執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼11月13日週のユーロ/円、ポンド/円は後半に明暗が分かれる
- ▼ユーロ/円、センチメント改善が漸進するか注視
- △▼【ユーロ/円チャート 日足】
- ▼ポンド/円、上昇チャネルの上限に到達
- △▼【ポンド/円チャート 日足】
- 11/20 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年11月17日 16時10分
上昇継続も、目先は調整含みか!
11月13日週のユーロ/円、ポンド/円は後半に明暗が分かれる
米国のインフレ減速から、米ドルの上値が重くなった反動でユーロやポンドが上昇したため、ユーロ/円は163.80円付近、ポンド/円は188.287円まで上昇しました。その後、ユーロ/円は株高を受けた円安の流れで2008年8月以来の高水準となる164.306円までレンジ上限を広げた一方で、ポンド/円は英国の消費者物価指数の大幅低下から英国の追加利上げ観測が後退し、186.60円台まで押し戻されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FX ライブ配信、今年最大のドル売り場到来か (2023年11月16日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロ/円、センチメント改善が漸進するか注視
欧州委員会は最新の経済見通しを公表し、23年(0.8%→0.6%)、24年(1.4%→1.2%)の成長率見通しを各々小幅に引き下げました。高インフレに伴う金利上昇や外需の弱さが要因としており、ユーロ圏経済への向かい風は完全に止んでいないようです。こうした点は、ユーロ/円の上値抑制材料とされます。一方で、ユーロ/円のサポート材料もあります。これまでタカ派で先頭を走ってきた米国の追加利上げ観測の後退が、グローバル経済に好影響を与えるとの見方を通じて、投資家のリスク選好ムードが高まり始めたためです。低ボラティリティの中、リスクセンチメントが良好な状況では、円キャリートレードが出やすくなる傾向があります。もっとも、中国の低成長や中東の地政学リスクなどリスク選好ムードを十分に高めるだけの材料が揃っているとは言えず、来週発表の各種景況感指数がこの期待を補強するか注目されます。
ユーロ/円は、各種トレンドラインが上昇傾向を示して底堅さが意識される中で、ユーロ/米ドルが1.1000ドル回復を目指す流れが強まれば、166.000円を試す展開も考えられます。一方で、調整が入るようなら、157.697円(10月30日安値)~164.306(11月16日高値)の上昇幅の38.2%押しとなる161.781円付近で踏み止まれるかがポイントになりそうです。ここを下抜けした場合は、160.500円が意識され始めると考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:160.500-165.500
ポンド/円、上昇チャネルの上限に到達
英国の10月消費者物価指数は前年比で4.6%と、9月の6.7%から大きく低下しました。これは、昨年に公共料金が値上げされたベース効果によるものですが、インフレ圧力の緩和は英中銀による追加利上げ観測の後退につながり、ポンドの上値抑制要因として意識されます。もっとも、インフレが高水準であることは変わりがなく、直ちに利下げの議論に進むとも考えにくく、ポンドの下値も限定されるのではないでしょうか。来週は、ベイリー英中銀総裁が議会証言を行うため、金融政策の見通しに対してどのような見解を語るのか注目されます。
ポンド/円は178.052円(10月3日安値)を起点とする上昇チャネルの中で、底堅い推移が続いています。いったん上限に達したため、目先は調整を挟んで再度、切り返す格好になるのではないでしょうか。日足一目均衡表・基準線(184.524円)付近まで引き付けて、押し目を拾いたいと考えます。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:182.500-188.500
11/20 週のイベント
11/20(月) 16:00 ドイツ 10月生産者物価指数(PPI)
11/20(月) 19:00 ユーロ 9月建設支出
11/21(火) 19:15 イギリス ベイリー英中銀総裁、議会証言
11/21(火) 25:00 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
11/22(水) – イギリス 秋季財政報告、公表
11/22(水) 24:00 ユーロ 11月消費者信頼感(速報値)
11/23(木) 18:00 ユーロ 11月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
11/23(木) 18:00 ユーロ 11月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
11/23(木) 18:30 イギリス 11月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
11/23(木) 18:30 イギリス 11月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
11/23(木) 21:30 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨、公表
11/24(金) 9:01 イギリス 11月GFK消費者信頼感調査
11/24(金) 16:00 ドイツ 7-9月期国内総生産(GDP、改定値)
11/24(金) 18:00 ドイツ 11月IFO企業景況感指数
11/24(金) 19:00 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
一言コメント
新橋駅で、米メジャーリーガーの大谷選手が2度目の満票でMVPを獲得したニュースの号外が配られていました。大谷君すごいですね。でも、号外を配っているところを目撃したのが、実は人生で初めだったことに気づいたことの方が、もっと驚きでした。
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来週の為替予想 ポンド 円
次にテクニカル面から1989年からのドル円相場の月足チャートを見てみましょう。 1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、151.95まで急反発しました。
このページではそんなポンド円の見通しをテーマに解説していきます。ぜひ最後まで読んで、取引の参考にしてください。
2021年12月の利上げは市場予想に反するものであったことから、一時的にポンドの買いが強くなりましたが、今後は据え置きを続けるとの見方から、通貨買い圧力は薄くなるのではないかという見方が多いのも現状です。
しかし、段階的な利上げが継続されたことでポンド買いが加速し高値圏で停滞している状況です。
その後は、コロナショックやロシアウクライナ問題などの影響により、世界で大規模なインフレが発生。 世界各国では、ハイペースな金融引き締めを行い、2023年現在では、約180円で推移しています。
しかしながら、英国内でEU離脱に対する懸念が高まり、2015年6月の195円をピークに大きく下落を始めます。
2026年4月のポンド円予想。当月始値 217.37、最低 212.49、当月最高 218.97。平均 216.14。月末 215.73。変更 -0.8%。
2023年11月時点で、183円台にまで高値更新をしています。
来週は14日に賃金を含めた雇用データ、15日に消費者物価指数CPIと、重要指標が並んでいます。賃金データでは、伸びがピークアウトしてインフレ圧力の緩和が感じられるのかどうかが注目されます。また、昨年、公共料金の引き上げによる影響が薄れると期待されるCPIがどこまで低下してくるのかもポイントです。これらのインフレデータが想定以上に弱ければ、利上げ観測が修正されてポンド売りが強まる可能性がある一方、予想以上に強ければインフレ長期からか追加利上げが意識されて、ポンドは強含みそうです。もっとも、英国の成長見通しが不確実なため、仮に上向きに進んだとしてもポンドの上昇幅は限られるのではないでしょうか。ポンド/円のチャート形状的には、今年、8月に付けた186.765円が意識されるレベルで、ここを超えてきたときは、2015年11月高値の188.812円が次のターゲットになります。歴史的に見てかなり割高感が強まっているように見受けられるため、上値追いは慎重に行きたいです。個人的には、186円台乗せでは軽く、売りで勝負したいと考えています。
リポートの作成時点では、情報量が少ないのは残念ですが、2022年は、米国の中間選挙を始め、欧州や日本の選挙、中国の共産党大会など大きなイベントがありましたが、2023年は材料の少ない年となりそうです。ウクライナ情勢を除くと、英国に関しては、特別なことはありませんが、今年は政治で相場が荒れたこともあって、スナク政権の景気対策と英中銀のインフレ退治が功を奏すのかが大きな焦点となります。また、スタージョ・ン・スコットランド首相が、2023年10月に、スコットランド独立を問う2度目の住民投票を実施すると表明していましたが、イギリスの最高裁判所が、「北部スコットランドの自治政府がイギリス政府の同意を得ずに独立の是非を問う住民投票は実施できない」との判断を下しており、実施は難しくなっています。ただ、スタージョン首相は「スコットランドの人々が意思を表明できる民主的な別の手段を見つけなければならない」と述べていて、引き続き独立の道を模索する考えを示しています。2023年は難しいとしても、一応この問題が度々市場の話題となる可能性は残っていることは注意しておきましょう。 その他これは余談ですが、一部に年後半に、「ブレグジットの再投票」が実施されるとの噂が出ているようです。信憑性は薄いと思いますが、EUに復帰を望む声が残っているようで、もしこれが実現身を帯びて来るようなことがあれば、またポンド相場が大波乱となることは、留意しておきましょう。
11/3の米10月雇用統計が市場予想を下回ったことを受け11/6に対ドルで8/1以来の18.14ランドへ上昇したことにサポートされ8円15銭を下値に8円22銭まで上昇。しかし、米3年債、10年債、30年債入札を控えた需給逼迫懸念のほか、南アの主要産品である金やプラチナ先物相場が下落したことも対ドルでの上値を抑制。こうした中、11/9に発表された南ア9月の製造業生産高が前年比-4.3%と8月(+1.5%)からマイナスに転じ、市場予想を下回ったことに加え、パウエルFRB議長による利上げ再開の可能性に言及した発言のほか、11/10のミシガン大期待インフレ率の上昇を受けた対ドルでの下落とともに8円06銭へ下落し8円08銭で取引を終えました。先週後半以降の下落基調が続いたものの、日足・転換線(8円05銭)を下値支持線として下げ止まっていることから、今週も引き続きこの水準で下げ止まり、8円00銭割れを回避するか注目されます。そのため11/13に発表される南ア最大の貿易相手国である中国10月の社会融資総額や11/15発表の中国10月鉱工業生産や小売売上高の結果と反応が注目されます。そのほか、11/14発表の南ア7-9月期失業率を受けて南ア経済の下振れリスクが高まることになるか、さらには同日発表の米10月消費者物価指数の結果を受けた米長期金利が一段と上昇すれば対ドルでの下落とともに8円00銭割れへの一段と下落する可能性もあります。また、南ア政府による財政健全化措置について格付け会社フィッチが先週懸念を表明した影響が残り11/6の8円22銭を高値にピークアウトする可能性もありランド買いポジションの巻き戻しが進む可能性もあることから下振れに注意が必要です。
11月20日(月曜日)のポンド円見通し: 為替レート 186.42、 最高 189.22、最低 183.62。 11月21日(火曜日)のポンド円予想: 為替レート 186.27、 最高 189.06、最低 183.48。 11月22日(水曜日)のポンド円見通し: 為替レート 188.11、 最高 190.93、最低 185.29。 11月23日(木曜日)のポンド円予想: 為替レート 189.13、 最高 191.97、最低 186.29。
ポンドは、イギリス(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)で発行・流通している通貨です。
2023年7月は円安やポンド買いにより高値を更新しており、180円を更新してきました。
ただ、現状はこのネック・ゾーンとなる総じて156.65から163.09ゾーン(肌色のゾーンで、ACの下限の平均値とBの半値位置)を越えて上昇が一時172.13まで拡大しましたが、現状は更なる展開となっていません。不透明感が残る位置ですが、加えて下段のスロー・ストキャスティクスが買われ過ぎから調整気味となっていますが、未だ方向感が見えず、ダイバージェンスの可能性も残っています。つまり、今後どちらに展開するかで、2023年の相場展開を左右しそうです。更にポンド円が上昇を強めるためには、172.13を早々と越える動きが必要で、その場合に限って175円、176.59-35、186.35-188.81からBのトップとなる195.89を目指す動きとなるでしょう。一方下値は、124.10から148.86を結んだサポートが、153円前後に位置しており、この位置から150円のサイコロジカルが維持されると堅調が想定されますが、148.86の下ヒゲや148.12の月足の窓の上限を割れると139.52-142.84の戻り安値圏がターゲットとなります。 従って、2023年のポンド円相場の想定レンジは、マトリックス・・チャートを参考に、150.00~170.00とします。ただ、上値は175円程度の可能性も残っているかもしれません。
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