市場機能低下か 10年債売買未成立

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市場機能低下か 10年債売買未成立
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 市場機能低下か 10年債売買未成立

市場機能低下か 10年債売買未成立

以上、流動性の高い国債市場の持つ意義について、3つの角度から御説明してまいりました。ただ、誤解なきように急いで付け加えておきますと、私は、こうした目的のために、国債の発行を増やすべきだということを主張しているのではありません。国債の発行額をどうするかは、その時々の経済情勢を踏まえた財政政策や財政構造改革といった視点から十分慎重に検討されるべき問題です。私が、この場で申し上げたいことは、リスクフリーの金融資産について、十分流動性の高い市場が存在することの国民経済的な意義ということです。仮に、国債が僅少であれば、それに代わる仕組みを構築していく必要がありますし、市場は、デリバティブズの技術を駆使して、そうした機能を近似できるようなイノベーションが実現するかもしれません。しかし、現実には、主要先進国において、国債市場はもっとも規模が大きく、もっとも重要な金融商品として機能しています。国債市場が存在している以上、その機能を高めることは、政府や中央銀行、あるいは国債の投資家だけでなく、一国の金融市場や金融システム全体に、たいへん大きなメリットを及ぼすのです。

このように、流動性の高いリスクフリー資産の市場が存在することは、個々の市場参加者にリスクヘッジ手段を提供するだけでなく、一国の金融システムが安定的に機能するための重要な前提ともいえるのです。

国債決済インフラの運営という面では、例えば国債の多様化を図ったり、税制を変更する場合、必ず私どもの事務やシステムの変更を伴い、これは、場合によっては非常に大きな作業となりますが、私どもとしては、こうしたインフラ整備について最優先で取り組んできたところです。また、こうしたインフラの提供ということに止まらず、その整備の過程では、例えばDVP(Delivery versus Payment:資金と証券の同時受け渡し)や決済期間の短縮といった機能拡充、市場慣行整備も推進して参りました。現在は、2000年末までのRTGS(Real Time Gross Settlement)の導入に向けて、システム対応に全力をあげると同時に、市場参加者とともに、新たな市場慣行の形成に向けて検討を急いでおります。

次に、流動性の向上という観点からみた国債市場改革のポイントについて、述べることとします。

こうしたそれぞれの立場から、私どもは、これまでもわが国国債市場の機能向上という課題には強い関心を持ち、大きな努力を傾注してまいりました。例えばオペレーションの主体という立場からは、96年に導入されたレポ市場の発達にあわせてレポ市場でのオペレーションを開始したほか、また、この春のFB公募入札化にあわせて短期国債オペを新しい時代にふさわしく衣更えしました。また、長期国債のオペレーションについても、銘柄選定の手法などに工夫を凝らし、できるだけ市場の円滑な機能に配意し、マーケットフレンドリーなオペレーションに心掛けています。

国債市場のもつ情報価値はこうしたマクロ経済分析の範囲に止まるものではありません。金融システムの安定を図るうえで、個別の企業や金融機関、あるいは日本の金融システム全体の信用リスクを市場がどのように評価しているか、市場におけるリスクの分布状況はどうなっているか、といったことは大事な判断材料になります。この点、様々な金融商品の利回りとリスクフリーの利回りの格差、つまりクレジット・スプレッドの水準やその変動を分析することにより、貴重な情報を得ることができます。こうした面でも、信用リスクをうまく分離する手法が適用できるかどうか、そのために、国債市場のイールド・カーブが適切なベンチマークとして機能してくれるかどうか、ということが不可欠の前提となります。

第2に、海外における市場改革の流れをみると、市場関係者や学界も含めた活発な調査・研究を通じて市場構造の問題点が明らかにされ、それが具体的な改革につながっていく事例が多いということです。実際、市場改革というテーマは、皆様方研究者と私ども実務家との間で実りある交流が期待でき、また、それが現実の改革の推進力となりうる分野のひとつではないかと思います。私どもは、引続き、研究と実践の協力の場で、そうした活動の触媒としての役割も果たしていきたいと考えておりますし、この分野における学会での研究の進展を強くお願い申し上げまして、私のお話を終えることとします。

また、一昨年のアジア通貨・金融危機において、各金融市場の市場流動性が枯渇し、危機を増幅する結果となりましたが、平時から流動性が高く相対的にリスクの低い市場が機能していれば、こうした事態はいく分か緩和された可能性が大きいと考えられます。例えば、何らかの理由により、ある国の民間金融機関から資金が引き揚げられるような場合でも、流動性の高い国債市場が資金の待避先として機能すれば、金融市場全体や為替市場に与える影響は小さくなるはずです。実際、こうした経験を踏まえ、エマージング諸国においては、国債市場の創設や市場整備が重要な取組課題となっています。

