ドル/円上昇の暗示!個人投資家が示す円安・米ドル高の未来とFRBの影響【外為短観 第168回】

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ドル/円上昇の暗示!個人投資家が示す円安・米ドル高の未来とFRBの影響【外為短観 第168回】

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<第168回調査>2023年5月27日

外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。

分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所

調査実施期間
2023年5月19日(金)13:00~2023年5月23日(火)24:00

調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。

調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は671件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。

問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
問7:米国の債務上限問題が金融市場の不安要因として挙がっていますが、問題の行方をどう予想しますか
問8:米大手格付け会社による米国債の格下げ(もしくは格付け見通し)があると思いますか(ひとつだけ)
問9:万一、債務上限引き上げで合意できなかった場合、ドル/円相場にはどのような影響が予想されるでしょうか。
今後の調査実施計画及び公表方針

問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。

「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が59.9%であったのに対し「円高・米ドル安」と答えた割合は20.9%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は△39.0%ポイントと前月の△5.7%ポイントから大きく上昇した。
調査期間前後の米ドル/円相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言が相次いだことや日経平均株価が33年ぶりに31,000円台に到達したことなどからドル買い・円売りが強まり、年初来高値となる138円台後半へと上値を拡大した。米債務上限問題を巡る懸念がくすぶっているが、個人投資家は楽観視している模様で、米ドル/円の上昇基調が続くと見る向きが多いようだ。※米債務上限問題に関する調査はP7、P8(問7、問8、問9)へ。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が148.00円、最安値が125.50円となり、高値の平均値は139.99円、安値の平均値は134.33円であった。高値の中央値は140.00円、安値の中央値は135.00円だった。前月調査から3.5~4.5円程度、円安・米ドル高方向へシフトしている。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、48.9%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は18.3%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は△30.6%ポイントとなり、前月の△14.9%ポイントからプラス幅が拡大した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、ラガルド欧州中銀(ECB)総裁の「インフレ率を2%に下げるため必要な決断を下す」などのタカ派的な発言もあり、ECBが次回会合でも利上げを継続するとの見方が強まり、150円台を回復する場面もあった。そうした中、日欧の金利差拡大が意識されているようで、個人投資家はユーロ高円安が続くと見ているようだ。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が155.00円、最安値が132.00円となり、高値の平均値は150.42円、安値の平均値は144.91円であった。高値の中央値は150.00円、安値の中央値は146.00円であった。前月調査から1~3円程度、ユーロ高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、41.6%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は17.3%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△24.3%ポイントとなり、前月の△0.4%ポイントからプラス幅が拡大した。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、豪4月雇用統計の弱い結果を受けて次回会合での追加利上げ期待が後退したことから弱含む場面もあったが、円が全面的に下落する中で下値は限られ、92円台へと持ち直した。3月安値を起点とした反発基調が継続しているとの見方から、当面の豪ドル高・円安を予想する個人投資家が増えたようだ。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が100.00円、最安値が85.00円となり、高値の平均値は93.21円、安値の平均値は89.30円であった。高値の中央値は93.00円、安値の中央値は90.00円で1~3円程度豪ドル高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、46.1%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は16.4%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△29.7%ポイントとなり、前月の△12.9%ポイントから上昇した。
調査期間前後の英ポンド/円相場は、インフレ高止まりによる英中銀(BOE)の利上げ継続期待が高まる中で2016年2月以来の高値となる172円台半ばまで上伸する動きを見せた。個人投資家は、BOEと日銀による金融政策の方向性の違いを意識していると見られ、ポンド高・円安基調が続くと見ているようだ。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が180.00円、最安値が155.00円となり、高値の平均値は173.16円、安値の平均値は167.23円であった。高値の中央値は173.00円、安値の中央値は168.00円で、前月調査から3~6円程度、ポンド高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)。また、選んだ理由もご記入ください

今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が45.3%で最も多かった。次いで「円」が23.0%で、その後、「メキシコペソ(7.5%)」、「ユーロ(6.6%)」「英ポンド(5.1%)」、「豪ドル(4.0%)」と続いた。米ドルは2カ月連続で首位。回答割合も前月の32.2%から上昇した。「米ドル」と答えた理由について自由記述形式で尋ねたところ「アメリカ経済の力強さが際立っている」、「もうしばらく米の金利高が続く」、「債務上限問題や金融不安の鎮静化(でドルが上昇する)」との声が挙がった。前回に続いて2位だった「円」と答えた理由としては「6月の日銀会合でYCCに何らかの変更がありそう」との意見や、「3カ月後には各中央銀行の利上げが打ち止めになっている」との見方があった。

