
週明けロンドンの為替市場でユーロは、対ドルでは先週末同様に米長期金利の方向性、対円では株式市場の動向を見定めながらの取引となりそうだ。経済指標では、改定値ではあるが欧州の10月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、また金融当局者の講演も予定されている。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や10月雇用統計を受けて、米金利先高観が一気に後退するどころか、短期金融市場では来年5月の米利下げまで視野に入れ始めた。週明けアジア市場では時間外の米債利回りはやや上昇して始まったものの、ユーロドルなどの下押しは限定的。本日は米国から特段の材料も無いため調整があったとしても限られ、先週末の流れが基本的に続くと見ておきたい。
株式市場は米金利低下を好感した買いが優勢。依然として「Bad news is good news(悪いニュースは良い知らせ)」という反応であり、暫くは同じような動きなのだろう。もっとも今後、経済活動の減速がより顕著となれば、さすがに「Bad news is bad news」に戻ることになってもおかしくはない。いずれにせよ本日は、リスクセンチメントの強弱に目を向けた取引きとなる。
本日の仏独ユーロ圏の10月サービス部門PMI改定値は、速報値から変わらず50割れの低調な結果が予想されている。仏で広がるパレスチナ支持のデモがサービス部門に悪影響を与えている可能性はあり、仏PMIについては下振れを警戒しておきたい。
金融当局者の講演では欧州午前にデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、午後に入りホルツマン・オーストリア中銀総裁が予定されている。ECB副総裁は先週、「基調インフレの減速は重要な要素」と述べ、前年比2.9%まで伸び率が低下したユーロ圏消費者物価指数(HICP)を評価した。本日はECB理事会内でタカ派としてしられるホルツマン氏の意見がより注目されそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・雲の上限1.0814ドル
・ユーロ円、ピボット・ターニングポイント161.36円
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0632ドル
・ユーロ円、3日安値159.60円
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
ユーロドルの見通しは今後の金利の動向次第といえるでしょう
ユーロドルの見通しは今後の金利の動向次第といえるでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大が収まり、ワクチン接種が進むアメリカでは経済が急速に回復しています。景気が過熱すると金利上昇期待が高まりますが、FRBは2023年まで低金利政策を維持するとしています。ECB(欧州中央銀行)もユーロ圏の経済回復は不十分とし、金融緩和は継続姿勢です。
5月から6月にかけて、ドル円相場はほぼ一本調子でドル高・円安方向に進んでいます。背景にあるのは、改めて意識される日米の金融政策の温度差です。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利自体は据え置きとなったものの、ドットチャート(政策金利見通し)は上方修正され、年内残り2回の利上げが示唆されました。一方、日銀の金融政策決定会合では大規模緩和の継続が決定され、植田総裁は拙速な金融引き締めが安定的な物価目標達成の芽を摘んでしまう可能性を強調。改めて日銀の金融政策の方向性の違いが浮き彫りとなりました。
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