東京市場オープニングコメント
「ドル・円は主に150円台で推移か、米国株高を受けてドル売り拡大の可能性低い」
2日のドル・円は、東京市場では150円97銭から150円15銭まで下落。欧米市場では150円58銭から149円85銭まで反落したが、150円48銭で取引終了。本日3日のドル・円は主に150円台で推移か。米国株高を受けてリスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。
2日の米国株式市場では主要3指数が上昇。S&P総合500種とNYダウ平均は終値ベースで10月17日以来の高値をつけた。市場参加者の間では「利上げサイクルは終了」との見方が広がっており、株式相場に対する支援材料となった。一部では「来年後半までに利下げが開始される可能性は高い」との声も聞かれている。2日のNY原油先物は反発したが、米国株高や長期金利の低下を意識した買いが目立った。ただ、レバノンの武装組織ヒズボラとイスラエル軍の戦闘は激化しつつあり、これに伴い中東情勢の悪化も警戒されているため、原油の供給不安が高まる可能性は残されている。そのため、一部の参加者はリスク選好的な為替取引がさらに拡大する可能性は低いと指摘している。
《午前8時現在》 ドル・円: 149.80円-151.00円 149円台後半でドル買い興味
ユーロ・円: 159.00円-160.30円 159円近辺でユーロ買い興味
豪ドル・円: 96.00円-97.30円 96円近辺で豪ドル買い興味
通貨別分析
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株式会社フィスコ
ドル円の想定変動率は 昨年の円買い介入時に比べて低いです
ただし、過去の米利下げ局面では、利下げ開始の前に投機筋の米ドル買い円売りポジションは解消される(米ドル売り、円買いが起きる)傾向があります。タイミング的には、利下げの3ヶ月から半年程度前から本格化しました。
円安になると輸入については不利になります。これまで1ドルの製品を100円で輸入できていたものが120円必要になる状態です。日本は多くのものを輸入に頼っています。石油など資源エネルギーの輸入コストが上がると、電気・ガス代、ガソリン代などが値上がりします。輸入食品の値上がりも私たちの日々の暮らしに影響が出ます。海外旅行も割高になり行きにくくなります。
ドル円は、10月3日に150円台まで円安に動いた後、一時的に147円台まで2円以上急落する局面がありました。市場では、日本政府が円買い介入を実施したとの観測が広がりましたが、日銀当座預金の動きからみて、為替介入が入った可能性は低いとみられます。
7月の日銀金融政策決定会合の結果などから、今後のドル円の見通しを考えてみます。結論からいえば、ドル円は、日米金利差に伴う円安圧力と来年の米利下げを睨んだドル安円高圧力との綱引きになるでしょう。長期のトレンドはドル安円高と考えます。
その場合、2007年との違いは、ドル円のインプライドボラティリティー(予想変動率)の大きさになります。日米の政策金利差をリターンとすれば、予想変動率はリスクともいえます。今のドル円の1か月の予想変動率は10%程度ですが、投機筋の円キャリートレードが急増した2006年7月から2007年6月のドル円の予想変動率は、平均で7%台でした。今の予想変動率は、円キャリートレードが大幅に増加するにはまだ高いでしょう。
アメリカの10年金利は、8月末の4%台から4.9%近辺まで上昇し、米ドル高をけん引しています。ドル高円安が続くかは、アメリカの金利上昇が続くか次第だと考えます。9月の米雇用統計などから、ドル円の見通しを考えてみましょう。結論からいえば、当面のドル円は米国景気の強さを反映して円安基調が続くと想定しますが、今後、米国景気の減速感が確認されれば、ドル安円高方向に変わっていくと予想します。
円安傾向が強まっています。今回の円売り・ドル買いの流れの源流を辿ると米国の金融政策の大転換に至ります。米国では現在、急激な物価上昇が発生しています。サプライチェーンの問題に加えそもそも景気が拡大し需要が強いことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻で原油や小麦といった商品市況の上昇も大きな影響を与えています。 ドル円相場を取り巻く環境を把握するには、中央銀行の金融政策、金利、景気動向を正確に理解する必要があります。
筆者は、今後、為替介入が実施されて、1ドル150円前後の水準から一旦140円を割るところまで円高方向の修正が起こるとみる。問題は、その後で金融緩和の方針に修正が着いてくるかどうかである。9月9日の読売新聞での植田総裁のインタビューは、年内利上げに言及する刺激的なものだった。しかし、9月22日の定例会見ではそれをあっさりと否定する。それもあって、返って円安が進んでしまった。
市場では、年内の米利下げ開始をほとんど織り込んでいません。アメリカの10年金利が低下する余地は小さいでしょう。今のアメリカ10年金利は4%程度であり、円10年金利は0.4%台なので、日米金利差は3.6%程度です。昨年3月からの日米10年金利差とドル円の相関からみて、ドル円は142円台が適正な水準と試算します。今のドル円は、日米10年金利差からみて適正水準に近いと考えます。
しかし、6月以降の米経済指標は底堅く、高めの政策金利を長く続けたいと考えるFOMCメンバーが増える可能性があります。その場合、2024年末の政策金利見通しの中央値が上方修正されて、米金利が上昇すると考えます。ドル高円安要因でしょう。
結論からいえば、当面のドル円は、138円前後で高下した後、日銀の政策修正の有無で高下すると考えます。円高方向を警戒します。
また、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、スタッフ見通しが上方修正され、2023年末にかけて景気は減速するものの、後退しない見立てとなった。そうであれば、利下げはさらに遠くなる可能性がある。こうした流れが反転するには、日本の消費者物価指数が上振れて、市場が日銀の金融緩和の修正を織り込むか、もしくは米国景気の一段の減速または景気後退などから米利下げが織り込まれることで、投機筋が円高・ドル安へ投資ポジションを修正することも必要だと考えられる。
ここで、円安と円高について整理しておこう。たとえば1ドル=100円だった円相場が1ドル=110円になった場合は「円安」だ。これまで100円で買えた1ドルの商品が、円安になると110円が必要になるため、「円安=円の価値が低くなった」となる。反対に、1ドル=100円だった円相場が1ドル=90円になった場合は「円高」だ。円高になると1ドル=100円だった商品が90円で買えるため、「円高=円の価値が高まった」となる(図1)。
10月末から11月初めに、日米の金融政策を決める会合が予定されています。日銀金融政策決定会合では、展望レポートで経済物価見通しが更新されます。市場は、日銀が来年1-3月にもマイナス金利を解除することを想定しています。前回7月の物価見通しでは、2023年度と2024年度の物価見通しには上振れリスクありとの判断でした。今回10月見通しでは、2024年度や2025年度のCPIコア見通しが2%程度まで上方修正されるかに注目です。ただし、円10年金利が上昇しても、アメリカの10年金利の変動幅に比べれば小さいため、アメリカの金利動向がドル円には重要と考えます。
ただし、ドル円が150円を超えて上昇するならば、日本政府の円買い介入が入る可能性があります。ドル円の想定変動率は、昨年の円買い介入時に比べて低いです。しかし、日本政府高官は、年初からみて20円以上も円安に動いていることに言及するなど、やや長めの時間軸で為替変動をウオッチしていることを示唆しています。昨年の円買い介入後に、円高転換したのは、米10年金利の低下局面と重なったためだと考えています。米10年金利の動きが重要でしょう。
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