かねて財務省は「水準そのものが判断基準にはならない
財務省の神田真人財務官は3日に円が急騰した翌4日、為替介入の有無について「コメントを控える」と話していた。26日も1ドル=150円台後半まで下げた後に急速に円が買われ、149円台後半まで円高が進む場面があった。
米国財務省は6月16日、為替政策報告書を公表した。同報告書は半期ごとに議会へ提出されており、財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、今回は2022年12月までの直近1年間の為替政策を分析・評価した。
(注1)財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、(1)大幅な対米貿易黒字(年間150億ドル以上の財・サービス貿易黒字額)、(2)GDP比3%以上の経常収支黒字、または為替レート評価フレームワーク(GERAF)を用いて財務省が実質的に経常収支「ギャップ」があると推定した場合、(3)持続的で一方的な為替介入(過去12カ月間のうち8カ月以上の介入、かつGDP比2%以上の介入総額)という3つの基準。
政府、日銀は9月28日~10月27日の間も外国為替市場に介入しなかった。財務省が31日発表した。
このレートチェックは、本来は財務省が為替介入を決めた時点で、日本銀行が、財務省の求めに応じて為替介入を実施する直前の段階で行うものである。ただし昨年は、レートチェックを実施しても、直ぐには為替介入は実施されなかった。従って、この時のレートチェックは、為替介入の実務とは関係なく、市場をけん制する狙いで実施されたものであった。これを日本銀行が自らの判断で実施したのか、それとも政府からの要請で実施したのかは明らかではない。
貿易赤字が突出している中国については、為替介入の有無を公表しておらず、為替レートの仕組みに関する透明性を欠いている異例の国として、前回と同様に批判している。こうした不透明性が、貿易不均衡の問題に加え、中国が監視リストに指定され続ける理由として、財務省は今後も動向を注意深く監視していくとした。
かねて財務省は「水準そのものが判断基準にはならない。あくまでボラティリティー(変動率)の問題だ」(鈴木俊一財務相)と、過度な値動きかどうかを見極めて為替介入の是非を判断する姿勢を見せてきた。
財務省は31日、政府・日銀による9月28日〜10月27日の為替介入実績がゼロだったと発表した。為替市場では10月3日に一時1ドル=150円台まで下落し、その直後に147円台まで円高が進んだため、政府・日銀が介入に踏み切ったとの観測が流れていた。
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