午前の為替予想は… 欧米金融不安は一服も疑心暗鬼は晴れず
作成日時 :2023年3月17日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
ドル円予想レンジ
131.800-134.700円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は1カ月ぶり安値から切り返す展開。欧米金融機関の経営不安がくすぶる中でも欧州中銀(ECB)が大幅利上げを継続したことで市場心理が悪化すると131.71円前後まで下落した。しかし、NY市場に入り、預金流出に直面していた米地銀ファースト・リパブリック・バンクを大手米銀が支援する方針が発表されると地合いが反転。株価が反発し長期金利が上昇に転じる中、133.82円前後まで上昇した。
もっとも、これで金融システムを巡る市場の疑心暗鬼が晴れたとまでは言えそうにない。スイス中銀(SNB)が流動性支援に乗り出したクレディ・スイスの株価は一時急騰したが、その後上げ幅を縮小。大手銀による救済発表で約10%上昇したファースト・リパブリック・バンクの株価も引け後の時間外取引で大きく反落している。市場心理が悪化方向に大きく傾くリスクは低下したと見るが、改善方向に向かうにはもう少し時間が必要だろう。
ドル/円は本日も不安定な値動きが続く公算が大きく、比較的広いレンジの中で上下する相場展開となりそうだ。
今朝 最新のドル/円チャート
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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円高は 1ドル120円が100円になる状態です
円安傾向が強まっています。今回の円売り・ドル買いの流れの源流を辿ると米国の金融政策の大転換に至ります。米国では現在、急激な物価上昇が発生しています。サプライチェーンの問題に加えそもそも景気が拡大し需要が強いことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻で原油や小麦といった商品市況の上昇も大きな影響を与えています。ドル円相場を取り巻く環境を把握するには、中央銀行の金融政策、金利、景気動向を正確に理解する必要があります。
米欧の中銀イベントラッシュを通過して、市場の関心は本日の米1月雇用統計に移る。市場予想は非農業部門雇用者数18.9万人増(前回22.3万人増)、失業率3.6%(前回3.5%)、平均時給前年比+4.3%(前回+4.6%)などとなっている。前哨戦の米1月ADP全国雇用者数が10.6万人増にとどまったことなどから、やや弱気な見方が優勢のようだ。その弱気な予想さえも下回る雇用統計となればドル/円は127円台に差し込む可能性もある。注目の下値ポイントは1月16日安値の127.23円前後だ。一方、弱気な予想に反して強い結果となれば、週末を控えたショートカバーも相まってドル買いが強まることも考えられる。上値ポイントは心理的節目の130.00円だろう。実質5・10日の仲値公示を通過すれば、市場は次第に「雇用統計待ち」のムードになりそうだ。
円高が輸入に有利ということは、輸出にはデメリットになります。例えば日本企業が海外で1ドルで売っている製品を円に交換すると今までは120円だったのに、円高になると100円と20円分も手取りの円が少なくなってしまいます。この差額20円分を回収しようと製品を値上げすると今度は売りにくくなり業績に影響が出る可能性があります。円高は輸出産業にとっては打撃になります。
一方、円高の状況とは、外国通貨に対して円の価値が高くなることです。1ドル=120円と1ドル=100円では1ドル=100円の方が円高になります。120円で1ドルもらえるのと、100円で1ドルもらえるのを比べると、100円で1ドルもらえる方が円の価値が高いことになります。少ない円で多くのドルと交換できる状況を「円高・ドル安」と言います。
この他、為替による外国人投資家の動向も株式相場へ影響します。外国人投資家は円高・ドル安の方が円建て資産への投資はドルからみて有利になります。主役は外国人なので、円から見るのではなく、ドルから見ます。分かりやすくするために、1円=100ドルが1円=120ドルのドル安となったと想定してください。ドルで考える外国人投資家にとって、100ドルで買ったもの(たとえば1円分の日本株資産)が売るときに120ドルになっているため、為替で20ドルの利益がでます。ただ、円高になると海外の機関投資家や年金の運用資産に占める円資産の割合が高まってしまい、全体のバランスを取るために日本株を売る動きにつながるケースもあります。為替の影響による外国人投資家の動きは、その時々の状況によって異なるので状況に応じた判断をする必要があります。
為替相場は、様々な要因で動きます。例えば日本企業の米国への輸出が増えれば、ドルで受け取った代金を日本円に交換するため、ドルを売って円を買う取引が増え、円高・ドル安の傾向になります。外国人投資家が日本の株式を購入する量が増えれば、ドルを売って円を買う動きが強まります。
日米の金利差が拡大すれば、円を売ってドルを買う動きが強まります。投資家は金利の高いドルで資金を運用して、利益を得ようと考えるからです。こうして円安が進みました。
円高・円安の状況が頭の中で整理されるまでは、表現に騙されて少し混乱してしまうことがあるかもしれません。混乱するようであれば、最初のうちは割り切って、為替の表現は一般的な日本語の感覚とは逆なんだ、1ドル=100円が1ドル=120円と円の数字が大きくなったら、「円安」と覚えてしまうのも一つの手です。そのうち、すんなりと定着してきて理屈も頭で整理されると思います。
物価や金利の変動も為替相場に影響を与えます。2021年3月の為替相場では、米景気の回復期待を背景に日米の金利差が拡大し、円を売ってドルを買う動きが強まり円安・ドル高が進みました。一般的に、景気が改善し、金利が上昇した国の通貨は買われる傾向にあります。
円高は、1ドル120円が100円になる状態です。円の価値が高くなっています。これまで120円払わないと交換できなかった1ドルが100円で手に入る状態です。つまり、海外の商品を安く買えます。輸入に有利です。石油などの資源を安く買えたり、ワインや食材なども安く輸入できます。海外旅行での買い物もお得になります。
昨日のドル/円は128円台を中心とする弱含みの展開だった。一時129.12円前後まで強含む場面もあったが、一巡後は米長期金利の低下を受けて128.08円前後まで反落。ただ、英中銀(BOE)と欧州中銀(ECB)の政策金利発表後にポンドやユーロが下落したためドルが相対的に上昇すると128円台後半へと下げ幅を縮小した。
※過去のドル円相場の動き。円高・円安を繰り返して推移してきた。
為替の資産運用への影響は、日本人にとってみれば逆。つまり、為替ヘッジをかけず、日本円をドルに換えて米国株を購入したとき、円安になるほど円建ての価値(含み益)は上がるということです。日本人が海外通貨建て資産を買うのなら、円高時に買い、円安時に売ると、為替部分で有利になるということです。
円安になると輸入については不利になります。これまで1ドルの製品を100円で輸入できていたものが120円必要になる状態です。日本は多くのものを輸入に頼っています。石油など資源エネルギーの輸入コストが上がると、電気・ガス代、ガソリン代などが値上がりします。輸入食品の値上がりも私たちの日々の暮らしに影響が出ます。海外旅行も割高になり行きにくくなります。
円安は1ドル100円が120円になる状況です。円の価値が安くなっています。今まで1ドルを得るのに100円だったのが、120円必要になります。輸出企業にとっては有利になります。これまで1ドルの製品を売ると日本円だと100円の売上高が120円と20円も増える形になります。為替で有利になる分を利用して製品を値下げし価格競争力から物が良く売れ売上高が増える可能性もあります。円安になると輸出企業の業績にとってはプラスになります。また、投資家にとって外貨建の資産価値が高まるのもメリットです。
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