青函トンネル劣化深刻 過酷な環境

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青函トンネル劣化深刻 過酷な環境
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青函トンネル劣化深刻 過酷な環境

先進ボーリングで得た情報をもとに掘削計画を調整し、岩盤に流し込む注入剤の割合を判断した。二つ目の技術がこの「地盤注入」だ。青函トンネルでは、トンネル径の3〜5倍の範囲に届くよう、斜め前方に放射状にあけた無数の細い孔へ薬品入りのセメントを注入。地盤をしっかりと固め、水の浸入を防いでから掘削を行った。鉛筆で例えるなら、芯の部分が掘り進めるトンネルで、周りの木材が地盤注入で固められた部分となる。

青函トンネルには現在、定期列車として上下26本の北海道新幹線列車と、同51本の貨物列車が運転されている。北海道新幹線の利用実績は開業1年目が1日平均約6300人で在来線の前年に対して164%を記録したが、2年目は約5000人となり開業景気も沈静化している。2018年は青函トンネル開業から30周年を迎え、同時期に開業した本四間の瀬戸大橋線とともに記念行事やキャンペーンなどが展開された。

本坑と作業坑は約600mおきに横坑で結ばれ、ほかにも換気のための立坑がある。体験坑道からさらに500m下層、青函トンネルの最深部には『先進導坑』と呼ばれるトンネルもある。本坑や作業坑に先駆けて掘られたもので、現在は排水や換気に使われている。この先進導坑は、本坑や作業坑と並ぶ青函トンネルの主要坑道。先進導坑では新しい技術や機械などが試され、掘削で得られた地盤状況などの情報は次に掘り進める作業坑の工事に活かされた。最後に着手する本坑の段階では、一通り試行錯誤が済んでいるため工事は効率的に進んだ。工事後も、先進導坑や作業坑などそれぞれ役割を持った複数のトンネルが、新幹線が通る本坑を支えることで青函トンネルは成立している。

1988年3月13日、津軽海峡線の営業が開始され、それから28年経過した2016年3月26日北海道新幹線が開業した。青函トンネルは、これからも新幹線と貨物線を供用しながら、北海道と本州を結ぶ重要な交通網の一翼を担っていく。

地質調査から42年、本工事着手から16年の歳月をかけて完成した青函トンネルは難工事の連続であった。

斜度14度の勾配で地中へ続くトンネルを、ケーブルカーがゆっくりと進んでいく。青森県外ヶ浜(そとがはま)町の青函トンネル記念館に併設された竜飛斜坑(たっぴしゃこう)線を昇降するこの観光用のケーブルカーは、現在、青函トンネルに降り立つことができる唯一の手段だ。地上の記念館駅から距離にして778m、高低差で約200mを7分ほどかけて下ると体験坑道駅に到着。地下坑道の一部は、そのまま見学コースになっていた。ところで青函トンネル内には北海道新幹線が通っているはずだが……。

青函トンネルは、1958年に開通した3461mの関門(かんもん)トンネル(山口県下関市—福岡県北九州市)に次ぐ国内2例目となる海底トンネル工事だったが、その規模から実現は不可能という人もいた。開業までに24年を要したが、その間にさまざまな技術がここで改良され発展していった。代表的な三つの技術は「三種の神器」などと呼ばれる。

神器の一つ目は「先進ボーリング」。本格的なトンネル工事に入る前に掘り進む掘削面に、小さな孔をあけて地質を調べる技術だ。それまで90m程度先までだったものが、青函トンネルでは常時1km先の調査が可能になった。1981年には2150mという世界記録(当時)を樹立している。

だが、北海道新幹線はこの青函トンネルや共用走行区間を有することで特殊性や固有のコスト増要因を抱え、JR北海道にとって大きな負担の一つとなっている。

世紀の長大トンネルである青函トンネルは全長53.85km、そのうち海底部は23.3km。当社は本州方海底部の竜飛工区(13km)を担当した。1972年にスタートした本工事は、作業坑での異常出水や複雑な地質、過酷な作業環境など数々の難関に立ち向かい、1985年3月本坑が貫通した。

トンネル内には現在も絶え間なく水が浸み出している。青森県の竜飛崎(たっぴざき)だけでも毎分10t近くの水が湧くと、説明があった。海底トンネルの維持に排水は不可欠で、青函トンネルでは計3カ所の排水設備のほか予備ポンプや非常用発電機を完備。不測の事態に備えて、先進導坑に一時的に水をためることで約3日間の復旧作業時間を確保する体制を整えている。海底部に湧く水には塩分が含まれ、放置すると塩害で設備の劣化が早まるため、常に気を配る必要がある。

1964年の青函トンネルの着工時から現場で携わり、現在は北海道福島町の青函トンネル記念館でボランティアガイドをしている角谷敏雄さんは、トンネル内で起きた大規模な出水のことを今も鮮明に思い出すという。

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