昨年秋に、日本の金融システムに対する不安が高まる中で、金融機関の外貨調達が非常に困難化し、いわゆるジャパン・プレミアムが大きく拡大しました。このとき、日本の金融機関は、直物市場で円売り・ドル買いを行い、先物市場でその逆のオペレーションを行なう、いわゆるスワップ円投でドル資金を調達しました。海外の金融機関がこうした取引に応じようとする場合、入手した円資金を安全確実に運用できる市場が必要になります。昨年のような金融不安が高まっている時期に、そうした運用の対象となり得るのは、短期の国債、つまりFBやTBということになります。しかし、当時のわが国の短期国債市場は、まだFBの公募入札前で市場規模が小さく、海外からの円資金運用ニーズに十分こたえるものではありませんでした。このことは、ジャパンプレミアムを一層大きくさせる一因となったと考えられます。

1998年暮れから1999年2月にかけての長期金利の急騰を直接の契機に、発行市場、流通市場、決済システム面での改革が進められてきた結果、わが国国債市場を支える制度インフラは欧米諸国との対比でも遜色の無い程度に整備されてきた。 【図表第13を参照】 IVで指摘するように引き続き改革を進める必要があるが、同時に、市場参加者などが、これまでの改革の成果を活かし、国債清算機関を速やかに設立するとともに、社内外のインフラ整備に努め、STP(Straight-Through Processing)化やT+0レポ取引の活発化を急ぐことが望まれる。

また、国債利子にかかる税制のあり方も大きな検討課題です。例えば源泉徴収制度の存在は、売り手と買い手との間で経過利子にかかる税額を調整する必要が生じ、これ自体が大きな取引コストとなります。また、保有主体によって源泉徴収の適用、不適用が分れていると、保有主体の相違により市場が分断され、その分、市場全体の流動性は低下せざるを得ません。実際、わが国の国債市場には、源泉徴収の対象となる一般法人の参加は非常に僅少に止まっています。このほか、例えば、ストリッピング、つまり国債の元本とクーポンをばらばらに切り離して行なう取引を導入しようとする場合も、源泉徴収制度の見直しが必要になるなど、税制は国債市場のあり方に様々な影響を与えています。

第2の特徴は、現物国債の流動性が特定のゾーンに集中していることです。海外主要国の国債市場では、ビッド・アスク・スプレッドでみた市場流動性は、期間が長くなると低下する傾向がありますが、日本では、期間7年から10年のいわゆる長期ゾーンのビッド・アスク・スプレッドが一番小さくなっています。また、発行年限別の売買高を日米で比べても、日本は長期ゾーンへの集中が顕著です。また、日本の国債市場のベンチマークは10年債にしか存在しませんが、海外では、例えば、1年、5年、10年といったキーマチュリティごとにベンチマーク銘柄が存在し、国債利回りの円滑なイールドカーブを得ることが可能になっています。わが国では、国債の新規発行に占める10年債の割合が高く、相対的に短期債、中期債の発行が少なかったことが、こうした流動性集中の主因となっているとみられます。

さて、これまで申し述べてきたような国債市場の流動性を高めるための措置は、すべて、日本銀行の業務と深い関連を持っております。そこで、日本銀行と国債市場のかかわりについて、ひとこと述べておきたいと思います。

中期的な財政の見通しとしては、経済財政諮問会議の「中期展望」や財務省による「予算の後年度歳出・歳入への影響試算」、「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」が示されている。しかし、社会保障関係費の増大を中心に歳出の増嵩が見込まれること、増税などの財源調達方法に関するコンセンサスが未形成であることなどを背景に、国債発行額及び国債残高を持続可能な水準に抑制できるか否かについて、不安が根強くある。このような問題意識から、日本経団連では、予ねてから、国・地方を通じた歳出構造改革、社会保障制度改革、税制改革などの内容・スケジュールなどを一体的に明らかにする財政構造改革に係るグランドデザインの策定の必要性を指摘し、「経済・財政等のグランドデザインの策定と当面の財政運営について」(2000年10月)、「活力と魅力溢れる日本をめざして」(2003年1月)において、独自のシミュレーション結果を公表してきた。政府が、こうした民間の作業も参考に、財政構造改革に係るグランドデザインの策定に速やかに着手することが望まれる。

郵貯、簡保資金の中期の資金運用計画については、日本郵政公社設立会議ならびに郵政審議会の議決、財務大臣との協議を経て総務大臣の認可を得ている。また、年金資金については、厚生労働大臣の定めた基本指針に基づいて運用を行っており、先般、社会保障審議会資金運用分科会が、特に株式を含む分散投資の是非について改めて検討し、株式運用の継続は適当であるとの結論を得ている。 郵貯、簡保、年金資金は巨額なだけに、その中期的な運用方針は、証券市場に大きな影響を及ぼす。既に関係府省で結論を得ているとは言え、例えば、株式市場が低迷を続ける中で株式運用比率の速やかな引き上げを求める意見があり、他方、郵貯資金による非市場性国債の購入や年金資金の国債運用比率引き上げといった意見も根強くあることも無視できない。経済財政諮問会議では、2003年の審議事項として「資金の流れの改革(郵政、政策金融、特殊法人、年金の諸改革の具体化などを踏まえた資金フローのあり方等)」を挙げており、こうした審議を通じて、郵貯、簡保、年金資金の中期的な運用のあり方について国民的コンセンサスが形成されることを期待する。

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