前日欧州時間から本日アジア時間のマーケット動向と個人資家動向をまとめました。市場参加者の動向を確認し、FX取引をする上での情報としてお役立てください。
FX投資家フローと市況
前日オープンから本日15時までのUSDJPYの値動き(ローソク足)と個人投資家動向です。(画面下のグラフは各時間帯ごとの個人投資家の売買を表しており、青いバーが売数量、赤いバーが買数量です。)
25日の欧州・NY時間、米10年債利回りの低下を受けて、ドル円は21:30頃に139.191円まで下落する場面はありましたが、発表された米新規失業保険申請件数、同1-3月期GDP、同個人消費などの改定値が、速報値から上方修正されたことを受けて、ドル円は139.80円台まで切り返した。短期金融市場で、7月までの25ベーシスポイントの米追加利上げが完全に織り込まれる中、ドル円はその後も底堅い推移を続け、NY時間終盤に140.227円まで上昇幅を広げた。
本日アジア時間序盤、調整売りに押され140.00円前後まで下げていたドル円は、5月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)が市場予想を下回ったことで、140.10円台へ切り返した。しかし、米国勢の3連休を控えたポジション調整に伴うドル売りに押され、ドル円は139.675円まで下げた。
取引金額
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」の取引を円換算した取引金額です。
市場シェア上位
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」取り扱い通貨30通貨ペアの内、取引量が多かった上位10位です。
ポジション金額
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」ポジションの円換算金額です。(青いバーが売建玉、赤いバーが買建玉です。)
ポジション増減
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」主要通貨ペアのポジション増減(前日比)です。
外為どっとコムの取引サービス「外貨ネクストネオ」での取引データを元に作成しています。
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FX個人投資家動向 ドル円 140円台突入x203c7月までの25bp利上げを完全に織り込むx203c個人投資家
日本銀行は12月20日、金融政策の運営を修正した。対ドルの円相場は20日に1ドル=137円台前半から130円53銭へと円高・ドル安が進んだ。市場は、運営上の修正を実質的な利上げと受け止めた。許容変動幅の上下限が広がったことで、長期金利がそれまでの0.25%程度から0.50%程度へ変動することになったためだ。
図表⑧のように、ドル円相場の先行きについて、足元で想定されている経済環境を踏まえれば、円相場は円高・ドル安方向に推移するだろう。2022年には、1ドル=115円から150円超まで円安・ドル高が進んだことを踏まえると、FRBの金融政策の方向が変われば、115円に向けて円高・ドル安方向に推移する可能性も否定できない。
そうなれば、円の構造的な弱さは続いても、ドル/円相場の上昇基調はいったん収まるだろう。
また、財務省・日本銀行『国際収支統計』をみると、2022年1月と10月は経常赤字であり、年度上半期の経常黒字は約4.8兆円と、前年同期から▲6.9兆円も減少している。内訳をみると、▲12.4兆円の貿易赤字、▲3.2兆円のサービス収支の赤字に対して、18.2兆円の第一次所得収支の黒字が経常収支を支えていた。第一次所得収支のうち、直接投資収益が12.7兆円の黒字、証券投資収益が4.7兆円の黒字であり、直接投資収益のうち5.7兆円が再投資収益だった。この再投資収益は海外子会社の利益・内部留保に相当する部分であり、計算上、国内に還流させた後、再び直接投資として戻す処理をしている。しかし、実際にそうした資金の流れが生じているわけではない。そのため、再投資収益の5.7兆円の一部が海外に置かれたままであり、経常黒字の4.8兆円ほど、円買い・ドル売りの実需が生じるわけではない。こうしたことを踏まえると、貿易赤字拡大からの円安・ドル高圧力の強まり、経常黒字縮小からの円高・ドル安圧力の弱まりなどから、総じて円安・ドル高方向に円相場は影響を受けた。
しかし、1985年の米国のインフレ率は全体が前年比3%台、コアが同4%台と現在よりはるかに低い水準で推移していた。米国のインフレ率が落ち着くまで、米当局がドル高懸念を他国と共有する可能性は低いとみられる。
つまり、今後市場がどこまでFRBの利上げを織り込むかが、ドルの全体的な動きにとって重要であり、それはもちろんドル/円相場にも影響することになる。
1997─98年の円買い介入と同様、やはり今回も散発的・限定的な介入にならざるを得ないだろう。また、介入は回数を重ねるほど、1回1回のインパクトが小さくなってくる。次の介入の局面でドル/円が下がったところで、ドルを買いたいと待っている市場参加者は多いであろう。
また、図表④のように、対外証券投資は、2022年(1~11月)に約▲22兆円の処分超(対外資産減)になった。海外から国内への資金の巻き戻しなので、ドル売り・円買い圧力になる。また、対内証券投資は、同時期に約11兆円の処分超になった。これは国内から海外への資金の逆流のため、ドル買い・円売り圧力になる。金額の規模をみると、対外証券投資の処分超の方が大きい。
市場は、金融緩和政策の修正観測を材料にしている。実際、円相場は1月3日に129円台半ばと130円台を割り込み、13日には127円46銭前後まで円高・ドル安が進んだ。1月18日の金融政策決定会合でも、イールドカーブのゆがみなどから何かしらの金融政策の修正がありうるという見方が一部で盛り上がっていた中、金融政策の現状維持が発表されると、円相場は1週間ぶりの安値となる131円台をつけた。
12月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げ幅が50bpに縮小された。利上げを継続していること、最終的に5%超まで政策金利を引き上げることに変わりはないものの、利上げ幅の縮小が利上げ局面の転換点を暗示したことが、市場では重視された。
先行きについて、円相場が2022年の円安・ドル高水準から円高・ドル安方向に進むことに加えて、原油価格の一服などから、貿易赤字が縮小しやすくなる。2023年は貿易赤字が継続するものの、前年に比べると赤字額が縮小するとみられている。円安・ドル高圧力が残るとはいえ、緩和することになる。
さらに、バイデン米大統領は週末にアイスクリームを食べながら「ドル高は懸念していない。他国の経済を懸念している。問題は我々の政策ではなく、他国の健全な政策や経済成長が足りないことである」と、ドル高を問題視しない姿勢を示した。
そこまでの利上げが本当に実現するかどうかはもちろん定かではないが、利上げ継続の可能性を測るうえで、市場のリセッション懸念との関係を見ておくことは重要だろう。つまり、市場がリセッションを本格的に織り込むほどまでの利上げが進めば、その後、利上げ期待は後退して結局、ドルの全体的な上昇も止まることになる。
さらに、短期的な視点からの日米実質金利差要因は、円安・ドル高圧力になっている。米国では2022年3~12月に合計425bpの利上げが実施された。名目金利では2022年Q3まで米国の方が高かった一方で、物価変動を調整した実質金利では、物価上昇率が高い米国の方が低かった。しかし、日本でも消費者物価上昇率が高まったことで、その関係にも変化がみられるようになった。日米ともに実質金利はマイナスであるものの、相対的に米国の実質金利が2022年Q4に高くなったことで、以前に比べると、円安・ドル高圧力が強まった。
これらの結果、経済のファンダメンタルズからみて、購買力平価要因やリスクプレミアム要因、日米実質金利差要因などから、円安・ドル高圧力が優勢になっている。つまり、これまでの円安・ドル高をけん引してきた要因が反転すれば、円相場も円高・ドル安方向に向かうことになる。そうした可能性が2023年に高まるのか否かについて考えてみる。
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