問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)。また、選んだ理由もご記入ください

今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が44.3%と最も多かった。次いで「米ドル(22.1%)」、さらに「ユーロ(7.7%)」、「トルコリラ(7.6%)」、「英ポンド(4.8%)」、「中国人民元(4.2%)」が並んだ。円は2カ月連続で首位。回答割合も前月の33.0%から上昇した。「円」と回答した理由については「各国との金利差」、「(日銀の)緩和維持」、「低金利」など、金利・金融政策を挙げる向きが圧倒的に多かった。その他、「国際競争力の低下」、「貿易赤字」などを指摘する声もあった。また、「(円を)買う理由がない」との厳しい意見も複数見られた。

問7:米国の債務上限問題が金融市場の不安要因として挙がっていますが、問題の行方をどう予想しますか

今回の特別質問として、「米国の債務上限問題が金融市場の不安要因として挙がっていますが、問題の行方をどう予想しますか」と尋ねたところ、「上限引き上げで合意」が57.7%で最も多く、次いで「問題決着を先送り」が32.8%だった。「合意できずに政府機関の一部閉鎖」は5.7%、「合意できずに債務不履行」は2.4%にとどまった。調査期間中も、債務上限引き上げを巡るホワイトハウスと共和党の協議が続き、26日時点でも合意には至っていない。しかし、過去に何度も土壇場で合意して債務不履行(デフォルト)を回避した経緯があるだけに、個人投資家は今回も同様の展開を想定している模様で、最悪の事態を予想する向きはほとんどいないようだ。

問8:米大手格付け会社による米国債の格下げ(もしくは格付け見通し)があると思いますか(ひとつだけ)

「大手格付け会社による米国債の格下げ(もしくは格付け見通し)があると思いますか(ひとつだけ)」の問いには「格下げはない」が61.5%に上り、「格付け見通しの引き下げ」が25.2%、「格下げがある」は11.2%だった。米国の格下げについては前問で「債務不履行」と回答した割合よりは多いが、それでも1割強にとどまっている。調査期間後の25日には大手格付け会社フィッチが格付け見通しの引き下げを発表しており、今後は実際に格下げがあるか注目される。

問9:万一、債務上限引き上げで合意できなかった場合、ドル/円相場にはどのような影響が予想されるでしょうか

さらに「万一、債務上限引き上げで合意できなかった場合、ドル/円相場にはどのような影響が予想されるでしょうか」と尋ねたところ、「下落」が60.7%で最も多かった。次いで「変わらない」が16.7%で、「上昇」は8.9%という結果になった。「わからない」は12.4%、「その他」は1.3%だった。「下落」と答えた向きからは、その理由として「アメリカの信用がなくなる」「ドルの信用力はガタ落ち」などの回答が目立ち、「リーマン・ショック以上のことが起きるだろう」との予測も出ていた。一方、少数派の「上昇」とした向きからは、「リスクオフのドル買い」「ドル資金の確保需要」などが指摘された。「その他」としては「債務不履行(デフォルト)は絶対に起きない」「プロレスなので合意できないことはあり得ない」などの声が挙がっていた。
個人投資家は、米債務上限引き上げを巡る交渉の行方を総じて楽観視しているものの、万一与野党が合意できなかった場合は、市場が大混乱に陥る可能性が高いと見ていることがわかった。

今後の調査実施計画及び公表方針

本調査も第168回目となりました。調査開始から12年が経過し、データの蓄積が進んできました。今後については、毎月定点観測で実施する調査結果を基に、予想DIの時系列比較から見出せるFX投資家の相場観の変化やその傾向などのほか、中長期的な視点に基づいたFX投資家の投資スタイルの変化などの考察も進めて行きたいと考えています。なお、毎月の本調査においては、公表扱いとしている質問項目及び回答結果の他に、「投資家の属性」、「取引頻度」、「取引規模」、「取引時間帯」、「投資選好」など、投資家実態を把握するために必要な各種の質問項目も設けて集計しています。それらの回答結果を用いた投資家の実態報告や属性別のクロス・セクション分析等については、当研究所が1年に1回、毎年年央に公表する「外為白書」で紹介する予定です。

本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、株式会社外為どっとコム総合研究所ならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。 Copyright©2023Gaitame.com Research Institute Ltd. All Rights Reserved. https://gaitamesk.com/
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。

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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル ドル/円上昇の暗示!個人投資家が示す円安・米ドル高の未来とFRBの影響【外為短観 第168回】

