは中国の経済活動を待つしかなく、売上も戻ってくるのです。ダメージと言えば政府が営業停止期間分の税収を失うくらいのものでしょう。

次に、対中輸入比率(2017年)で上位の国は、北朝鮮、香港、カンボジア、マカオ、キルギスなどですが、これらの国々は工業国ではありません。輸入品目も、そのまま販売・使用する最終財が多く、小売業への影響が中心になると予想できます。多少の痛手となりますが、産業構造や雇用が大規模に破壊されることはないでしょう。しかも、です。中国はあのロシアを制裁しないため、ロシアからの資源を無制限に格安で買い付けることができるのです。

最後に、中国との貿易額が最大の国はアメリカ。アメリカにとっても中国は最大の輸入相手国で、そのシェアは2019年実績で18.1%と、なかなか高い数字です。が、アメリカは日本と違い、国内の生産網が強く、輸入への依存度が日本よりも圧倒的に低いことで知られます。資源産出国で、国内の労働力も豊富。コロナ禍からの回復の兆しが見えるやいなや、アグレッシブに雇用を増やしたこともあり、中国からの輸入減を国内生産でカバーする体力があります。

ロシアへの経済制裁の煽りを食らう、あの国に似た状況

この状況は、ある意味ドイツと似ています。EUのなかでもロシアへの依存度が高く、かつ工業国であるドイツは、ロシアからのエネルギー資源輸入が止まることで大打撃を受けるとされています。代替供給源はG7が確保するとされている分、日本よりマシな状況かもしれませんが、エネルギー価格が上昇するのは間違いなく、ドイツの主要産業である自動車メーカーや機械メーカーに大きな影響が出るでしょう。

ポーランドやスロバキア、ハンガリーなどもロシアからのエネルギー輸入が多い国ですが、これらの国は産業用途でのエネルギー消費が少ないため、家庭用の電気代などが跳ね上がる程度で済むと言われています。また、多くの家庭では今でも薪ストーブが現役とも言われ、国民達が工夫することで難局も乗り切れるでしょう。

日本とドイツの類似性を見ると高リスクの要因は、旧社会主義国家と隣接する、高度に工業化された、輸入依存国という点にありそうです。国の位置関係は変えられませんし、高い技術力という武器を捨てるのもナンセンスです。そうなると、輸入元ポートフォリオを分散するというのが今後の有力な対応策になるのかもしれません。投資も国家運営も、リスク分散が大事という点では同じですね。

米国不動産について詳しく知りたい方は、こちらのセミナーにご参加ください。

※本セミナーは当社が開催するものではございません。また当社はインターネットを介した店頭デリバティブ取引事業を行う会社であり、不動産投資事業および不動産金融事業を行っているわけではございません。

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sakou.jpg浅井 聡 氏
株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部にて、米国不動産をお持ちのお客様やご購入検討中のお客様に、金融と不動産を併せた投資アドバイスや融資利用の事前相談、マーケット情報をご提供させていただくチーフストラテジスト。 20年の銀行勤務経験を活かして、自身でも独立したオフィス(リーガルコンサルティング行政書士事務所(川崎市))を持ち、海外ファンド投資やオフショア保険・銀行口座のメンテナンス交渉代行から相続手続きまで幅広くこなす。京都系辛口アドバイザー。

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 第3回 中国のゼロコロナ政策失敗で、中国以上に割を食うのが日本である理由【米国不動産のプロが解説】

第3回 中国のゼロコロナ政策失敗で 中国以上に割を食うのが日本である理由

中国政府がIT技術をガバナンスに積極的に取り入れる理由として、膨大な行政組織の効率向上が挙げられる。改革開放以後、政府は一貫してこの課題に取り組んでおり、度重なる行政組織の再編と制度改革を行った。しかし、組織の規模が大きいうえ、利害関係も複雑であることから、改革には限界があった。そこで注目されたのがIT技術である。ここでいうIT技術は顔認識機能付きの監視カメラの話ではなく、行政組織のなかにおけるビッグデータの構築の話である。

この時期に中央政府は「一つの窓口、ワンストップサービス」という非常に高い目標を掲げている。目標を実現するためには、政府の各部門間の連携強化だけではなく、さまざまなデータの共有が求められる。しかし、中国の行政組織は、タテ割り・ヨコ割り行政の弊害で常に悩まされており、その壁を乗り越えるのは容易ではない。そこで、注目されたのがIT技術である。

90年代の後半になると、広東省、浙江省などでは総合窓口を設置する試みがなされた。しかし、これは地域住民へのサービスを目的としたものではなく、外資誘致のためのものであった。外資系企業が中国で工場を設立するには、さまざまな審査手続きが必要であったので、そのニーズに特化した総合窓口が設立されたのである。

