【市場概況】東京為替見通し=ドル円、日銀金融政策正常化への警戒感から弱含みか

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【市場概況】東京為替見通し=ドル円、日銀金融政策正常化への警戒感から弱含みか

24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「日銀は来週の金融政策決定会合で利上げを検討」「今後数年間で債券購入を半減する計画」との一部報道や自民党の茂木幹事長が「日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要」と述べたことで153.11円まで下落した。ユーロ円も日銀の政策正常化への思惑が高まり、ダウ平均やナイト・セッションの日経平均先物の下落を受けて166.14円まで下落した。ユーロドルは1.0867ドルから1.0836ドル付近まで弱含みに推移した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、30-31日の日銀金融政策決定会合への警戒感から円売り持ちポジションの手仕舞いが続いていることで軟調な展開が予想される。

 来週の日銀金融政策決定会合では、次期自民党総裁候補と見なされている河野デジタル相や茂木幹事長による利上げ要請発言や「日銀は来週の金融政策決定会合で利上げを検討。今後数年間で債券購入を半減する計画」という観測報道などから、利上げの可能性が高まりつつある。

 ドル円の公表されている売買動向は以下の通りに円買いが約6.1兆円程度多くなっており、現状のドル円の161円台から153円台までの下落基調を裏付けている。

・4-7月の本邦通貨当局のドル売り・円買い介入:約15.4兆円

・1-6月の投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度):約6.1兆円

・1-6月の貿易赤字:約3.2兆円

 公表されている円売り持ちポジションは以下の通りとなっており、日銀が利上げを決定した場合、円売り持ちポジションの手仕舞いとなり円買い圧力が高まることになる。

・7月16日時点のIMM投機筋の円の売り持ちポジション:151072枚(約1.9兆円)

・4月時点の円キャリートレード残高:約10.8兆円

 9月に予定されている自民党総裁選に向けて、「総理になってほしい人」ランキングによると、1位石破元自民党幹事長、2位・・・4位、5位河野デジタル相、6位茂木自民党幹事長、7位岸田首相・・・となっていた。

 5月7日、岸田首相は、植田日銀総裁を官邸に呼び、円安について「日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認」し、10日には経済財政諮問会議で「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は引き続き密接に連携していく」と語っていた。

 ドル円は16日に153円台に下げた後、7月3日に1986年12月以来の高値である161.95円まで上昇していった。

 7月17日、河野デジタル相は、円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた。ドル円は155.38円まで下落したが、「日銀に対して利上げを直接求めているわけではない。金利が上がれば円高になるという理論を申し上げただけだ」との釈明を受けて157円台に戻した。

 7月22日、茂木幹事長は、日銀について「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と語り、過度な円安の是正へ分かりやすい情報発信を求めた。ドル円は、茂木幹事長が「日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要」と述べ、河野デジタル相のように釈明しなかったことで153円台まで下落している。

 30-31日の日銀金融政策決定会合では、国債買い入れの減額計画(現在6兆円:6月約5.6兆円)は、「相応の規模」(植田日銀総裁)ならば3兆円程度、そうでなければ4~5兆円程度と想定される。そして、追加利上げ(現在0.0-10%)は+0.15%(0.15-25%)と想定される。

 河野デジタル相や茂木幹事長は、おそらく、国債買い入れの減額計画3兆円程度と、円安阻止のための+0.15%程度の利上げを要請していると思われる。

 2013年のアベノミクスによるアコードで、「日銀は政府の子会社」(安倍元首相)の様相を呈してきたが、植田日銀総裁は、次期自民党総裁候補達による利上げ要請を受け入れるのだろうか。

(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【市場概況】東京為替見通し=ドル円、日銀金融政策正常化への警戒感から弱含みか

市場概況 東京為替見通しドル円 日銀金融政策正常化への警戒感から弱含みか

まず、デフレ脱却に関しては、日本のインフレの持続性や賃金の強さが改めて認識されました。今回のインフレが始まった当初は、輸入物価の上昇によるコストプッシュ型のインフレだという見方もありましたが、人手不足と相まって賃金上昇が起こり、より持続的なインフレに変化しつつあります。象徴的なのは、輸入物価が22年9月にピークアウトし、今年6月にかけて8.8%低下しているのですが、同じ間に国内企業物価は5.9%上昇しています。このような「ワニ口現象」は日本が今まで経験しなかった姿です。7月1日に公表された日銀短観でも、全規模・全産業の販売価格見通し(1年後)が2.8%と、2四半期連続で上昇し、値上げカルチャーの浸透を示唆しました。アナリストが追っている個別企業の動向を見ても、値下げを再開するところは少なく、インフレの定着が進んでいることが分かってきました。

日経平均株価は2024年2月に34年ぶりの最高値を更新したものの、4月から6月にかけて足踏みしてきました。再び上昇した背景には何があるのでしょうか。野村證券市場戦略リサーチ部長の池田雄之輔が解説します。

野村證券では2025年3月末の日経平均株価の予想レンジを36,000円から44,000円とみています。今の株価水準から考えると、このレンジの上限に達する可能性があると見ていいでしょう。2026年3月末の予想レンジの上限は48,000円としています。日本企業の構造的な変化と、それに伴う持続的な成長への期待が、今後の株式市場を支える大きな要因となりそうです。

まず、米国大統領選挙について、一時的に市場が荒れる可能性があります。特に、トランプ氏の政策は減税期待など株式市場にとってプラスの面もありますが、対中政策に関する不透明性が最大の問題です。

為替市場の動向も株価を後押ししました。円安が進行したことで、日本企業全体としては業績にプラスの影響がありました。ただし、以前のように極端な円安依存ではなく、為替に対する耐性が高まっているのも特徴です。例えば、10円の円安で利益が3%程度押し上げられる効果があります。現在の企業の為替前提は143円程度ですが、そこまで円高が進むと想定した上でも、今年度と来年度は8%台の増益が確保できると試算しています。多少の円高には十分耐えられる体質になっています。

3つ目は、コーポレートガバナンスの改革です。2023年3月、東京証券取引所から上場企業に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応をするようにという要請がありました。これが予想以上に実のある改革につながっています。

次に中国については、米国大統領選におけるトランプ元大統領の再選の可能性が再び意識され始めました。日本時間の6月28日に行われたテレビ討論会の「直接対決」でバイデン大統領の健康不安が高まったことが一つの転機になっています。トランプ氏は対中国で厳しい政策を取ることが予想されるため、再び投資マネーの「脱中国」が注目され始めました。加えて、中国経済の弱さも顕在化し、結果として日本市場の相対的な安定性が再評価されることにつながっています。

野村では、今後為替は米国の緩やかな金利低下とともに円高ドル安傾向に動くと予想しています。24年12月は148円、25年12月は140円という見立てです。逆に、円安がそろそろ天井に近づいているとみる日本側の理由もあります。例えば1ドル170円を超えるような水準まで円安が進むと、インフレ期待が2%を超える可能性が出てきます。そうなると、日銀も追加利上げを急ぐ必要が出てくるため、「日銀が放置してくれる円安」には限界が訪れると見ています。

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