しかし 米10年金利は再上昇し ドル円は 再び円安方向です

加えて、パウエルFRB議長は、11月の記者会見で、「データは、金利の最終的な水準が従来の想定より高くなることを示唆している」「利上げの停止について考えるのはあまりに時期尚早だ」と発言しました。9月のFRBの中期見通しによれば、2023年末に政策金利を4.625%まで引き上げる方針を示していました。そのため、市場は、米政策金利が5%程度まで引き上げられ、米利上げが来年前半まで続くことを想定しています。日米の政策金利差は拡大が続き、ドル高円安になりやすい環境が続くでしょう。

また、図表④のように、対外証券投資は、2022年(1~11月)に約▲22兆円の処分超(対外資産減)になった。海外から国内への資金の巻き戻しなので、ドル売り・円買い圧力になる。また、対内証券投資は、同時期に約11兆円の処分超になった。これは国内から海外への資金の逆流のため、ドル買い・円売り圧力になる。金額の規模をみると、対外証券投資の処分超の方が大きい。

1月の日銀金融政策決定会合の結果と今後の見通しなどから、ドル円の先行きを考えてみましょう。結論からいえば、日銀が年内に金融正常化に動くことへの警戒感は残りますが、ドル円は130円を挟んだレンジになると予想します。

日本円が下落している背景を、日本独自の要因から考えると、当面は円安圧力になりそうです。まず、貿易面では、昨年8月から貿易赤字が続いており、輸入に伴うドル買い圧力が輸出に伴うドル売りを上回っています。資源輸入国である日本にとって、原油など資源高が続くことは、輸入金額の増加を通じて、米ドルの買いが増えやすいことを意味します。

しかし、ユーロドルは上昇すると想定します。ECBは、基本的に、物価の安定を最も重視します。金融システムが不安定化しない限り、ユーロ圏のCPIが前年比+8.6%(コアで+3.7%)と高いため、ECBは利上げせざるを得ないでしょう。ユーロ圏の政策金利は-0.5%ですが、年末には+0.8%程度まで引き上げると想定されています。

逆に、11月にドル安円高が進んだ理由は、11月10日に発表された米10月CPIが市場予想に比べて弱かったこと、それに伴ってアメリカの10年金利が約0.5%も低下したこと、などが挙げられます。

ドル円レートの均衡水準は1ドル112円程度と考えられる。2023年中にその水準まで一気に円高は進まないとしても、2023年末には1ドル120円程度まで円高が進むと見ておきたい。一時的には年内に110円台後半まで円が跳ねる可能性もあるのではないか。

市場は、アメリカの中央銀行が、多少の景気悪化や株価下落でも、物価上昇を抑制するための利上げを続けると想定し、米国の景気がいずれ悪化することを警戒したとみられます。その結果、米10年金利が低下して、ドル円が5月上旬から円高方向に動いたのでしょう。しかし、米10年金利は再上昇し、ドル円は、再び円安方向です。5月の米雇用統計から、アメリカの景気の現状を考えてみます。

例えば、日本人が旅先のハワイで買い物をするため、手元にある1万円をドルに両替するとします。為替相場が1ドル=100円であれば、1万を100で割った100ドルになります。しかし、もし為替相場が1ドル=80円であれば、1万を80で割った125ドルになり、また、1ドル=125円であれば、1万を125で割った80ドルになります。これらを比べると、1ドル=80円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより多くのドルを取得できるので、円高ということになります。逆に、1ドル=125円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより少ないドルしか取得できないので、円安ということになります。

ドル高円安のペースが緩やかになると考える理由の一つは、日本政府が実施している円買い介入です。過去を振り返ると、日本単独の為替介入は、ドル円のトレンドを変えられていませんが、円安のスピードを緩やかにすることは可能だと考えます。

また、アメリカの10年金利が低下したことなども、ドル安円高の原因として挙げられます。アメリカの10年金利は、昨年末には3.8%台でしたが、一時3.4%割れまで下がりました。

当面のドル円は、130円台前半を中心としたレンジで推移すると予想します。しかし、ドル安円高が進むリスクもあります。

また、アメリカのインフレ率にピークアウト感がみられたこと、アメリカの景気減速懸念が強いこと、アメリカの金利が低下したことなども、ドル安円高の原因として挙げられます。アメリカの10年金利は、昨年10月に4.3%台まで上昇しましたが、昨年12月には一時3.5%を下回りました。

一方で、中国の1-2月のドル建ての輸入額は前年同期比-10.2%と弱かったです。また、中国の全国人民代表大会が示した今年の経済成長率目標も5%前後と控えめな数字でした。

よって、当面は、米10年金利の低下が止まって、ドル円は140円前後までドル高円安に動くと予想します。

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