12月23日、西安で事実上のロックダウンが始まった。食料の確保も困難になるほど厳しい行動制限が課せられた。ところが1月1日、妊娠8カ月の女性が、検査陰性証明の有効期限がわずか4時間ほど切れていたため診療を拒否され、氷点下のなか病院の外で待たされ死産してしまうという痛ましい事件が起きた。この悲劇に中国のネット上では行き過ぎた行動制限を非難する声が高まった。西安市衛生健康委員会のトップは女性への謝罪に追い込まれ、さらに関係者が処分されるに至ったが、市民の怒りは収まらなかった。

中国では「ゼロコロナ」政策によって、上海や深セン、北京などの主要都市でロックダウン(都市封鎖)が敷かれた。これにより、サプライチェーン(供給網)や物流網が混乱したほか、消費を抑制し同国の経済全体に影響を及ぼした。22年4〜6月期の中国スマホ出荷台数は前年同期比10%減少した。

第1に、武漢モデルが中国のコロナ対策における標準的な方策となり、中国の閉じられた言論空間でその成果が反響し、増幅され、成功物語として語られるようになったこと。価値観の似た者同士で交流し、共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ、いわゆるエコーチェンバー現象である。

中国は今や世界のサプライチェーンの中心的存在です。輸入総額こそアメリカにわずかに及ばず世界2位ですが、輸入額および輸出入を足し合わせた貿易総額では世界1位(いずれも、2020年の順位)。その中国が経済活動を自粛すれば、世界規模で物品の過不足が発生することは避けられません。 その際、最も割を食うのは日本です。日本にとって中国は、輸出入の双方で一番の貿易相手国です。その金額とシェアは、輸出が約15兆円で全体の22.0%、輸入が約17.5兆円で25.8%(いずれも2020年の実績)。それぞれ約4分の1を占めており、この金額が激減するとなると、貿易ビジネスには大きな痛手です。しかし、本当に恐ろしいのはここからです。問題の本質は金額ではなく、その中身にあるのです。

それに加えて、今回のゼロコロナ政策が、人々の動線を押さえ込んでしまった。経済活動の低下などに伴い、中国からの資金流出が増え始めた。現在、共産党政権は必死になって資金流出を食い止めているとみられる。今後、人民元の下落懸念の高まりによって、中国経済の厳しさは増すだろう。

中国では毎年6月18日までの数週間、同国最大級のネット通販セール「618セール」が開催される。アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は、22年7月28日の決算発表でこのイベントについて触れ、「都市の再開に加え、6月18日に最高潮に達するセールが回復につながった」と述べた。

中国では22年6月初旬に、上海や北京などでロックダウン措置の緩和が始まった。これにより、22年4〜6月期におけるiPhoneの販売増は6月に集中した。UBSのアナリストは、22年6月のiPhone販売台数は前年同月の3.3倍に達したと推計している。

人口1300万人の西安では昨年12月からデルタ株の感染が拡大し、1カ月で2000人以上の新規感染者が報告された。これは中国では2020年1月の武漢以来となる大規模な感染拡大であった。

共産党政権によるやや強引なゼロコロナ政策によって、中国の経済活動が低下している。国家統計局が発表した、4月の購買担当者景況感指数(PMI)の大幅な悪化が示す通りだ。習近平政権のゼロコロナ政策に潜むリスクは小さくはない。不動産市況の悪化やIT先端企業への締め付けなど、これまでに顕在化した負の影響は深刻化している。

ウイルスとの闘いは、時間との闘いでもあるが、これらの特定と検査は、わずか1日で終えられている。上海は、2022年の2月末まではこのような「デジタル・ガバナンス」が功を奏し、全市民を対象とした大規模なPCR検査を実施することなく、中国に飛来する国際航空便のうち、約4割の受け入れを担っているにもかかわらず、市中での感染拡大を防いできた。

こうした「武漢モデル」(人民網日本語版)は新規感染者数を低い水準に保ち、中国各地で展開されてきた。ローカルな自治組織である社区レベルでの住民監視も、感染制御を支えた。

上海におけるロックダウンの期間は、当初想定の約4日間から大幅な延長を余儀なくされ、実質2か月以上となった。様々な面に影響を及ぼし、上海のコロナ対策には多くの教訓が残った。一方で、深圳のように感染拡大を短期間で食い止めた都市もあることから、中国の「ダイナミック・ゼロコロナ」政策は感染の抑止という点で、上海だけを見て一概に失敗しているとは言えない。深圳は感染者の行動経路調査の限界を察知し、ロックダウンと全市民のPCR検査に早期に踏み切ったことでコロナの封じ込めに成功し、上海との明暗が分かれた。本稿が注目している「デジタル・ガバナンス」は、あくまで中国のコロナ対策を支える手段の一つであり、他の政策と組み合わせて初めて機能すると言えよう。

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