ドル・円は伸び悩みか、円売り後退もドルは戻り高値を意識

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ドル・円は伸び悩みか、円売り後退もドルは戻り高値を意識

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欧米市場オープニングコメント

「ドル・円は伸び悩みか、円売り後退もドルは戻り高値を意識」
 12日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想する。日銀の金融正常化をにらんだ円買いは一服し、株高なら円売り地合いに振れやすい。一方、米インフレ鈍化が目立ち、戻り高値の147円後半で一段の上昇は抑制されそうだ。
 8日に発表された米国の新規失業保険申請件数は予想より強く、景気減速懸念を弱め9日は米金利高・ドル高に振れた。ユーロ・ドルは1.0930ドル台に浮上し、ドル・円は146円20銭台に軟化。また、アジアや欧州の株価はやや落ち着きを取り戻し、前週末の取引ではリスク選好の円売りが主要通貨を支えた。本日アジア市場は東京市場の休場で薄商いのなか円買いは後退し、ドル・円は一時147円台に値を戻した。この後の海外市場は米インフレにらみ。日銀の金融正常観測はいったん後退し、円売り継続。欧米株高ならリスク選好の円売りも見込まれる。ただ、NY連銀によるインフレ期待が低下すれば、ドル売り材料に。今週発表の消費者物価指数(CPI)も一段の鈍化が予想され、連邦準備制度理事会(FRB)の早期・大幅利下げを見込んだドル売りに振れやすい。ドルは8月5日に141円台まで下落後、戻り高値の147円後半が意識される。

通貨別分析

 

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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル ドル・円は伸び悩みか、円売り後退もドルは戻り高値を意識

ドル 円は伸び悩みか 円売り後退もドルは戻り高値を意識

ポンド円は7/30の199円47銭を高値に7/31の日銀政策会合での追加利上げや植田総裁の追加利上げに前向きな姿勢を示した会見に加え、日経平均株価が週後半にかけて記録的な下落となったリスク回避や日米金利差縮小を見込んだ円が全面高となり、8/2には187円39銭まで1週間で12円超の円高となり187円65銭で取引を終えました。一方、ポンドドルは7/29の1.2888ドルを高値に8/1の英中銀政策委員会を前に現状維持/利下げ見込みが拮抗する中、1.2860ドル台から1.2830ドル台での小幅な値動きを続け、0.25%の利下げ決定に加えNY株式市場の大幅安を受けたポンド円の下落とともに1.2727ドルへ下落した流れとともに8/2には1.2707ドルまで下落。ただ、中期的なインフレリスクに言及した一方、米ISM製造業景気指数や雇用統計を受けた米経済の減速懸念を背景にFRBの利下げペースが加速するとの観測が高まったことから1.2840ドルへ反発し1.2805ドルで取引を終えました。8/1-2にかけて日米欧の主要株価指数が軒並み大幅続落となり、中でも日経平均株価は8/2のシカゴ日経平均先物の大幅安を受けて週明け8/5も大幅続落が見込まれるなど歯止めがかからない状況が続くと見られ、ドル円も週足・雲の上限(145円50銭)を下回る可能性があり、ポンド円も同様に週足・雲の上限(183円56銭)を下抜ければ心理的節目の180円00銭まで一段と下落するか株式市場の動向と合わせて注目されます。また、ポンドドルは日足・基準線(1.2830ドル)を下値支持線として7/19の1.2950ドルを回復できるか上値メドとして意識される一方、日足・雲の上限(1.2706ドル)を下回れば200日移動平均線(1.2646ドル)までの下落も想定されるだけに、ポンド円の動向はもちろん、8/5発表の英7月サービス業PMI(改定値)や8/8に公表される英中銀四半期報告書で示される年内の追加利下げの行方やインフレ見通しが注目されます。

■こうした「行き過ぎた円安」を示唆する指標は少なくありません。例えば、世界各国通貨の購買力を測る「ビッグマック指数(マクドナルド社の看板メニュー「ビッグマック」のドル建て価格を国際比較するもの)」を見ると、日本の同指数は3.17ドルで米国(5.58ドル)を大きく下回るばかりか、中国(3.50ドル)をも下回っています(いずれも2023年12月末時点)。

