ドル円一時140円台 好調な米指標受け半年ぶり高値へ
25日のドル円は好調な米指標を受けて上昇し、およそ半年ぶりに140円台に乗せました。
25日、米債務上限問題をめぐる協議が難航していることを受けて、米格付け大手フィッチ・レーティングスがアメリカ国債の格付け見通しを引き下げたことが伝わりました。これを受けてドル円は同日朝、一時138円台後半まで下落しました。
その後は今週米FRB高官による利上げ継続を示唆する発言が相次いだことや、25日に日銀の植田総裁があらためて金融緩和を続ける考えを示したことを背景に日米の金利差拡大が意識され、円を売ってドルを買う動きが強まりました。
21時半に発表された米1-3月期四半期GDP(改定値)は市場予想を上回る結果となり、同時刻に発表された米新規失業保険申請件数は予想を下回りました。これらを受けて米FRBの利上げが続くとの見方が強まり、ドル円はさらに上昇しておよそ半年ぶりに140円を突破し、本日早朝には一時140.23円前後まで上値を伸ばしました。
ドル円底堅さ続くか 本日米PCEコア・デフレーターに注目
25日、ドル円は半年ぶりに140円台へと上昇しました。アメリカ国債の格付け見通しが引き下げられたことで一時下落する場面もあったものの、米FRBの利上げが続くとの観測が強まる中でドル買いが進みました。
昨夜発表された米1-3月期四半期GDP(改定値)は予想上振れ、米新規失業保険申請件数は予想下振れとなり、アメリカの経済、雇用情勢ともに堅調であることが示されました。これらを受けてアメリカのインフレの根強さが意識され、インフレを抑え込むために6月のFOMCでも利上げが行われるとの見方が広がっています。さらに植田日銀総裁があらためて金融緩和を続ける考えを示したことで、日米の金利差の拡大が意識され、ドル円を押し上げる要因となっています。
本日は米4月個人消費支出(PCE)が発表されます。今週米FRBのウォラー理事は「6月に利上げをするか見送るかは今後3週間のデータ次第」と発言しており、特にFRBが重視するとされるPCEコア・デフレーターに注目が集まります。結果が予想を上回った場合、ドル円のさらなる上昇が予想されます。
ただし今月10日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)は伸びが鈍化し2年ぶりの低水準となったことから、同じく物価動向を示す指標であるPCEもインフレ鈍化を示す結果となる可能性があります。その場合は追加利上げ観測が後退してドル円の反落につながる展開も予想され、発表後の変動に警戒が必要となりそうです。
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ドル円一時140円台 本日米PCEコア デフレーターに注目
12月CPIを受けて、ドル円は130円を挟んで広めのレンジで推移すると予想します。
2023年2月から3月初めまでのドル円相場は、128円台から137円台までドル高円安が進みました。2023年2月のドル円の月間値幅(高値と安値の差)は8円を超えています。昨年の1-2月の変動幅が2円台ですから、今のドル円の変動幅は大きいです。
米金利市場は、FRBが6月FOMCで政策金利を維持した後、今年末にかけて利下げすると織り込んでいます。4月CPIの数字を受けて、市場が想定する今年末までの利下げ幅は拡大しました。ドル円も135円台から133円台まで円高に動きました。
第一に、金融市場が不安定化することです。過去、ドル高円安がピークをつけた後、急激に円高が進んだ事例として1998年の金融危機があります。1998年にロシアが財政危機に陥り、大手ヘッジファンドが破綻するなか、金融システム不安が高まりました。FRBが利下げで対応するなか、急激に円高が進みました。
先月は1ドル150円に向けたドル高円安を予想しましたが、ドル円は150円台に到達しました。ドル高円安は、来年前半まで続くものの、ペースは緩やかになると予想します。
ユーロは、2002年以来となる1ユーロ=1米ドル割れ(パリティ割れ)まで下落した後、ドル対比で上昇してきました。直近は高下していますが、ユーロは対ドルで上昇すると予想しています。
2023年3月から4月初めまでのドル円相場は、137円台まで円安に進んだ後、129円台まで円高に動く局面がありました。
第二に、過去におけるドル円の1年間の値幅です。ドル円の値幅は、最近だと10円程度と狭いですが、2000年以降で確認すると、20円を超えることもあります。仮に、今年のドル円の値幅が20円になれば、安値が113.47円なので、機械的に計算した高値は133.47円となります。年内の円安方向の上限として、133円から135円が一つの目安と考えています。
つまり、FOMC後、米利下げ時期が後ずれするとの見方が増えれば、アメリカの10年金利は上昇し、ドル高円安要因となるでしょう。5月2日・3日のFOMC後に、市場の想定する利下げ時期がどう変わるのかに注目しています。また、市場の米政策金利見通しは、アメリカの金融不安の行方にも左右されるでしょう。
ただし、日米金利差は大きいです。日銀の金融政策の不透明感が後退すれば、ドル円の変動幅は縮小するでしょう。ドル円の変動幅が小さくなれば、アメリカの高い金利を求めた米ドル買いが増えて、円高の下限を押し上げると予想します。
ユーロ円は続伸。終値は150.20円と前営業日NY終値(149.93円)と比べて27銭程度のユーロ高水準。ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入り一時150.32円と日通し高値を更新した。
ロシアのウクライナ侵攻の余波が残るため、資源価格は下がりにくいと考えます。その場合、対円では、資源国通貨(豪ドル、NZドル、南アフリカランド、ブラジルレアル)も上昇すると予想します。リスクは何でしょうか。
FRBの利上げは、来年前半まで続きそうです。また、FRBは景気抑制的な高めの政策金利を2023年中は据え置くとみられます。インフレ率が大幅に下がらない限り、FRBの利下げは視野に入らず、日米金利差は拡大しても縮小しないでしょう。ドル円は150円に向けてドル高円安が続くとの見方を維持します。
パウエルFRB議長は、2月の記者会見で、予想通りの経済動向ならば、2023年中の利下げは想定してないことを示唆しました。その場合、アメリカの10年金利の水準に注目すると、金利低下余地は小さく、逆に上昇してもおかしくないと考えます。よって、ドル円は、130円台前半を中心としたレンジで推移すると予想します。
ブラジルレアルや南アランドなど、新興国でかつ資源国の通貨にとっては、世界景気が軟着陸するのが望ましいです。とはいえ、これまでの急ピッチの米利上げと米ドル高で、新興国はドル建ての債務負担が大きくなっており、世界景気にマイナスに働くでしょう。
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