【外為マーケットビュー】
動画配信期間:2023/3/17~2023/3/31
目次
0:00 大変な1週間 米雇用統計以上に、SVB銀行破たんが重し
0:55 SVB銀行破たんの背景
2:17 クレディ・スイス銀行の経営不安に飛び火→ある種の欧州危機、ユーロ/円やドル/円を始めリスク回避の動き強まる
4:07 「複数の大手米銀がFRCに計300億ドル預金検討」との報道でドル/円反転→いったん金融不安終了で135-136円まで反発余地
6:49 ECBは0.5%の大幅利上げ実施、FRBも0.25%利上げありそう
7:54 ペソ/円や米2年債も大変な1週間だった
8:47 金融システム不安は一応払しょく、完全ではないが元のマーケットに戻ると予想
月曜から金曜までの毎営業日、外為市場に長年携わってきた5人のコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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ドル円は135円へ 金融システム不安はいったん解消か FOMC注目
21~22日のFOMCでは、米雇用統計やCPIの公表を受けて、利上げ幅は0.50%ではなく、0.25%になるとの見方がほぼ織り込まれました。しかし、FOMC開催までに、くすぶっている信用不安を払拭(ふっしょく)できないと、FRBは0.25%の利上げにも慎重になるかもしれません。
対ドルでは、3/6の1.0618ドルを下値に1.0694ドルへ反発したものの、パウエルFRB議長の議会証言がタカ派色の強い内容となったことから、欧米金利差拡大が意識され3/8の東京市場で1.0525ドルまで反落。一方、3/10の米2月雇用統計を前にポジション調整による買戻しとともに3/9には1.0591ドルへ反発。その後も底堅い値動きを続け、米2月雇用統計での失業率の悪化や時間給賃金の鈍化を受けて、3月FOMCでの0.50%の利上げ確率の低下とともに1.0700ドルへ反発した一方、シリコンバレー銀行の破綻懸念を受けた円買いを背景にユーロ円の下落が対ドルでの上値抑制につながり1.0639ドルで取引を終えました。一方、ユーロ円は3/6の144円42銭から取引を開始し、3/7のパウエルFRB議長の議会証言を受けてドル円が137円19銭へ上昇したことに伴い145円43銭まで上昇。その後3/8にドル円が137円91銭へ一段高となった一方、ユーロの対ドルでの下落を受けて伸び悩み3/10の米2月雇用統計での失業率の低下や時間給賃金の鈍化に加え、シリコンバレー銀行の経営破綻を受けたリスク回避の円買いとともに143円35銭まで下落し、143円70銭で取引を終えました。対ドルでは3/8の安値(1.0525ドル)で一旦の底入れを確認し、日足・雲の下限(1.0661ドル)を下値支持線として週足・雲の上限(1.0696ドル)や日足・基準線(1.0732ドル)を回復できるか、また対円では週足・基準線(142円85銭)を下値支持線として3/2の145円56銭の回復に向けて一段高となるか、あるいは週足・基準線を下抜け、週足・転換線(141円74銭)まで下落するか注目されます。そのため、0.50%の利上げを織り込んでいる3/16のECB理事会で5月/6月/7月の理事会での金融政策の方向性がタカ派寄りとなるか、慎重姿勢を滲ませる内容となるか注目。そのほか、3/14‐15の米2月消費者物価指数や卸売物価指数に対する反応と合わせて注目されます。
FOMCで利上げが見送りになれば、ドル/円は再び1ドル=130円台を目指す可能性があります。そして、その場合はそれで利上げ打ち止めとなるのかならないのか、金利の最終到達水準が昨年12月時点の見通し(5.125%)よりも引き上げられるかどうかが焦点になります。
3/6の7円49銭を高値に3/7発表の南ア10-12月期GDPが予想以上に減速したほか、パウエルFRB議長の議会証言が想定以上にタカ派色の強い内容となったことで対ドルでの下落とともにランド円も下落。さらに、3/8には格付け会社S&Pが深刻な電力危機の経済への影響を理由に南アの格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」に引き下げたことに加え、3/10の日銀政策会合や米2月雇用統計を控え3/9には2/13の安値と同水準の7円29銭まで下落するなど、連日で前日の上値/下値を切り下げる軟調な値動きを継続。しかし、3/10の欧州市場序盤に米長期金利の低下を背景に欧州通貨の対ドルでの反発に伴うユーロ円/ポンド円の上昇に伴い7円47銭まで反発。