◆ドル円、米CPIの結果次第で利下げ幅予想に大きく影響
◆日銀の追加利上げについては時期尚早との声も
◆ユーロドル、賃金鈍化から利下げはほぼ確実視
予想レンジ
ドル円 141.00-148.00円
ユーロドル 1.0900-1.1300ドル
9月9日週の展望
ドル円は、日米の金融政策に対する思惑から不安定な展開が想定される。まず、米金利見通しについては、7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数が2021年1月以来の低調な内容だったことから17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%と0.50%利下げ確率が6日時点で拮抗している。来週は11日に市場が注目する8月消費者物価指数(CPI)の発表があり、利下げ幅が織り込まれていない状況のなか、結果次第ではドルが大きく上下する可能性は高いだろう。なお、今週末からブラックアウト期間に入る為、FOMCメンバーからの見解は期待できないが、FEDウォッチャーであるWSJのニックティミラオス氏のコメントには十分に警戒したほうがよいだろう。
日銀の金利見通しについては、植田日銀総裁が3日の経済財政諮問会議で「物価の見通しが実現していくとすれば引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する」と発言したほか、7月の毎月勤労統計調査で実質賃金が2カ月連続でプラスとなったことを背景に追加利上げへの思惑が再び高まっているが、これについては時期尚早との声が多い。日銀総裁の発言は以前から主張していた内容。また、実質賃金についても6月から7月にかけて夏季賞与を支払う企業が増えたことが大きく影響を与えた可能性が高く、「8月以降はプラスを維持するのは難しい」との見方もある。タカ派寄りとされる高田日銀審議委員も5日の講演で「利上げには十分な時間をかけて影響を検証」「当面は株式・為替の変動を十分注視」と金融市場への影響に配慮した見解を示しており、追加利上げを材料に更に円買いを進めるのは難しそうだ。
ユーロドルは、米CPIの結果を受けたドルの動向に大きく影響を受けつつ、12日の欧州中央銀行(ECB)理事会を待つ展開となる。ユーロ圏の4-6月期・妥結賃金上昇率が前年同期比3.6%と1-3月期の4.7%から大きく鈍化したことを受けて、市場では利下げがほぼ確実視されている。利下げに慎重姿勢だったラガルドECB総裁の記者会見での発言に注目が集まっており、ハト派寄りの見解が示されるかどうかに警戒したい。
9月2日週の回顧
ドル円は、週明けに限れば底堅く推移し3日には一時147.21円まで上昇する場面があったが、その後は一転して売りが優勢に。3連休明けの米国株式相場が急落し、米長期金利も大きく低下すると売りが加速した。米労働指標が低調な内容だったことも売りを促し、一時142.85円まで下値を広げている。
ユーロドルは下値が堅い。米国株安でリスクオフムードが高まると一時1.1026ドルまで下げたが、低調な米労働指標が相次いだことを受けてドル売りが優勢となると1.1120ドルまで反発した。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
日銀は12日 16日の当座預金残高の見通しを公表した
パウエル氏のインタビュー以外では、カンザスシティ連銀主催のイベントで経済見通しについての講演を行うウォラーFRB理事(日本時間17日22時35分)や、今年FOMCの投票権を持つリッチモンド地区連銀のバーキン総裁の発言にも注目したい。バーキン氏はメリーランド州ランドーバーで経済についての講演を行う(日本時間17日22時)。
日銀は12日、16日の当座預金残高の見通しを公表した。それによると、為替介入などが反映される「財政等要因」はマイナス3兆1700億円だった。
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