11月3日の米国雇用統計の予想と戦略「米追加利上げ観測が再燃するか、娯楽・接客がポイント」2023年11月号-By 外為どっとコム総研

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11月3日の米国雇用統計の予想と戦略「米追加利上げ観測が再燃するか、娯楽・接客がポイント」2023年11月号-By 外為どっとコム総研

雇用統計・ライブセミナー(2023年11月3日(金) 19:30~21:00)

雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2023年11月3日(金) 21:00~23:00)

執筆日時:2023年11月1日 14時00分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

11月3日の米国雇用統計の予想と戦略「米追加利上げ観測が再燃するか、娯楽・接客がポイント」2023年11月号-By 外為どっとコム総研

目次

1.はじめに

2023年11月3日(金)、日本時間21時30分に米国の10月雇用統計が発表されます。市場では、年内の追加利上げの織り込みが低下する中で、12月にFRBが追加利上げを迫られるのかどうか、着目しています。FRBはビハインドザカーブ(景気や物価の上昇に対して意図的に利上げのタイミングを遅らせる金融政策)を狙っている様子ですが、果たしてFRBの思惑通りに事が運ぶのか、雇用統計の結果が注目されます。 では振り返りからです。

2.前回のおさらい

・9月NFPは33.6万人増
・労働市場は利上げに十分な力強さ

10月6日、米労働省が発表した9月の非農業部門雇用者数(NFP)は33.6万人増と、市場予想(17.0万人増)を上回る伸びを示しました。伸びの幅は過去8カ月で最大です。卸売業・小売業・ヘルスケア・娯楽が好調だったほか、トラック運送がリバウンドしたことが全体をけん引したようです。また、失業率は3.8%へ悪化した一方、時間給は前月比で0.2%の伸びに留まりました。雇用統計の結果を受けて、労働市場と経済が十分な強さを維持しているのではとの認識が広がりました。

図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:米国労働省
NFP表

148.95円付近だった米ドル/円は、NFPの上振れを受けて149.523円まで上昇しました。その後は、利食い売りに頭を抑えられ149.05円付近まで調整したものの、同水準では買い戻しが入り底堅さを維持しました。米長期金利は、米金融引き締めの長期化観測から、一時4.885%前後と2007年以来の高水準を付けたほか、売りが先行したダウ平均株価は後半買い戻され、288.01ドル高の33407.58ドルで取引を終えました。

図表2.前回発表前後のドル円の動き
USDJPY30分チャート
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

3.今回の見どころ

・専門家の評価は尚も慎重
・娯楽・接客分野はホットスポット
・UAWスト解決観測で、来月は増加か

米国の労働市場は、上で見たようにFRBの年内追加利上げに向け労働市場が十分な強さを維持していることを示唆しています。実際に、求人大手インディードのReal-Time Job Posting Dataも低下ペースが緩み、新規失業保険申請件数も歴史的に見れば低水準を維持しています。しかし、専門家の評価は、尚も慎重なトーンが強い状況です。雇用情勢の先行指標と見られる人材派遣分野の減少が続いているほか、回復が遅れていた「娯楽・接客」もコロナ前のレベルに到達してきたことで、今後の雇用拡大ペースが鈍る可能性があります。また、週平均労働時間の減少傾向や賃金上昇のペース鈍化などもあり、労働市場のひっ迫が和らいでいるとの見解で、FRBが利上げを慎重に判断するだけの時間はあるとの見解のようです。

図表4.雇用関連データ

米雇用データ
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成

もっとも、9月の米個人消費支出(PCE)統計では、食品とエネルギーを除くコアベースでの価格指数の伸びが前月比で加速するなど、向こう数カ月における追加利上げの可能性は残されています。実質可処分所得は3カ月連続のマイナスで、貯蓄を取り崩しての消費は続かないとの見方はあるものの、消費拡大が続くようならインフレ再燃への警戒が高まりそうです。前月雇用が好調だった娯楽・接客分野の週平均賃金の伸びは前月比で1.2%と他を圧倒し、インフレの芽は完全になくなっていない様子です。今月は全米自動車労組(UAW)のストライキ拡大の影響で、雇用が2万9千人失われ、NFPも長期トレンドの15~20万人程度に減速が見込まれていますが、ストライキは終結に向かっているため、材料としては賞味期限が切れています。娯楽・接客分野の動向の好不調が労働市場の好不調を左右することになるのではないでしょうか。

図表5.週平均賃金の推移

米雇用データ
出所:米労働省のデータを基に外為どっとコム総研作成

☆想定するシナリオ

ドル円の反応予想
※本指標発表後、5分の値幅(過去3カ月):平均49銭
出所:外為どっとコム総研

図表6.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2023年10 18.3 3.8
2023年09月 16.8 33.6 3.7 3.8
2023年08月 17.0 18.7 3.6 3.8
2023年07月 20.0 18.7 3.6 3.5
2023年06月 22.5 20.9 3.6 3.6
2023年05月 19.5 33.9 3.5 3.7

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2023年10月 0.3
2023年09月 0.3 0.2 62.8
2023年08月 0.3 0.2 62.6
2023年07月 0.3 0.4 62.6
2023年06月 0.3 0.4 62.6
2023年05月 0.3 0.3 62.6

 

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2023年10
2023年09 51.2 53.4
2023年08月 48.5 54.7
2023年07月 44.4 50.7
2023年06月 48.1 53.1
2023年05月 51.4 49.2

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

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11月3日の米国雇用統計の予想と戦略 米追加利上げ観測が再燃するか 娯楽

加えて、今回の平均時給は前月比0.3%の上昇でしたが、公益が同2.4%、さらに娯楽・宿泊が0.8%の押し上げが寄与していました。さらに、2020年2月比でプラスを確保する卸売が下落に転じたほか、景気敏感な小売やその他サービス、金融が下落。労働市場のひっ迫は徐々にゆるみつつあり、米雇用統計・NFPは減速する蓋然性が高いと考えます。金融不安が高まるならば、景気後退懸念が再燃すると共に、利下げ転換に向けた観測を強めるでしょう。

グッドフライデーを受け米株市場が休場のなか、ドル円は米雇用統計表直前に131.54円へ下落した後、一時132.38円へ上昇しました。ただし、上値では一目均衡表の雲の下限にぶつかり、以降は伸び悩んだ格好です。米国市場は来週月曜にオープンしますが、欧州やオセアニアの市場が引き続き休場であるため、為替の方向性が出てくるのは米3月消費者物価指数が発表される直前の11日火曜日となりそうです。米10年債利回りは3.4%を回復して短縮取引を終えました。

しかし、NFPを業種別でみると引き続き娯楽・宿泊が3割を占め、偏りがみられます。その上、米銀破綻で揺れる金融は2カ月連続で減少しました。また、米3月ISM製造業景況指数が5カ月連続で分岐点を割り込んだだけでなくコロナ禍を除けば2009年以来の水準に落ち込んだように、財部門の雇用が23カ月ぶりに減少。建設が14カ月ぶりに減少に転じ、且つ製造業が2カ月連続で弱含んだためですが、特に建設は商業不動産ローンのデフォルトが懸念されるなかで腰折れしており、金融の雇用減少と合わせ金融不安がにじむ結果と言えるのではないでしょうか。

年内は5月FOMCの利上げでピークアウトし、6月の据え置きの後、7月の利下げ転換、11月と12月を含め年内3回の利下げを織り込みます。

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