目次
▼最新のドル円相場は…151円台へ持ち直し、トレンド転換ではなく押し目だった
▼ドル円相場をテクニカル分析で確認…天井観測は一旦解消、153円を目指す展開も
▼ターニングポイント…円安・ドル高トレンド継続、ドル/円は上値試しの展開へ?
▼来週のイベント
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最新のドル円相場は…151円台へ持ち直し、トレンド転換ではなく押し目だった
今週のドル/円は、149円台から151円台へ持ち直す展開。3日の米10月雇用統計の結果を受けて149円台へ下落ましたが、大きく下落した反動や米長期金利が反発したことでドル買い・円売りに傾き150円台を回復しました。その後もじり高推移が続く中、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」などとタカ派寄りの発言をしたことでドル買いが優勢となりました。一時151.45円前後まで値を戻してきました。
ドル円相場をテクニカル分析で確認…天井観測は一旦解消、153円を目指す展開も
ドル/円の週足チャートを見ると13・26・52週移動平均線が上向きを維持しており、強気のパーフェクトオーダー(移動平均線が上から短中長期の順)を形成しています。また、RSIが70ラインを急角度で突破してきたことから上昇基調の勢いが加速したと見れます。このまま陽線で越週すれば、先週の上ヒゲ陰線などによる天井観測は一旦解消したと考えます。つまり、さらに上値を拡大する可能性が浮上したという事になります。今後は、昨年高値151.94円前後や153円付近※が上値メドとして意識されそうです。なお、反落した場合でも13週線が位置する148円台後半を下値に底堅く推移する可能性があります。
※今年のトレンドは5波動で形成されています。そのためエリオット波動として考えると、第3波動が1番大きい値幅になる可能性が高いことから、②から③への上昇幅を④にプラスした152.65円が上値メド?
※値幅観測論で③から④への下落幅の倍返しだと152.91円が上値メド?
ターニングポイント…円安・ドル高トレンド継続、ドル/円は上値試しの展開へ?
ドル/円を月足で見ると、円安・ドル高トレンドはまだ続きそうです。昨年と比べるとスピード感は無いものの、昨年は成し遂げれなかった終値で150.00円突破をクリアしたことから堅調地合いが続いていることがわかります。また、今月のローソク足は150.00円を下値支持に下ヒゲを伸ばし反発していることから底堅さも窺えます。日本政府・日銀による円買い介入が警戒されますが、現在の日米中銀による金融政策スタンスに変化がなければ、ドル/円は更なる上値を試す可能性もありそうです。トレードで重要なことは、トレード出来る環境を持っておくことです。今が買い場と判断してもトレード環境が整っていなければチャンスを逃してしまいます。チャンスは自ら捕まえに行くものと意識して、思い立ったらすぐに注文が出せるように、準備を行っておきましょう。
来週の重要イベント
11/14☆英10月雇用統計
11/14☆独11月ZEW景況感調査
11/14☆米10月消費者物価指数
11/14◎米グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
11/15☆日本7-9月期GDP・速報値
11/15☆豪7-9月期賃金指数
11/15☆中国10月小売売上高
11/15☆中国10月鉱工業生産
11/15☆英10月消費者物価指数
11/15◎ユーロ圏9月鉱工業生産
11/15◎欧州委経済予測
11/15☆米10月小売売上高
11/15◎米10月生産者物価指数
11/15◎米11月ニューヨーク連銀製造業景気指数
11/16◎日本10月貿易収支
11/16☆豪10月雇用統計
11/16☆ラガルドECB総裁講演
11/16☆米新規失業保険申請件数
11/16☆米10月鉱工業生産
11/16◎米ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁講演
11/16◎米バーFRB副議長講演
11/17◎英10月小売売上高
11/17☆ラガルドECB総裁講演
11/17◎ユーロ圏10月消費者物価指数・改定値
11/17◎米グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
11/17◎米つなぎ予算期限
☆特に重要 ◎重要 ※カレンダーにないイベントも掲載することがあります
外為どっとコム総合研究所の研究員、宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)が、FX初心者の方にも分かりやすいよう、予想の値動きを示し、FX為替予想を行います。
月~木曜日 Eveningライブ(17時から)で海外市場での注目ポイントを解説
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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そうなるとドル円相場にも大きなインパクトを与えると思います
ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、151.95まで急反発しました。
こうした中で、さすがに米ドル買い・円売りへのポジションの偏りも目立ってきました。ヘッジファンドのポジションの目安とされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、先週までに売り越しが10万枚以上に拡大し、年初来の最高に迫ってきました(図表4参照)。
加えてドルスイスとドル円の想定レンジから、マトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)を作成しています。
ドルスイスのレンジを0.8700から0.9800、ドル円を126.00から140.00としましたので、これから算出されるスイスフラン円の最大想定レンジは、128.57から160.92となりますが、広すぎるので134.38から153.76とします。
当然ですが、米ドル/円が米金利と連動する中では、米金利上昇局面において為替介入で米ドル高・円安を止めるのは困難ですが、米金利低下局面では介入によって米ドル高を止めること、米ドル安に押し戻すこともやりやすくなります。
今回も、ドル円の上昇トレンドに過熱感はなく、米実体経済の強さを伴ったドル全面高に介入で対抗するのは難しそうだ。しかし、今後米国の経済指標が市場予想を下回るなど、弱いものが目立ちはじめれば、昨年同様、介入の効力は高まるのではないか。折しもシカゴIMM通貨先物ポジションの投機筋の円の持ち高は、ネットの円ショート・ポジションが徐々に膨らみ、9月19日時点で10万枚を超えてきた。これらを踏まえれば、介入のXデーは近づいているようにも見える。
テクニカル面からまず、スイスフラン円を構成するドルスイス相場の長期月足をチェックしておきましょう。
ドル/円を月足で見ると、円安・ドル高トレンドはまだ続きそうです。昨年と比べるとスピード感は無いものの、昨年は成し遂げれなかった終値で150.00円突破をクリアしたことから堅調地合いが続いていることがわかります。また、今月のローソク足は150.00円を下値支持に下ヒゲを伸ばし反発していることから底堅さも窺えます。日本政府・日銀による円買い介入が警戒されますが、現在の日米中銀による金融政策スタンスに変化がなければ、ドル/円は更なる上値を試す可能性もありそうです。トレードで重要なことは、トレード出来る環境を持っておくことです。今が買い場と判断してもトレード環境が整っていなければチャンスを逃してしまいます。チャンスは自ら捕まえに行くものと意識して、思い立ったらすぐに注文が出せるように、準備を行っておきましょう。
それにしても、3月に115円程度だった米ドル/円が、10月には150円を一時上回りました。約7ヶ月で40円近くもの記録的な大幅上昇となりました(図表3参照)。7月に140円手前で米ドル高一服となり、130円まで米ドル急落となった場面はありましたが、そこからは再び「止まらない米ドル高・円安」となり、2ヶ月余りで20円以上の米ドル高・円安が展開したわけです。
第3には、やはり何といっても米国経済の減速による米長期金利低下がドル安のカギとなろう。米政策金利はリーマンショック直前の5.25%を超えたが、それでも経済は強さを保っているため、そもそも、米国経済の潜在成長率自体が上昇しているのではないか、という議論がある。
以上を踏まえた上で、11月の米ドル/円は、145~153円のレンジを中心とした展開を予想します。
過去日銀総裁人事は、財務省と日銀の出身者が、たすき掛けで総裁に就くという慣例がありましたが、黒田総裁の評価は高かったとしても、財務省畑の出身であり、現実的にも異例の2期10年となる過去最長の就任期間に、インフレ目標やデフレの克服ができたとは言えません。特に次の総裁には、現在行っている異例規模の国債買入や世界的に唯一マイナス金利を導入している日銀の出口戦略が大きな課題となりそうです。テクニカル面でも相当難しい判断が迫られそうです。その面では、副総裁を経験した日銀プロパーの2名となる可能性が高く、その場合本当の意味で、日銀が利上げスタンスに変貌する日が訪れるかもしれません。そうなるとドル円相場にも大きなインパクトを与えると思います。
利上げ前に比べれば金融環境はそれなりに引き締まっており、予想以上に時間がかかっているものの、今後米国経済は緩やかに減速する可能性が高いとみている。ただ「緩やか」な減速であれば、ドル円の下落も大幅なものにはなり難く、来年を通しても1ドル=130円を大きく割れるほどの大幅なドル安・円高は見込み難くなっている。
しかし、米国側の要因、つまり米国の10年金利が再び5.0%に接近することを契機に、25日には1ドル150円を超えて円安が進んだことから、日本銀行としてはそのような批判を強く警戒する必要性が薄れているかもしれない。
さらに政府の為替介入で再び1ドル140円台となれば、円安を容認しつつ日本銀行がYCCの現行の枠組みを維持するために長期金利の上昇を抑え込むことができる余地が生まれる。
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