しかし、米2月雇用統計で失業率の悪化や時間給賃金の鈍化を受け3月FOMCでの0.50%の利上げ観測が後退したことに加え、米シリコンバレー銀行の経営破綻を受けてドル円が134円12銭へ下落するなど円の上昇に伴い7円34銭へ反落し、7円37銭で取引を終えました。今週も先週に引き続き日足・基準線/転換線(7円43銭/7円41銭)が上値抵抗線として意識されており、電力不足の継続によって、これまで以上に厳しい冬となり、経済活動の一段の下振れとなれば先週3/8のS&Pに続き、フィッチやムーディーズなど他の格付け会社も見通しを引き下げる可能性があり、上値の重い値動きが続くと見込まれます。そのため、3/14発表の南ア1月製造業生産や3/15発表の南ア1月小売売上高が予想以上に下振れる可能性のほか、3/14発表の米2月消費者物価指数を受けた対ドルでの反応にも注意が必要です。一方、南ア最大の貿易相手国である中国2月小売売上高や鉱工業生産が3月15日に発表され、予想以上に中国経済の景気回復期待となればランド円の下値支援につながる可能性もあることから合わせて注目されます。
3/6の91円90銭を高値に日足・基準線が上値抵抗線として下落基調を続け、3/7の豪中銀政策委員会では0.25%の利上げを決めたものの、インフレがピークに達したことが示唆されるとの認識を示したのに続き、3/8には豪中銀ロウ総裁が金融政策は既に抑制的な領域にある現状を踏まえ、さらに時間をかけて景気情勢を評価するために利上げを一時停止することが適切になる時点に近づいているとの考えを表明。一方、3/7-8のパウエルFRB議長の議会証言ではタカ派色の強い内容となったことを受け対ドルでの下落ともに日足・雲の下限を下抜け、3/9にはドル円のポジション調整による137円台前半から135円台後半への下落とともに89円54銭まで下落。さらに、3/10の米2月雇用統計での失業率の悪化や時間給賃金の鈍化に加え、米シリコンバレー銀行の経営破綻を受けたリスク回避の円買いとともに1/20以来の安値となる88円63銭へ下落し、88円89銭で取引を終えました。週足・雲の下限(88円73銭)を下抜けると日足に続き週足も三役逆転となることから1/19の88円12銭、1/3の87円41銭、さらに昨年12/20の87円02銭まで一段安が進む可能性があることから、週足・雲の下限で下げ止まることができるかポイントになると思われます。そのため、1)3/16に発表される豪2月雇用統計が市場予想を下回った1月から改善が見られ、豪中銀の利上げ打ち止めの観測に一石を投じることになるか、あるいは2ヵ月連続で予想を下振れることになるか 2)3/14-15発表の米2月消費者物価指数/卸売物価指数を受けて、3月FOMCでの0.50%利上げ観測が再燃するか、0.25%の利上げ観測を決定づけるか 3)シリコンバレー銀行の経営破綻の影響に配慮し、FRBの金融政策がハト派色を強めるとの観測が高まり対ドルでの反発につながるかなどが焦点として注目されます。そのため、週足の三役逆転を回避し、90円台半ばから後半にかけての日足・雲の下限/上限に向けて反発に転じることができるか上値メドとして注目されます。そのほか、3/15発表の中国2月小売売上高や鉱工業生産を受けて中国経済が全人代で示された今年の成長率目標(5.0%前後)を大きく上回る期待を高めるものになるか合わせて注目されます。
3/7-8の米議会上下両院での証言でパウエルFRB議長が3月FOMCの利上げ幅についてデータ次第と発言しており、1)3/10の雇用統計での時間給賃金の鈍化 2)3/10に発表された米2月の家賃価格が前月比-0.3%、前年比では9ヵ月連続の低下となる+1.7%とおよそ2年ぶりの低水準となったこと 3)シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻がFRBの金融引き締めの影響も否定できないことを踏まえ、3/14発表の米2月消費者物価指数が3/21-22のFOMCで0.50%への利上げ拡大の可能性のみならず、ターミナルレートを12月FOMC時点からの下方修正を正当化する根拠の一つとなるか注目されます。そのほか、3/15から3/17にかけて発表される米2月卸売物価指数や小売売上高、さらに米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や3月ミシガン大消費者景気指数に対する反応も合わせて注目されます。