NZドル/円 見通し「会合ごとに豹変するRBNZ…利下げか据え置きか、見方割れる」注目の高金利通貨 8月11日号

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NZドル/円 見通し「会合ごとに豹変するRBNZ…利下げか据え置きか、見方割れる」注目の高金利通貨 8月11日号

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メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2024年8月9日17時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

NZドル/円チャート(日足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

先週のNZドル/円は1年3カ月ぶり安値から持ち直す

 週初5日、日銀の追加利上げと米7月雇用統計の悪化に端を発した世界的な株安を受けて日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録する中、2023年4月27日以来の安値となる83.04円前後まで下落しました。低金利の円を借りて行う「キャリー取引」の巻き戻しが高金利通貨のNZドル売りを助長したと見られ、NZドル/円は7月10日に付けた38年ぶりの高値からわずか1カ月で約16%もの大幅安に見舞われました。ただ、7日に発表されたNZ4-6月期雇用統計が市場予想より良好だった上に、日銀の内田副総裁が「金融市場が不安定な時に利上げすることはない」と述べたことでNZドル買い・円売りが強まると89円台目前まで反発。8日には87円台に反落する場面もありましたが、米国株の上昇を受けて88円台を回復。9日の東京市場でも88円台を維持しています。

今週のNZドル/円の注目ポイントは政策金利

 今週14日にNZ中銀(RBNZ)が政策金利を発表します。市場予想は金利据え置きと5.25%への利下げで見方が割れています。したがって、NZドル/円の初動は据え置きなら上昇、利下げなら下落という反応になるでしょう。一巡後は声明の内容に市場の関心が向うと見られます。RBNZは5月に利上げ含みのタカ派姿勢を強調したものの、7月には一転して「様々なデータは、いずれも経済活動の低下を示している」としてトーンダウン。1年以上先になるとの見方を示していた利下げ開始の時期が早まる可能性を示唆しました。仮に今回は政策金利を据え置いても、声明のトーンが前回と同様にハト派的なら買い一巡後に下落に転じることも考えられます。反対に、仮に利下げしても、利下げサイクル入りの示唆がなければ安値から切り返す動きになってもおかしくありません。いずれにしても、RBNZの決定に対する市場の見方が定まっていないだけに、14日のNZドル/円は変動幅が大きくなる可能性が高いでしょう。

当面のNZドル/円の見通し

予想レンジ
86.000-90.500円

基調
方向感模索

来週の注目ポイント
☆8/14 NZ中銀政策金利
主要国株価、国際商品価格

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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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NZドルも2円強円高NZドル安が進み 96円30銭まで下落した

「豪ドル/円」「豪ドル/スイスフラン」「豪ドル/NZドル」「豪ドル/米ドル」「ユーロ/豪ドル」「ポンド/豪ドル」を自動で取引できるため、プロトレーダーと同じくらい豪ドルで稼げるチャンスがあります。

今週のNZドルは、他の主要通貨同様、円が急騰したことから、4月19日以来の90円割れの場面が見られた。

ニュージーランドの通貨であるニュージーランド・ドル(NZD)は、ニュージーランドを象徴する国鳥「キウイ(Kiwi)」になぞらえ、「キウイドル」の愛称で呼ばれています。オーストラリアドル(AUD)と同様にオセアニア通貨に分類され、メジャー通貨の中では、相対的に金利水準が高い局面が多いことから、共に投資家から高い人気を獲得してきました。そして、特筆すべきは、経済的な結びつきの強い中国の影響を受けやすい点であり、NZドルの取引に際しては、オーストラリアや中国の動向もチェックしておくことで、ヒントが見えてくるでしょう。押さえておきたい経済指標では、中央銀行のRBNZ(ニュージーランド準備銀行)による金融政策・政策金利発表が挙げられます。さらに、金融引き締めサイクルにある現在は、利上げに伴う経済・景気への影響を考慮する必要があり、GDPや消費者物価指数(CPI)なども注目されています。このほか、NZドルは豪ドルと一括りに資源国通貨と言われることもありますが、先述の通り、ニュージーランドは酪農産業が重要な経済基盤であり、この点は毛色が少し異なります。そこで触れておきたい指標が、乳業大手フォンテラ社が行う乳製品電子入札の価格変動データGDT(グローバルデイリートレード)価格指数です。乳製品における輸出収入の増減という点でNZドル相場と相関がみられる局面もあり、NZ貿易収支の先行指標としてもチェックしておきたいです。

2023年後半にかけてのNZドル/円相場は、国内のインフレ動向とRBNZの金融政策運営がカギとなりそうです。先述の5月会合を受けて、市場ではRBNZの利上げ打ち止め観測が広がっていますが、声明文では「(政策金利は)2024年半ばまでピークの5.50%水準にとどまる予想」との内容も示されています。これにより、高金利水準の維持が見込めるため、金利面の優位性から対円ではNZドル高優勢の展開は想定されます。仮に日銀が政策修正・転換に踏み切ったとしても、両国の金利差が急激に大きく縮まるとは考えにくいことから、NZドル/円は一定の底堅さを維持しそうです。また、足元では隣国オーストラリアやカナダなどが、「利上げの一時停止から再開」の動きを見せています。世界的にインフレの”しぶとさ”が確認されており、RBNZが一旦利上げを停止しても、インフレ動向次第では再び追加利上げにシフトするシナリオも準備しておくべきでしょう。その場合は2014年、利上げ局面の中で突破した94円水準も視野に入りそうです。一方で、ニュージーランドでは、物価高と金利高を背景に景気の悪化懸念も高まりつつあります。既にGDPは2四半期連続のマイナス成長で、いわゆる「テクニカル・リセッション」に陥っているほか、中国の経済先行き不透明感も足かせとなっています。今後利上げ停止などを経て、これら経済・景気面にスポットが当たるようだと、NZドル売りを誘う逆風が吹く可能性は否定できません。ダウンサイドには注意を払いつつ、状況に応じて売りからのトレードも検討していきたいです。

NZドルも2円強円高NZドル安が進み、96円30銭まで下落した。

ニュージーランドは積極的な「ゼロコロナ」政策を実施したことで、ワクチン接種の進展などを背景に着実に経済回復を成し遂げ、世界的な「アフターコロナ」を牽引してきました。RBNZは、景気回復とそれに伴うインフレ進行を背景に、2021年7月にコロナショックを受けた量的緩和策の終了に踏み切ると、同年10月には主要国に先行して利上げに舵を切りました。そこからは2023年5月まで12会合連続で利上げを実施し、政策金利は5.50%までおよそ14年ぶりの高水準に達しています。現在まで利上げサイクルが継続する中で金利先高観によるNZドル買い優勢、NZドル/円は2022年3月からの歴史的な円安進行も大きな下支えに、底堅い推移を続けてきました。一方で、直近5月会合の声明文では、政策金利の「据え置き」が議論されたことに加え、インフレ減速の見通しを背景に「現在の政策金利水準が最終到達点になる」との内容が示されました。「利上げ停止」が示唆されたことでNZドル売りが拡大すると、NZドル/円その後一週間で3円程度の大幅下落となりました。ただ、そこからは下値切り上げの動きで、足元では節目90円台に迫る、2015年以来の高値圏での攻防をみせています。

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