再エネの「出力制御」九州で急増

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再エネの「出力制御」九州で急増
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 再エネの「出力制御」九州で急増

これが 23年に再エネの出力制御が急増した背景要因だと思われます

また同団体は、それらに関連する経済的な枠組みが投資家に誤った示唆(signal)を示さないように留意する必要があると主張。再エネの出力制御が受容可能なレベルに制限されるべきだとして、ベルギーのフランダース地方では太陽光発電の出力制限に対して発電電力量の5%とする上限が設定されていることなども書簡において例示した。

[注1]VRE(Variable Renewable Energy:変動電源)とは、太陽光と風力による発電電力量の合計を指す。[注2]連系線潮流データがプラス値の場合は他エリアからの電力供給、マイナス値の場合は他エリアへの電力供給を意味する。 表2の上半分は、2022年と23年の西日本3エリアにおける電力需給状況を、年間、および4半期ごとに集計したものです。これは注2に挙げたデータから、①各エリアの2022年と23年需給実績データ(時間毎)を抽出し、②それを日別⇒月別⇒四半期別⇒年間と集計を積み重ねる手順で作成しました。表2の下半分は、2022年から23年にかけての変化を、前年比(23年/22年)と変化量(23年―22年)で年間、および4半期ごとに示しています。 データを年間だけでなく4半期ごとにも集計したのは、季節的な特徴を捉えるためです。再エネの出力制御は4~6月期にもっとも頻繁に実施され、抑制電力量も最大となります。気温が温和で冷暖房需要が低下する一方、晴天が多く、太陽光による発電電力量が大きく伸びるため、電力供給が電力需要を上回り、需給バランスを保つために出力制御が要請されるからです。実際、表2から両年とも、4~6月期のVRE(変動電源:太陽光発電+風力発電)抑制量が、年間を通じた総抑制量の90%以上を占めていることが分かります。 では次に、22年と23年の年間データ(表2の「total」欄)の比較から、何が見えてくるでしょうか。次の4点が浮かび上がってきます。

このように、23年は間で関電エリアでの原発発電量の急増により、西日本3エリア間の電力のやり取り(連系線潮流)が減少、四国電力や中国電力は再エネの発電量が増加しても、余剰電力を関電エリアに送って解消させることができなくなったため、VERの抑制を強めざるをえなくなった、という構図が浮かび上がってきます。これが、23年に再エネの出力制御が急増した背景要因だと思われます。

表-補および図-補は、出力制御が集中的に行われる4-6月期に絞って、2021年と23年の九電管内の電源構成を示したものです。表がデータをそのまま記載しているのに対し、図は見やすいように、それを棒グラフで表現したものになります。 この図表からはたしかに、23年比で21年は原発発電量が大きく、VER抑制量が小さくなっていることが読み取れます。これは、なぜ可能になったのでしょうか。本論とは逆に、思考実験として仮想的に23年⇒21年の変化が起きたとすれば、その要因は何によって引き起こされたのかを考えてみましょう。 もっとも大きいのは、火力発電量の減少です。原発発電量の増加分の6割近く(57%)は、火力発電量の減少で相殺されています。これは、西日本エリア3社の場合と同様の動きだといってよいでしょう。次に、私たちは連系線を通じた域外送電が行われるか、あるいは揚水発電が機能することで、需給バランスが保たれたのではと予想しました。しかし、図表のデータが明らかにしているように、この2つは需給バランスにほとんど貢献していません。これは、意外でした。 2021年は関電エリアで原発の再稼働が本格化する前ですから、九電が域外送電を行ってもまだ受け入れ余地があったはずです。しかし、それがほとんど行われていないのは、関門連系線の送電容量の上限にすでに達していて、これ以上は増やせない状況、つまり九州電力エリアはいわば「独立国」のように運営されざるを得ない状況になっている可能性を示唆します。 だとすれば、原発が増えた状況下で追加的にやれることは限られてきます。つまり、原発以外のすべての電源の発電量を少しずつ抑制することです。実際、これが21年に起きていたことなのです。水力、バイオマス、そしてVERの21年発電電力量が23年比で少しずつ減少しています。九電は、原発を増やしつつ再エネの出力抑制を最小化するために、それら以外の電源を抑制していたか、あるいはたまたま、それを可能にする条件が整ったために出力制御を強化する必要がなかったと解釈できます。これが可能だったのは23年よりも21年の方が、エリア需要が少し大きかったことも寄与していたでしょう。 九電が、21年に原発が増えてもVERの出力制御を最小化するために、それ以外の電源による発電量を人為的に抑えたのか、それともたまたま、それを可能にする条件が成立していたのか、このデータからだけでは判断が付きません。しかし前者、つまり九電が意思をもって原発とVERを優先し、他の電源を抑制したと解釈するのは不自然さが残ります。なぜなら給電ルール上、水力とバイオマスは優先的に給電されるからです。九電が再エネだけれども定格運転可能な水力とバイオマスをわざわざ抑え、変動電源たるVERを優先する合理的な理由は見出せません。したがって私たちは後者、つまりたまたま、こうした状況を可能にした条件が成立していたと考えるのが自然だと判断しています。 この点を考えるために、今度は21年⇒23年の変化を考えてみることにしましょう。こちらが現実の時間の流れに沿った動きとなります。表-補および図-補から明らかなように、九電は原発が減少した代わりとして、VERではなく火力を増やしています。VERの発電電力量はほぼ横ばい、むしろVER制御量は増加しています。通常ならば、原発発電量の低下は再エネ導入余地の拡大を意味します。しかし現実に起きたことは、VER制御の強化です。ここから九電は、必ずしも「再エネ優先」の意思の下に一貫したオペレーションを実行しているわけではないことが分かります。これも、私たちが21年に起きたことを「たまたま条件が整ったため」と判断する根拠となります。

最後は、四国電力です。そのオペレーションは中国電力と一定の共通性をもっていますが、四国電力の独自性もみられます。火力(灰色)が揚水(濃紺色)とともに出力制御の低減に参加している点は、中国電力と同じです。ところが、揚水の調整力がいかにも不十分です。図6では午前4時から午後6時にかけて浅い鍋底のような形状を描いており、太陽光の発電電力量を吸収するにはまったく不十分な能力しか発揮できなかったことを示しています6。 連系線潮流(茶色)も一見すると、形状は中国電力と同じに見えます。ただし、四国電力の場合は常時、域外送電を行っている点に独自性があります。また、再エネの出力制御を低減するという視点では、本来は昼間の時間帯に域外送電を拡大しなければならない(下に凸の形状を描かなければならない)はずです。ところが実際は、域外送電を縮小する逆のオペレーションとなっていました。これは関電エリア、中国電力エリアともに受け入れ余力が縮小しており、域外送電したくてもできなかったという事情によるものと思われます7。 こうした状況のため四国電力の対応能力は限られ、当日の8:00~14:00の時間帯には太陽光発電量を超える大きな抑制が行われました。つまり、この時間帯の太陽光発電はすべて、捨てられたことを意味します。

私たちはもちろん、再エネの大量導入にともなって出力制御が必要になることを理解していますし、それに反対しているわけではありません。それでも本稿であえて再エネと原発の関係を問うたのは、再エネ出力制御の原因に関する正しい認識なしに、正しい対策は立てられないと考えるからです。再エネと原発がバッティングするという事態はドイツでも議論の対象となっていましたし、日本でも今後、この問題が深刻化する可能性に対して議論と備えが必要です。2030年以降、北海道や東北で洋上風力が次々と運転開始していくでしょう。しかし、その時に東日本で原発の再稼働が進展していれば、せっかく発電した洋上風力の電力を受け入れる余地がほとんどない、といった事態が生じかねないのです。そうなれば、せっかく北海道・東北で系統増強投資を行っても電力を受け入れようがなく、無駄な投資に終わってしまいかねません。 それでも出力制御が必要だということになるなら、再エネの主力電源化を掲げる限り、出力制御はすべての電源に対して公平かつ最も費用効率的な形で実施されるべきでしょう。現状は優先給電ルール上、原発と水力発電はVERに優先して給電されることになっています。しかし、本当にこれでよいのでしょうか。 再エネは燃料費がかからないため、追加的に1単位の発電を行うコスト(限界費用)が、あらゆる電源の中で最小です。こうした条件下では火力や原発など、より限界費用の高い電源を出力制御の対象とする方が、節約できる発電コストがより大きくなるので、経済的にも合理的です。逆に限界費用がほとんどゼロの再エネ電力を止めるのは経済的な損失を意味し、合理的な選択だとはいえません。 「誰が出力制御すべきか」を電力会社に恣意的に決めさせるのではなく、卸電力市場における価格メカニズムを用いることで、公平かつ費用効率的に決定すべきではないでしょうか。そのもっとも有力な方法が、「マイナス価格」の導入です。これは、電気が貯蔵できないために生じる電力市場設計の論理的必然です。この場合、卸電力市場で電力供給が需要を超過すればマイナスの価格が付くのです。発電事業者が売電するには、顧客にマイナス価格で支払いを行うことで電気を引き取ってもらう必要があります(まるで廃棄物のようですが・・・)。この価格の下で採算の取れない事業者は、発電を自発的に止めることになります。こうして「誰が出力制御すべきか」という問題は、透明な形で市場メカニズムを用いて決定されます。 その結果、原発が出力制御を行うこともありえるでしょう。実際、原発が稼働していた時代のドイツでは、再エネの変動性を相殺するように原発の追随運転が行われていました。こうすれば、再エネと原発の共存が可能です。あるいは、出力制御がもっとも頻発する毎年4~6月に原発の定期点検を行うことにすれば、固定電源の比率を下げることができ、再エネの受け入れ余地を拡大できるでしょう。結果として、出力制御を大幅に減らせるのではないでしょうか。 再エネの主力電源化と原発の再稼働の両方を目指す「二兎を追う」戦略を追求するのであれば、「両者はバッティングしうる」との基本認識を共有しつつも、それが顕在化しないようあらゆる対策が取られるべきだと思います。本稿では、主として電力の供給側に着目して議論してきましたが、もちろん電力の需要側に着目した議論も大変重要です。この点については、筆者の一人である諸富が別の箇所で詳細に論じていますので、そちらをご参照ください9。 再エネの出力抑制は不可避だとしても、それを最小化するためにあらゆる知恵を絞ろうではありませんか。それが再エネの主力電源化を実現する途であり、日本のカーボンニュートラル化を確実にする途でもあるのです。

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