ガソリン補助延長 遠のく出口戦略

ガソリン補助延長 遠のく出口戦略
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ガソリン補助延長 遠のく出口戦略

ガソリン最高値 補助延長で遠のく「出口戦略」

制度の詳細はまだ公表されていないが、岸田首相が「10月中にはリッター175円程度の水準を実現したい」と発言していることから考えて、現在リットルあたり185.6円となっているレギュラーガソリン価格を9月から一気に175円に戻すのではなく、補助率を(これまでとは逆に)段階的に拡大することでガソリン価格を徐々に引き下げ、10月末までに175円の水準で安定させることを想定しているように思える。

補助の長期化が燃料消費の増加を招いているのも見過ごせない。政府は50年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げるが、22年度のガソリンの国内販売量は7年ぶりに増加に転じ、脱炭素に逆行する状況を生んでいる。

▼レギュラーガソリンの全国小売価格が高騰している▼統計が公表され始めてからの過去最高値は2008年8月の185円10銭。専門家は「過去最高の更新は時間の問題」「200円の大台突破も」と指摘する▼国の補助金は9月末まで。今年1月以降、段階的に縮小してきたが、産油国の減産や円安が想定外▼政府は10月以降も対策を講じることで調整に入ったが、補助金は脱炭素に逆行。予算措置も年間数兆円が必要。その是非は?

今回の延長は年末までとされているが、ガソリン価格上昇に対する国民の拒否反応が極めて大きいことや、冬場の灯油需要の増大を考慮すれば、これも再び延長される可能性が高い。出口は全く見えない状況であり、ガソリン補助金は一段と長期化する可能性が高いと思われる。

今回のガソリン補助金を巡る騒動は、一度始めた補助金を終了することがいかに難しいかを改めて示すものとなった。補助金の縮小が開始され、ようやく終了が見えてきたところでの再度の延長となり、出口は全く見えなくなってしまった。

ガソリン補助金の延長が決まった。ガソリン補助金は6月以降段階的に縮小されており、9月末で終了する予定だったが、ガソリン価格が上昇を続け、過去最高値を更新するなか、国民の不満が著しく高まっていることを受け、政府は再度の延長に追い込まれた格好だ。年末までの延長とされており支援額は9月7日以降拡充されるとのことである。

資源エネルギー庁によると、仮に補助金がない場合、ガソリン価格は195.7円、灯油は134.1円になるとされている。これは、以前の補助金制度が適用されていた5月までのガソリン価格(168円)、灯油価格(111円)と比較して、それぞれ+16.5%、+20.8%程度に相当する。これを元に計算すると、23年11月のCPIコアは、5月までの補助金制度がそのまま続いていた場合と比較して0.5%Pt程度押し上げられるはずだった。しかし、今回表明された延長・拡充策により、ガソリン価格が175円に抑制されることになった場合(灯油は115円と想定)、23年11月のCPIコアは、5月までの補助金制度がそのまま続いていた場合と比較して0.1%Pt程度押し上げられるにとどまる。つまり、今回の延長により、補助金終了と比較してCPIコアは瞬間風速で0.4%Pt押し下げられることになる。影響はかなり大きいといえるだろう。

CPIへの影響を見てみよう。この補助金制度の対象となっているのはガソリン、灯油、軽油、重油、航空機燃料であるが、このうち消費者物価指数に採用されているのはガソリンと灯油だけであるため、この2品目のみの影響を見れば良い(軽油、重油、航空機燃料の価格は消費者物価指数に反映されない)。なお、ここでは、ガソリン価格がリットルあたり175円で安定する23年11月時点での影響について考えることにする。

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