■こうした「金利差5%」を閾値(しきいち)としたドル円の方向感の違いには、為替市場のボラティリティ(市場の変動率のこと)が関係しているのかもしれません。というのも、金利差が縮小してくると、為替市場の変動により生じる損失を金利差ではカバーしきれないケースが増えてくるからです。

■しかし、こうした「安い円を更に売る」理由は、足元では急速に解消しつつあります。例えば、ここ数年、ドル円と高い相関を保ってきた日米の実質長期金利差(10年国債利回り)は、ここもとの円金利の上昇でにわかに縮小しつつあります(図表5)。また、中国景気の悪化やサプライチェーンの混乱が落ち着いたことから原油価格は大きく調整しており、日本の貿易赤字は大きく縮小するとともに、経常収支は大幅な黒字基調に回帰しています。

ユーロ円は、7/30の167円95銭を高値に日銀金融政策決定会合での追加利上げや植田総裁が追加利上げに前向きな姿勢を示したことに加え、日経平均株価の暴落を背景にした円全面高の中、8/2には159円71銭まで下落して159円86銭で取引を終える軟調な値動きに終始しました。一方、ユーロドルは7/29の1.0870ドルを高値にドイツ長期債利回りの低下を背景に1.07ドル台半ばからの上値の重さが意識されるとともにユーロ円の下落も上値抑制につながり8/1には1.0778ドルへ反落。しかし、200日移動平均線/日足・基準線/100日移動平均線が位置する1.0800ドルを挟んだ水準を下値支持域として下げ止まり、FOMCで9月利下げ開始が示唆されたことに加え、8/1-2の米7月ISM製造業景気指数や雇用統計の下振れを受けてFRBの利上げペースが加速するとの観測とともに8/2には1.0927ドルへ反発し1.0911ドルで取引を終えました。先週のFOMCでは9月の利下げ開始観測が高まり、その後の米経済の減速が懸念される複数の指標を受けてFRBの利下げペースの加速が意識されたほか、英中銀も利下げを決定。こうした中、米経済の減速が欧州経済に影響を及ぼす可能性が懸念されるだけに8/5から8/7にかけて発表されるドイツやユーロ圏7月サービス業PMI(改定値)やユーロ圏6月小売売上高、さらにドイツ6月鉱工業生産の結果次第ではECBの9月追加利下げ観測を高めることも予想されます。こうした中、ユーロドルは7/17の1.0948ドルを上回るか、この水準を前に伸び悩み週足・雲の上限(1.0862ドル)を下回るか注目されます。また、日米主要株価指数は下げ止まる気配が見えないため、円買いが一段と進む可能性があり、ユーロ円が週足・雲の上限(8/2時点:158円29銭)を下抜けることも予想され、日米欧主要株価指数の動向に加え中東情勢を巡る地政学リスクの行方も合わせて注目されます。

■弊社では、今年後半には日米の金融政策が相反する方向に動くことで、ドル円は緩やかな円高トレンドに転換するものと想定しています。しかし、足元のドル円がファンダメンタルズから大きく乖離した「行き過ぎた円安」となっていた場合、トレンド転換が引き起こす円高は生半可なものでは収まらない可能性が出てきます。

■ここ数年の円安ドル高トレンドをけん引してきたのは、日米金融政策の両股開きを背景とした、金利差の拡大が大きかったように思われます。とはいえ、過去にも日米金利差が大きく開いた時期は幾度もありましたが、ドル円がいつも素直に金利差に反応してきた訳ではありません。

■もちろん、ドル円のスポットレートは様々な参加者が多様な動機のもとに取引しているので、短期的にはPPPから乖離するのはむしろ当然といって良いでしょう。しかし、長期的に見るとドル円の推移はPPIベースのPPPを中心に±2標準偏差のレンジにほぼ収まることが確認できます。また、ドル円がCPIベースのPPPを上回って推移するのは、1971年の変動相場制移行後はごく僅かな時間帯に限られています。そう考えると、紛争や財政破綻、金融危機といった「よほどの事態」が日本に差し迫っているのでなければ、現状のPPPから見て行き過ぎた円安は持続不可能なように思われます。

この点を踏まえると、ドル円が緩やかなドル高・円安進行のもとで160円台に乗せた場合、為替介入の必要性は低いと考えられます。ただ、ボラティリティが上昇すれば、前回同様、米国債の売却を含む大規模な為替介入が想定されますが、介入には相場のトレンドを反転させる目的も効果もありません。ドル安・円高方向へのトレンド転換には、やはり日米金融当局の具体的な動きが、まずは待たれます。

■また、より広範なモノやサービスの価格をカバーする購買力平価(Purchasing Power Parity、PPP:2国間のインフレ格差から為替レートの適正水準を探る分析手法)で見ても、円の割安感は際立っています。具体的な数字で見てみましょう。足元のドル円レートは約156円(2024年6月5日時点)ですが、日米の消費者物価指数(CPI)の格差で計算したPPPは1ドル106円97銭、生産者物価指数(PPI)で計算したPPPは1ドル89円83銭となっています(図表3、4、いずれも4月末時点)。もし、CPI基準のPPPまでドル円が調整すると約49円(約31%)の大幅な円高に、PPI基準のPPPまで調整すると約66円(約42%)の「円急騰」が生じる計算になります。

先般の大規模介入で当局が死守した1ドル160円という水準は、チャート的には「超円安」への流れを阻止する、ギリギリの防衛ラインと見ることができそうです。このため、短期的には市場と当局の「痺れる神経戦」が続くこととなりそうです。とはいえ、ファンダメンタルズから大きく乖離して見える現在の「行き過ぎた円安」は、その持続性に疑問があるだけでなく、その後の「円高シナリオ」の振れ幅を増幅する可能性があります。特に、日米の短期金利差が5%を下回ってくる局面では、為替市場でのボラティリティ上昇をきっかけに「思いがけない円高」が生じる可能性があるため、その動向には注意が必要でしょう。

■「円が安すぎる」ということは、ニューヨークで日系著名チェーン店のラーメンが1杯約3,500円(18ドル+税+チップ、1ドル156円換算)することからも、多くの方が薄々感づいているのではないでしょうか。にもかかわらず、円安がここまで進んできた背景には、日米の金利差が大きく拡大してきたことや、エネルギー価格の高騰から2022年に貿易赤字が過去最高の21兆円を超えるまで拡大したことなどがあげられます。

■1995年12月末以降、約28年間のデータを見ると、日米の短期金利差(3カ月物の銀行間取引金利)が5%超の時期、ドル円の3カ月(60営業日)の騰落率は平均約1.48%のドル高となっています。また、より細かいレンジで見ると、金利差が拡大するほどドル高の傾向が強まります。しかし、同金利差が5%を下回り、4.5%以上5%未満のレンジに切り下がると、ドル円の騰落率は同約0.53%のドル安となっています(図表6)。

■ちなみに、日米の3カ月物の短期金利差が5%の場合、金利差から得られるリターン(取引コスト等控除前)は1.25%になります(5%×90日÷360日)。一方、日米金利差が4.5%以上5%未満の時期における3カ月間の為替騰落率は、ボラティリティが8%を超えると平均1.35%のドル安となります。このため、低金利の円で資金を調達して高金利のドルで運用する、いわゆる「キャリートレード」の損益はマイナスに転じる可能性が高まります。

■こうしてみると、一つの大まかな目安として、日米の短期金利差が5%を下回り、更にドル円の1カ月のヒストリカル・ボラティリティが8%を超えてくると、「行き過ぎた円安」が大きく巻き戻すきっかけとなる可能性が出てきそうです。ちなみに、足元の日米の同3カ月物金利の差は5.31%(6月5日現在)ですので、政策金利に概ね連動して動く短期金利の差は、日米の政策金利が0.31%以上反対方向に動くと、5%の閾値を下回ってくる可能性が高まります。

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