ドル円午前の為替予想、週末を控えて方向感が出にくい 2023/5/12

FXブログ
ドル円午前の為替予想、週末を控えて方向感が出にくい 2023/5/12

午前の為替予想は… ドル/円、売買交錯で方向感出にくい

作成日時 :2023年5月12日8時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

ドル円予想レンジ

133.500-135.200円

前日の振り返りとドル円予想

昨日のドル/円は1週間ぶり安値から切り返す展開。米4月生産者物価指数(PPI)の鈍化と米新規失業保険申請件数の増加で今月4日以来の安値となる133.74円前後まで下落したが、米長期金利が下げ渋ると134円台半ばへと持ち直した。英中銀(BOE)の利上げを受けた出尽くし売りなどでポンドやユーロが下落する中、相対的にドルが買われたこともドル/円を支援した。なお、米地銀の一部から資金流出が続いていることが明らにとなった他、債務上限問題を巡る大統領と下院議長の会談が翌週に延期されるなど、足元では先行き不透明感を強める材料が目立っている。

そうした中でリスク回避のドル買いと円買いが交錯しているようだ。ドル/円は本日も週末を控えて方向感が出にくいと見られ、133円台では底堅い一方135円台では伸び悩む展開が予想される。

今朝 最新のドル/円チャート

USD/JPY 30分足

ドル円 最新の為替チャート・FXチャート

レポートの本編は「外為どっとコムレポート」でチェック

「外為どっとコムトゥデイ 」記事一覧

【こちらもおすすめ】

 
kanda.jpg

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。

●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル ドル円午前の為替予想、週末を控えて方向感が出にくい 2023/5/12

ドル円午前の為替予想 週末を控えて方向感が出にくい 2023

日本円が下落している背景を、日本独自の要因から考えると、当面は円安圧力になりそうです。まず、貿易面では、昨年8月から貿易赤字が続いており、輸入に伴うドル買い圧力が輸出に伴うドル売りを上回っています。資源輸入国である日本にとって、原油など資源高が続くことは、輸入金額の増加を通じて、米ドルの買いが増えやすいことを意味します。

ただし、アメリカの1年先の想定政策金利は、3.5%程度まで下がっています。 アメリカの中央銀行メンバー全員が3月に示した2024年末の政策金利見通しのレンジの下限は、3.4%です。市場は、米景気悪化の可能性を織り込んでおり、米金利が下がる余地は小さくなっていると考えます。

ただし、日米金利差は大きいです。日銀の金融政策の不透明感が後退すれば、ドル円の変動幅は縮小するでしょう。ドル円の変動幅が小さくなれば、アメリカの高い金利を求めた米ドル買いが増えて、円高の下限を押し上げると予想します。

原油価格の上昇が長引けば、物価を押し上げる、原油輸入国の景気を悪化させる、原油輸入国のドル買い需要が増えるなどの影響が想定されます。インフレ率が高い欧米にとっては、景気悪化と物価上昇が同時に起こるスタグフレーションのリスクを高めます。欧米の中央銀行は、景気が悪化しても、利下げしづらくなるでしょう。

日銀が金融政策の現状維持を決めたことを受けて、1月18日の円金利は低下して、ドル円は128円台から一時131円台まで円安に動きました。日銀が政策修正を実施して円金利が上昇するとの警戒感があった反動でしょう。

4月の米雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比で+42.8万人と市場予想を上回って増加しました。また、失業率は前月と変わらずの3.6%であり、3月FOMCの2022年10-12月期の予想水準まで低下しています。労働市場が良好であるなか、平均時給は前年比+5.5%と3月の+5.6%よりは鈍化しましたが、高めの伸びが続いています。

2022年の為替市場を振り返ると、ドル円は3月上旬まで115円前後でしたが、5月9日には131円35銭まで急激に円安方向に動きました。その後、126円台まで円高に戻しましたが、6月に入ると130円前後まで再び円安が進行しています。

ドル高円安のペースが緩やかになると考える理由の一つは、日本政府が実施している円買い介入です。過去を振り返ると、日本単独の為替介入は、ドル円のトレンドを変えられていませんが、円安のスピードを緩やかにすることは可能だと考えます。

米国を中心に世界景気が減速して、商品価格が下落していることは、資源国の通貨の下落要因です。また、新興国の多くには、急ピッチの米利上げと米ドル高で、ドル建ての債務負担が大きくなるため、景気にマイナスに働くでしょう。

では、アメリカの10年金利がさらに上昇して、ドル高円安が続くのでしょうか。パウエル議長は、議会証言で、次回の金融政策決定までに分析すべき非常に重要なデータがいくつかあると述べていました。雇用統計とCPIが含まれているでしょう。2月の米雇用統計から、アメリカの景気の現状を確認してみます。

ただ、米金利市場では、今年4月に発生した2年金利が10年金利を上回る逆イールドが定着しています。過去50年、逆イールドが発生した後、平均して14か月程度で、米景気後退が多く起きています。過去の経験則通りならば、2023年前半には、米景気が悪化してもおかしくありません。

米金利市場では、12月CPIの発表後に、2月FOMCでの0.25%の利上げ予測が増加しました。アメリカのインフレのピークアウトを再確認できたこと、ハーカーフィラデルフィア連銀総裁が「この先は0.25%の利上げが適切になる」と発言したためでしょう。米10年金利は3.4%台まで低下して、ドル円は一時128円台までドル安円高に動きました。

為替、株式、商品市場を動かしたのは、世界的な物価上昇圧力の高まり、アメリカの中央銀行の利上げペースの加速という2つの要因でしょう。まず、2021年から物価上昇圧力が高まっていたところに、世界有数の資源国であるロシアが2月下旬にウクライナに軍事侵攻を始めたことで、原油や天然ガスなどの資源供給が減少するとの懸念が物価上昇に拍車をかけました。そして、物価上昇を受けて、アメリカの中央銀行(FRB)が3月から利上げを始めましたが、5月会合では利上げペースを0.25%から0.5%に加速させ、中央銀行の資産を急ピッチで減らすことを決めました。

また、過去のドル安円高のピークからの動きを振り返ると、円安のピークをつけてから3ヶ月程度は10%以内の円高に収まっています。例外は1998年の世界的な金融危機ですが、今は金融危機などが発生しているわけではありません。

第二に、アメリカの景気が大幅に悪化することです。アメリカの景気は相対的に堅調であり、米ドル高の一因となっています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました