産業用の大麻 深刻な後継者不足
産業用大麻の全国最大の産地・栃木県では、薬物の大麻とは異なり、麻薬成分のほとんどない無毒性品種「とちぎしろ」が栽培されている。この品種は1982年に県が独自に開発した。
沖縄県内でも経済成長の維持に向け、沖縄県が事業承継に係る費用の一部を補助する「沖縄県事業承継推進事業」を実施するなど、行政や金融機関が推進に取り組んでいる。事業承継の件数も増えており、地域の雇用維持、産業発展の継続に一役買っている。
沖縄県産業振興公社では、事業継続と雇用維持、技術を継承することで、持続的な県経済の活性化を図るため、8月16から「沖縄県事業承継推進事業」の公募を実施している。
国内では薬物の大麻と同様に大麻取締法で規制されている産業用大麻。厚生労働省によると、50年代に全国で3万人以上が栽培していたが、生産者は2021年末時点で27人にまで激減した。年間約2000キロがしめ縄用などに出荷されるが、希少なためビニール製で代用する神社もあるという。
全国の栽培面積の半分以上に当たる約4ヘクタールで栽培する大森さんは、麻の丈夫さを生かして活用の幅を広げようと、麻製の紙や建築資材の開発に挑戦している。今年2月には大阪市の繊維商社とともに麻製の紙器を商品化。企業からの問い合わせも増えており、「用途を広げて経営を安定させ、若者にとって魅力のある産業にしたい」と話す。
かつて大麻は衣類や漁具など幅広く利用されてきたが、外国産や化学繊維の普及で需要が減少。以前は6000人近かった県内の生産者は12人に減った。その大半は60~70歳代で後継者不足が深刻だ。江戸時代から続く鹿沼市の麻農家で、元横綱・白鵬関の化粧まわしの麻を生産した大森芳紀さん(44)は「このままでは日本から麻農家が消えてしまう」と嘆く。
全国的に課題となっている中小企業や個人事業主の廃業問題。創業から培ってきた経営資源やノウハウを失うだけでなく、従業員の雇用喪失、取引先の売り上げ減少など地域経済にも深刻な影響を与えている。後継者不在率が全国トップの沖縄は、廃業が増える懸念が高い。一方、親族や従業員、他企業に事業をつなげる事業承継が広がっており、行政や金融機関は「相談することで新たな道が開ける」と呼びかけている。
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