ドル/円の1月見通し「FRB利下げ転換と日銀緩和修正の思惑」

FXブログ
ドル/円の1月見通し「FRB利下げ転換と日銀緩和修正の思惑」

【外為総研 House View】

f:id:gaitamesk:20190814134002p:plain

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月のドル/円ポジション動向
・1月の日・米注目イベント
・ドル/円 1月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 12月の推移

12月のドル/円相場は130.577~138.172円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約5.1%下落した(ドル安・円高)。

米国の利上げペースダウン観測で大幅にドルが下落した前月の流れを引き継いで1日から売りが優勢となった。2日に発表された米11月雇用統計は予想を上回る強い結果となったがドルの押し上げには至らなかった。その後、自律的にやや値を戻したが、米11月消費者物価指数(CPI)の鈍化を確認すると再びドルの上値は重くなった。

15日にはリスク回避のドル買いで138円台を回復する場面もあったが、20日に日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)の許容変動幅を拡大すると、事実上の利上げと受け止められ円が急伸。8月以来の安値となる130.58円前後まで下値を拡大した。クリスマス休暇の前後でショートカバーが入ったものの、134円台で一巡。30日には日銀が1月会合で物価見通しを上方修正するとの観測報道で再び130円台に下落して131.11円前後で2022年の取引を終えた。

ドル/円 12月の推移

ドル/円 12月の4本値
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
米10月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+6.0%、同コアPCEデフレーターは前年比+5.0%といずれも予想通りに前月から伸びが鈍化した。米11月ISM製造業景気指数は49.0と予想(49.7)に届かず、好不況の分岐点である50.0を2年半ぶりに下回った。内訳の構成指数では新規受注が49.2から47.2、雇用も50.0から48.4へと低下した。

2日
米11月雇用統計は、非農業部門雇用者数が26.3万人増となり、前月(28.4万人増)から増加幅が縮小したものの、予想(20.0万人増)を上回った。失業率は3.7%と予想と一致。労働参加率は62.1%とわずかに低下した(前回62.2%)。平均時給は前月比+0.6%、前年比+5.1%と予想(+0.3%、+4.6%)を上回る伸びとなった。

13日
米11月CPIは前月比+0.1%、前年比+7.1%と予想(+0.3%、+7.3%)を下回った。食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比+6.0%と予想(+6.1%)を下回り、前月(+6.3%)から減速した。インフレの鈍化傾向が続いていることが示される結果となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が比較的早い時期に利上げを停止するとの観測が強まった。これを受け米長期金利が急低下するとドル/円も2円超急落した。

14日
米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を予想通り50bp(0.50%ポイント)引き上げて4.25-4.50%とした。声明では「インフレ率は依然として高水準にある」とした上で「政策金利の継続的な引き上げが適切になると見込む」と表明。同時に公表した政策金利見通し(ドットチャート)では2023年末の予想中央値が5.125%に引き上げられた(前回4.625%)。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「インフレ率が持続的な形で目標の2%へと低下していると確信するまで利下げが検討されることはない」「景気抑制的な政策スタンスは当面必要になるだろう」として市場にくすぶる2023年後半の利下げ観測をけん制。利上げのスピードについては最重要問題ではないとし「FOMCの2023年予想金利がピーク金利を意味する」と指摘した。

20日
日銀は金融政策の現状維持を全員一致で決定したものの、YCCの長期金利の許容変動幅を0.25%程度から0.50%程度へ拡大すると発表。市場は事実上の利上げと受け止め円買いが活発化した。ドル/円は約20分で4円以上急落。日経平均株価は一時800円超下落した他、債券先物は一時サーキットブレーカーが発動されるなど、金融市場は大きく混乱した。黒田日銀総裁は定例会見で長期金利の許容変動幅拡大を決定したことについて、金融緩和を円滑に進めていくための対応であり、利上げでも政策変更でもないと説明。また「景気にマイナスにならないし引き締めでもない」と強調した。今後については「さらなる変動幅拡大は必要ないし、今のところ考えていない」と述べた。また、一部で話題となった政府・日銀の共同声明の改定については「見直すつもりはない」と否定した。しかし、円買いには歯止めがかからなかった。

23日
米11月PCEデフレーターは前年比+5.5%と予想と一致。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+4.7%と予想(+4.6%)をやや上回った。

30日
年内最終日のNY市場中盤、日経新聞が31日付の記事として「日銀、物価見通し引き上げへ緩和修正圧力も」とする観測報道を配信。これを受けて円買いが強まる場面があった。

12月の各市場

米国債債利回り(2年、10年)

日経平均、NYダウ平均

12月のドル/円ポジション動向

12月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

1月の日・米注目イベント

1月の日・米注目イベント

ドル/円 1月の見通し

2023年のドル/円相場は、年始早々に一時130円台を割り込むなど売りが先行。①米国の景気後退(リセッション)局面入りは避けられず、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが年前半に打ち止めとなり、年後半には利下げに転じるとの思惑が広がっている。②日銀は4月に予定されている黒田総裁の退任後に大規模緩和を修正するとの思惑が根強い。つまり、これまで引き締めを強化してきたFRBがハト派に転じる一方、これまで頑なに金融緩和を維持してきた日銀がタカ派化するという2つの思惑がドル安・円高の流れを強めていると考えられる。

こうした市場の憶測が正しいかどうかはともかく、目先的にこれらを払拭するだけの有力な手掛かりが乏しいことは事実であろう。1月のドル/円相場は上値の重い展開が続きそうだ。