そのほか、3/10に国会で次期日銀総裁として承認された植田氏をはじめ次期副総裁らの発言の可能性やSVBの経営破綻のNY株式市場への影響も含め、3/10の134円12銭や日足・雲の上限(133円56銭)を下抜け、一段の円高が進行するか注目されます。対ドルでは3/8の安値(1.0525ドル)で一旦の底入れを確認し、日足・雲の下限(1.0661ドル)を下値支持線として週足・雲の上限(1.0696ドル)や日足・基準線(1.0732ドル)を回復できるか、また対円では週足・基準線(142円85銭)を下値支持線として3/2の145円56銭の回復に向けて一段高となるか、あるいは週足・基準線を下抜け、週足・転換線(141円74銭)まで下落するか注目されます。そのため、0.50%の利上げを織り込んでいる3/16のECB理事会で5月/6月/7月の理事会での金融政策の方向性がタカ派寄りとなるか、慎重姿勢を滲ませる内容となるか注目。そのほか、3/14‐15の米2月消費者物価指数や卸売物価指数に対する反応と合わせて注目されます。対ドルでは200日移動平均線(1.1900ドル)を下値支持線として日足・基準線(1.2036ドル)を固め、日足・雲の下限(1.2144ドル)の回復を目指して一段高となるか注目されます。また、対円では日足・基準線(161円37銭)を下値支持線として下げ止まる一方、日足・雲の上限(162円32銭)を巡る攻防を続けているほか、200日移動平均線(163円42銭)からの戻り売りも観測されていることから、雲の上限や200日移動平均線を明確に下値支持線とする堅調な値動きとなるかポイントとして注目されます。そのため、1)3/8に金融政策の現状維持が適切と発言した英中銀ディングラ政策委員の3/13の発言のほか、3/14発表の英1月失業率や賃金上昇率を受けて3/23の英中銀の金融引き締め継続観測の行方 2)米2月消費者物価指数を受けた対ドル及びドル円の反応 3)3/16のECB理事会を受けた対ユーロでの反応が注目されます。
信用不安によって起こるドルの動きには留意しなければいけない点もあります。「信用不安→金利低下→ドル安」によって円高となるシナリオも想定される一方、信用不安が長引くと、ドル資金の流動性確保が最重要となります。そのため、為替市場ではドル買いが優勢となる場合もあるという点です。
3/6の135円95銭から取引を開始し、3/7-8のパウエル議長の議会上下両院での証言が予想以上にタカ派色の強い内容となったことから3/8の東京市場で137円91銭まで上昇。その後、急ピッチな円安進行に伴うポジション調整により、3/9には135円95銭へ反落。また、3/10の日銀政策会合でYCC(イールドカーブコントロール)も含め、現状維持を決めたものの反発も136円99銭までに留まる上値の重い値動きを継続。さらに、米2月雇用統計では就業者数が市場予想を上回る31.1万人増となった一方、失業率が3.7%へ悪化したほか、時間給賃金も前月比/前年比で鈍化。さらにシリコンバレー銀行の破綻懸念などリスク回避の円買いも観測され134円12銭まで下落。その後の反発も135円台前半までに留まる上値の重い値動きを続け135円07銭で取引を終えました。3/7-8の米議会上下両院での証言でパウエルFRB議長が3月FOMCの利上げ幅についてデータ次第と発言しており、1)3/10の雇用統計での時間給賃金の鈍化 2)3/10に発表された米2月の家賃価格が前月比-0.3%、前年比では9ヵ月連続の低下となる+1.7%とおよそ2年ぶりの低水準となったこと 3)シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻がFRBの金融引き締めの影響も否定できないことを踏まえ、3/14発表の米2月消費者物価指数が3/21-22のFOMCで0.50%への利上げ拡大の可能性のみならず、ターミナルレートを12月FOMC時点からの下方修正を正当化する根拠の一つとなるか注目されます。そのほか、3/15から3/17にかけて発表される米2月卸売物価指数や小売売上高、さらに米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や3月ミシガン大消費者景気指数に対する反応も合わせて注目されます。そのほか、3/10に国会で次期日銀総裁として承認された植田氏をはじめ次期副総裁らの発言の可能性やSVBの経営破綻のNY株式市場への影響も含め、3/10の134円12銭や日足・雲の上限(133円56銭)を下抜け、一段の円高が進行するか注目されます。
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