ポンド/円・豪ドル/円の1月見通し「年明けから円売り再開、円安の持続性がカギに」

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ポンド/円・豪ドル/円の1月見通し「年明けから円売り再開、円安の持続性がカギに」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

「見通しの要約」

■ポンド見通し
12月、ポンドはドルに対して上昇し、約5ヶ月ぶりの高値を記録。ポンド/円は下落。年明け後、ポンド/ドルは軟調に対し、ポンド/円は上昇傾向。この動きは、円の動きが主要因で、特に能登半島地震の影響で日銀のマイナス金利解除が遅れるとの見方が影響している。1/22-23日の日銀会合では現状維持が予想されるが、次回会合での政策正常化の兆しにより円安が進む可能性もある。英中銀は1月に会合がなく、2月1日の次回会合では現状維持が予想されるが、3月の利下げ開始の思惑もある。1月のポンド相場は、英国の経済指標とBOEの利下げに対する市場の期待感から影響を受けそうだ。予想レンジは179.500~187.000円。

■豪ドル見通し
昨年12月、豪ドル/米ドルは5カ月半ぶりの高値を記録したが、2024年に入ると米国の早期利下げ期待が後退し、豪ドルが軟化。豪ドル/円も昨年末の動きを反転し、年明けには円安が進んで97円台を回復。足元の市場ではドルを軸に豪ドルと円が同方向に動く傾向にあり、1月の豪ドル/円相場は方向感が出にくい展開が予想される。18日の豪雇用統計や31日の豪CPIに注目が集まる。予想レンジは95.500-99.000円。

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月のポンド/円ポジション動向
・1月の英国注目イベント
・ポンド/円 1月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月の豪ドル/円ポジション動向
・1月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 1月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 12月の推移

12月のポンド/円相場は178.336~187.513円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約4.0%下落した(ポンド安・円高)。

前月後半から急速に円高が進んだ流れを引き継ぎ、植田日銀総裁が「チャレンジング」発言を行った7日には一時180円の大台を割り込んで下落。一旦184円台に戻したものの、13日の英10月国内総生産(GDP)が予想を下回ったことで再び軟化すると14日には178.34円前後まで下落して約2カ月半ぶりの安値を付けた。ただ、この日は英中銀(BOE)が3会合連続の政策金利据え置きを決めつつも、追加利上げの可能性に含みを持たせたことで下げ渋った。

その後も180円台を割り込むと下げ渋る動きが続いた一方、184円付近では伸び悩む展開となった。ただ、20日に発表された英11月消費者物価指数(CPI)が大幅に鈍化すると改めて180円割れを試す動きとなり、クリスマス休暇の前後こそ下げ渋ったが、休暇明けの28日には179.00円付近まで下落。179.56円前後で2023年の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
186.947 187.513 178.336 179.562

出所:外為どっとコム

6日
ベイリーBOE総裁は、半年に一度の金融安定報告書発表後の記者会見で「インフレ率を持続的に目標に戻すためには、金利を長期にわたってこの水準にとどめる必要がありそうだ」と指摘。「金利上昇の完全な効果はまだ現れていない。そのため、金融安定リスクに引き続き警戒している」と述べた。

7日
植田日銀総裁が「年末から来年にかけて一段と『チャレンジング』な状況になる」と発言したことで早期の緩和修正観測が強まると円買いが進んだ。

12日
英11月失業率は4.0%、同失業保険申請件数は1.60万件だった(前回4.0%、0.89万件)。8-10月の週平均賃金(除ボーナス)は前年比+7.3%と予想(+7.4%)を下回り、7-9月(+7.8%)から伸びが鈍化した。

13日
英10月GDPは前月比-0.3%と市場予想(-0.1%)を下回った。同鉱工業生産は前月比-0.8%と予想(-0.1%)以上の落ち込みとなった。同貿易収支も170.32億ポンドの赤字と、赤字額は予想(143.50億ポンド)より大きかった。

14日
BOEは大方の予想通りに政策金利を5.25%に据え置いた。声明では、前回に続き「金融政策は長期にわたり制約的である必要がある」「インフレ圧力がさらに持続する証拠があれば一段の引き締めが必要になる」と表明した。