ただ、ドル/円相場は昨年10月高値(151.94円前後)から、わずか2カ月余りで20円前後も反落しており、ここからの下落余地はそれほど大きくないと見ておきたい。1月3日に付けた直近安値の129.51円前後を下抜ければ下げ足を速める可能性もあるが、長期トレンドラインの52週移動平均線や、2022年の上げ幅の半値押し水準が132円台に位置していることを踏まえると、この水準を大幅に下放れる公算は小さいだろう。

(予想レンジ:127.500~136.500円)

 
kanda.jpg

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。

●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル ドル/円の1月見通し「FRB利下げ転換と日銀緩和修正の思惑」

市中に出回るマネーも毎月1200億ドル増えていた

たとえ為替介入が実施されたとしても、米長期金利がさらに上昇すれば、円安は進むだろう。2022年初からの米金利上昇に対するドル円レートの感応度を計算すると、長期金利1%に対して、円安が16円ほど進んでいた。介入の防衛ラインが145円に設定されていても、米長期金利が4.0%に上がると、計算上では150円を突破することになる(図表3)。

これは、1~2か月間ほど籠城していれば「米国側から援軍が来てくれる」という見立てだと言える。遠からずドル安・円高の流れに反転するという目算なのだ。

以上、今週はFOMCをにらみ米ドル高・円安が予想される一方で、それが加速した場合、円安阻止介入が実現し乱高下となる可能性もありそうですから、141~146円中心での展開を予想します。

これを受けて、先々週、最初に145円に迫った局面と異なり、米ドル高・円安は米金利上昇である程度正当化されるようになりました。その上で、21日のFOMCを受けて、FFレートのターミナルト・レートの見通し次第では、米2年債利回りはいよいよ4%の大台を超える可能性もあるでしょう。

この間の米ドル/円と米2年債利回りの関係からすると、米2年債利回りが4%以上に上昇するなら、145円を超える米ドル高・円安も正当化されると考えられます。では、基本的に米金利上昇に裏付けられた米ドル高・円安でも、日本の通貨当局の円安阻止介入により、その流れが変わる可能性はあるのでしょうか。

FRBは月1200億ドルの資産を買い増している。市中に出回るマネーも毎月1200億ドル増えていた。これを少しずつ減らしていくというのが「テーパリング」だ。taperingは英語で「先細り」という意味がある。

11月2~3日に開いたFOMCは、11月から毎月、資産購入の月額を150億ドルずつ減らしていく計画を正式に決めた。

ただ、先週はもう1つ大きな話題もありました。CPI発表を受けた米ドル急騰に対し、日本の通貨当局の為替介入思惑が急浮上したことです。9月14日に、145円突破寸前となったところで、為替介入の前段階と位置付けられる「日銀レート・チェック」観測が広がり、米ドル高・円安は一服となりました。

まずは、1つ目の観点について。日本の通貨当局は、これまでも米ドル高・円安に懸念を示していましたが、特に対策を講じることはありませんでした。ただそうした中で、岸田内閣の支持率は、このところ顕著に低下しています。つまり、円安阻止も政治的に「悪い円安」を放置できなくなった影響が大きいのではないでしょうか。

米国の利上げペースダウン観測で大幅にドルが下落した前月の流れを引き継いで1日から売りが優勢となった。2日に発表された米11月雇用統計は予想を上回る強い結果となったがドルの押し上げには至らなかった。その後、自律的にやや値を戻したが、米11月消費者物価指数(CPI)の鈍化を確認すると再びドルの上値は重くなった。

12月のドル/円相場は130.577~138.172円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約5.1%下落した(ドル安・円高)。

今回の介入は、2011年11月以来、約11年ぶりのことである。この11年間に為替取引額は当然ながら増加している。BIS(国際決済銀行)の調査では、2010年の1営業日当たりのドル円の取引高が3,013億ドル、2019年が3,755億ドルとなっていた。2022年の取引額は増えているだろうから、当然、介入規模も増えるはずである。

ドル円のテクニカル分析では、2022年10月21日の高値151.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーを形成中であり、ネック・ライン(130.41円〜130.58円)が攻防の分岐点となっている。 ネック・ラインを下抜けた場合は、20円程度の下落が想定できることで、FEDピボット:FRBの利下げ転換)とBOJピボット:日銀の利上げ転換)への警戒感を高めることになる。 ネック・ラインが維持された場合は、上昇途上のヘッド・アンド・ショルダーの可能性が高まり、12月のFOMCのドット・プロット(金利予測分布図)で示された年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)5.10%や日銀の金融政策正常化路線の先送りが現実味を帯びることになる。

ドル建てで借金を増やしてきた新興国の財政や経済にも影響する。米国など各国の中央銀行は2008年のリーマン・ショック以降、市中に大量のマネーを供給して景気を下支えし続けてきた。金融政策が転換点に差し掛かるなか、市場の中期的な不透明感はくすぶり続ける。

あまり議論されない点だが、政府がドル売り・円買い介入をするほど、そこで含み益が実現されることになる。例えば、2011年中に為替介入して、政府が入手した外貨(14.3兆円分、平均79.2円で取得)を145円で売却すると、そこで実現される含み益は計算上11.9兆円になる。この利益は、外為特別会計の中に蓄積される。ドル売り介入を実施すると、この実現益をどうするかという課題も後から浮上することになるだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました