五輪 日本国内で薄れる経済効果

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五輪 日本国内で薄れる経済効果
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熱戦が続いたリオデジャネイロ五輪

それでも20年に次の大会が開かれる日本では、東京五輪の経済効果に期待する声が目立つ。アベノミクスが始まって3年余りたった今も景気停滞を脱する兆しが見えないなか、ほぼ唯一の好材料が五輪だからだ。

ここまで、五輪のもたらす経済効果についてみてきましたが、では五輪とは経済効果を目的に開催されるものなのでしょうか。最後に、五輪開催の本来的な目的・意義についても確認してみましょう。IOC(=国際オリンピック委員会)が近年最も力を入れているテーマのひとつは「レガシー」です*7。オリンピック憲章では、五輪の役割のひとつをこう記しています*8。オリンピック競技大会の有益な遺産を開催都市、 開催地域、 開催国が引き継ぐよう奨励する。地域経済の発展に役立つとともに、有益な「遺産(=レガシー)」を残すこともまた重要な使命としているのです。IOCは五輪で得た収益をアスリート支援や世界のスポーツ発展に役立てることを目的とした非営利団体であり*9、収益の90%は世界オリンピック運動に再分配されています*10。そしてオリンピック憲章の「オリンピズムの根本原則」第1条には、このような記載があります*8。オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、 バランスよく結合させる生き方の哲学である。 オリンピズムはスポーツを文化、 教育と融合させ、 生き方の創造を探求するものである。その生き方は努力する喜び、 良い模範であることの教育的価値と社会的な責任、 さらに国際的に認知されている人権、 およびオリンピック ・ ムーブメントの権限の範囲内における普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。開催国や地域に利益をもたらす一時的な「お祭り騒ぎ」としてのみ捉えては、オリンピックの本質を見失うでしょう。オリンピックのもたらす本来的な価値に加え、その利益が必要な場所に再配分されているかどうか、という意義についてもぜひ再認識し、パリ五輪をお楽しみください。

熱戦が続いたリオデジャネイロ五輪。各競技会場は世界中から訪れた観客たちでにぎわったが、開催国ブラジルは深刻な景気後退にあえいでいる。開催地のリオデジャネイロ州は五輪開幕が迫った6月、税収減によって「治安や公共交通が崩壊する」として財政非常事態を宣言。ブラジル政府が急遽、資金支援を決めた。その翌月には、警察官らによる給料未払いへの抗議デモが激化し、リオ市内の国際空港にこんな横断幕が掲げられた。

いずれも、経済的損失が生まれるというものです*4。物議を醸した未曾有の事態とはいえ、五輪開催は引くに引けない側面もあったと考えられます。なお、結果的に経済波及効果がどうであったのかは、まだ結論が出ていないようです。2030年までを見据えた試算ですから、その時が来てみないとわからないということでしょう。ただ結果的に首都圏1都3県の会場では無観客での開催となり*5、チケットやホテルなど周辺観光施設への効果は限りなく0に近いものであったと思われます。そのため、少なくとも開催前の目論見通りにはいかない可能性は高いでしょう。当初は100万人規模の観客が来日する想定だったので、やはり当初の見込みとは大きく異なるものになったのではないでしょうか*6。

2017年3月に東京都のオリンピック・パラリンピック準備局がまとめた資料によると、東京五輪の経済波及効果は、東京都で約20兆円、全国で約32兆円だと試算されています。分析対象期間は2013年(招致決定年)から2030年(大会10年後)までと長期にわたっていますが、それでも32兆円の効果といったら大変な額です。また、東京都で約130万人、全国で約194万人の雇用を創出すると試算されています。これにより経済的にもビッグイベントとなっていることがわかります。さらに、インバウンド(訪日外国人旅行者)需要の増大も見込めるため、日本の景気に大きな影響があることでしょう。

そのような想定の中、東京五輪のタイミングでコロナ禍が到来しました。あまりにも想定外の出来事といえるでしょう。開催年になって、東京五輪は中止か延期かの選択を迫られることになります。そして延期決定後の2021年に入って、関西大学名誉教授の宮本勝浩氏が経済損失についての推計を公表しています。

「ブラジルは史上最も長く、深い経済収縮のさなかだ。五輪と(2014年に国内で開かれた)サッカーW杯関連の投資は、規模が大きいブラジル経済に顕著な刺激を与えるには力不足だった」

五輪の日本国内での経済波及効果が薄れてきている。第一生命経済研究所のエコノミスト予想では、パリ大会の消費押し上げ効果は2016年のリオ大会を下回る見通しだ。海外プロスポーツの日本人選手の活躍が日常化した現在、多くの国民の興味はドジャースの大谷翔平選手を中心とした米大リーグ(MLB)や海外プロサッカーなどに移る。五輪の個人競技を仲間と集まり観戦するような熱は感じられにくく、ネット視聴の普及もあり、以前ほどの需要創出は見込めない。

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