同時に発表した金融政策委員(MPC)議事録では9人の委員のうち3人が25bp(0.25%ポイント)の利上げを主張して据え置きに反対票を投じたことが明らかになった。

15日
英12月製造業PMI・速報値は46.4、同サービス業PMI・速報値は52.7となった(市場予想:47.5、51.0)。

20日
英11月CPIは前月比-0.2%、前年比+3.9%と市場予想(+0.1%、+4.3%)を下回った。食品やエネルギーなどを除いたコアCPIも前年比+5.1%と予想(+5.6%)を下回り、前月(+5.7%)から大幅に伸びが鈍化した。

22日
英11月小売売上高は前月比+1.3%と市場予想(+0.4%)を大幅に上回った。変動の大きい自動車を除いた売上高も前月比+1.3%と予想(+0.3%)を上回った。一方、英7-9月期GDP・改定値は前期比-0.1%に下方修正された(予想、前回ともに±0.0%)。

12月の各市場

12月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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1月の英国注目イベント

ポンド/円 1月の見通し

12月のポンドは対ドルで上昇。28日には1.28278ドル前後まで上伸して約5カ月ぶりの高値を付けた。一方、日銀が早期にマイナス金利を解除するとの思惑などから円が全面高となった影響でポンド/円は12月に下落した。ただ、年明け後はいずれも流れが反転しており、ポンド/ドルが軟調な一方でポンド/円は上昇している。こうした年末年始の動きからも窺えるように、1月のポンド/円相場については円の動きがカギとなりそうだ。

足元では、元旦に発生した能登半島地震の影響で日銀の政策正常化(マイナス金利解除)が遅れるとの見方が円売りを誘っており、こうした動きがどこまで続くかが焦点だろう。22-23日の日銀金融政策決定会合は現状維持の公算が大きいが、次回以降の正常化に向けた地ならし(声明の文言修正など)がなければ、円安の勢いが増す可能性もある。

他方、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)は1月には予定されておらず、次回会合は2月1日となる。2月会合では現状維持が濃厚だが、市場には3月(21日)の利下げ開始を巡る思惑が一部にくすぶっている。そうした中、1月は16日の英12月雇用統計(9-11月の週平均賃金)や17日の英12月消費者物価指数(CPI)などの結果から、利下げへの距離感を測ると考えられる。1月のポンド相場はBOEの利下げへの距離感に左右されることになりそうだ。
(予想レンジ:179.500~187.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 12月の推移

12月の豪ドル/円相場は93.703~98.069円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.9%下落した(豪ドル安・円高)。

5日の豪中銀(RBA)理事会を受けて追加利上げ期待が後退すると豪ドル売りが優勢となり、植田日銀総裁が「チャレンジング」と発言した7日には円買い主導で約2カ月ぶりの安値93.70円前後まで下落した。その後も、14日の豪11月雇用統計が予想を上回るなど好材料はあったものの豪ドルの上値は重かった。

ただ、19日に日銀がマイナス金利の解除など緩和修正を見送ったことで円が下落すると円売り主導で97円台を回復。クリスマス休暇の前後は値動きが鈍ったが、中東情勢を巡る不透明感などから原油などの資源価格が強含んだため豪ドルの下値は堅かった。休暇明けの27日には再び97円台半ばへと上昇したが、月末・四半期末・年末にかけて再び円買いの動きが強まった上に、持ち高調整的な豪ドル売りが出たため、96.03円前後へ押し戻されて2023年の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
97.824 98.069 93.703 96.034

出所:外為どっとコム

1日
中国11月財新製造業PMIは50.7と市場予想(49.6)を上回り、2カ月ぶりに活動拡大・縮小の分岐点である50.0を超えて上昇した。

5日
RBAは大方の予想通りに政策金利を4.35%に据え置いた。声明では、引き続き「インフレ率が合理的な時間枠内で目標に戻ることを確実にするために金融政策の追加引き締めが必要になるかどうかはデータとリスク評価の展開次第だ」として追加利上げに含みを持たせた。

ただ、「経済の総供給と総需要との間に一段と持続的なバランスをもたらす上で、金利上昇が効果を発揮している」との見解を示したことなどから、追加利上げ観測が後退した。

6日
豪7-9月期国内総生産(GDP)は前期比+0.2%と市場予想(+0.5%)を下回った。家計消費支出が前期比横ばいと冴えなかったことなどから、4-6月期の+0.4%から成長が減速した。

7日
植田日銀総裁が「年末から来年にかけて一段と『チャレンジング』な状況になる」と発言したことで早期の緩和修正観測が強まると円買いが進んだ。

14日
豪11月雇用統計は新規雇用者数が6.15万人増と予想(1.15万人増)を大幅に上回った。失業率は3.9%(予想3.8%、前回3.8%)に悪化したが、労働参加率が過去最高の67.2%に上昇した。

15日
中国11月鉱工業生産は前年比+6.6%と市場予想(+5.7%)を上回った。一方、同小売売上高は前年比+10.1%と予想(+12.5%)を下回った。

19日
RBAは12月5日に開いた理事会の議事録を公表。2会合連続の利上げを検討したことを明らかにしつつも、政策金利の据え置きを決定したことについて「リスクバランスがどのように変化しているかを見据え、政策を決定する際にこうしたリスクのバランスをどう取るのが最善かを判断するために、さらなるデータを待つ価値は十分あるとの認識でメンバーは一致した」と説明。

その上で「インフレ率が妥当な期間内に目標に戻るよう万全を期すためにさらなる金融引き締めが必要かどうかは、今後発表されるデータで経済見通しとリスク評価がどのように変化するか次第だという点でメンバーは一致した。政策委員会はインフレ率を目標に戻す決意を堅持し、そのために必要な措置を講じていく」と表明した。

12月の各市場

12月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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1月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 1月の見通し

豪ドルの対ドル相場は、昨年12月28日に1豪ドル0.68710ドル前後まで上昇して5カ月半ぶりの高値を付けた。米国の早期利下げ期待を背景に株価が世界的に上昇する中でリスクセンチメントに敏感な豪ドルが買われた格好だ。ただ、2024年に入ると米国の早期利下げ期待は先走り過ぎだったとの見方から米国を中心に株価が下落。ドルを買い戻す動きも相まって豪ドルが軟化しており、4日には0.6700ドルを割り込んだ。

他方、豪ドル/円は昨年12月に豪ドル/米ドルが上昇したにもかかわらずやや軟化。豪ドル高以上に円高が進んだためであった。ただ、今年に入ると昨年末の動きが逆流。2日、3日と豪ドル安以上に円安が進んでおり、4日には97円台を回復した。

このように、足元の為替市場ではドルを軸として豪ドルと円が同方向に動きやすくなっている。このため、1月の豪ドル/円相場は方向感の出にくい相場展開が続きやすいと考えられる。1月は豪中銀(RBA)理事会が開催されないことも豪ドルの自律的な動きが出にくい要因となりそうだ。

仮に、能登半島地震の影響などから日銀が早期のマイナス金利解除には踏み切れないとの見方がさらに強まるようなら円安主導で豪ドル/円は強含みの展開が続くと見られるが、豪ドル高の後押しがなければ、強い上値抵抗として意識されている98円台をすんなり突破するのは難しいだろう。18日の豪12月雇用統計や31日の豪10-12月期消費者物価指数(CPI)でRBAの追加利上げ観測が復活するか注目したい。
(予想レンジ:95.500-99.000円)

 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル ポンド/円・豪ドル/円の1月見通し「年明けから円売り再開、円安の持続性がカギに」

ポンド 円 豪ドル

四大通貨の一つで、世界全体の外国為替市場でドル、ユーロ、日本円に次ぐ取引量を誇っている。1992年のポンド危機でユーロの準備段階から離脱したこともあり、EU加盟国でありながら、ユーロに未参加となったが、経済的な結びつきは深い。 そのため、ユーロと同調して動くケースが多い。 もっとも、2016年6月の国民投票でEUからの離脱(ブレグジット)が決まった際には、ポンド単独で大きく売りが出るなど、英国独自の材料で動くケースも多い。特にブレグジットがらみの材料でポンド単体の動きになるケースがよく見られる。 金融政策が比較的柔軟なことでも知られている。米FRB、日銀、ECBなどは、名目上は多数決で金融政策を決定するが、実際には議長や総裁などトップの決定が否決されるケースはない。しかし、英中銀では議長提案が否決されるケースが過去何度も生じている。

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