執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は98.79円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は91.19円前後で週初を迎えました。2日はフランスやドイツ、ユーロ圏の8月製造業購買担当者景気指数(PMI)が上方修正されたことで、豪ドル/円は99.86円前後、NZドル/円は91.67円前後まで上昇しました。ただ、その後は徐々に上値を切り下げる動きとなりました。3日には米8月ISM製造業景況指数が、4日は米7月JOLTS求人件数、5日は米8月ADP全国雇用者数などが市場予想を下回り、米国の労働市場や景気鈍化への警戒感が高まったことで、リスクオフの動きが強まりました。その結果リスクオフの円買いが強まり、豪ドル/円は95.59円前後、NZドル/円は88.38円前後まで下落しました(執筆時)。
中国インフレ指標は景気減速懸念を払しょくできるか?
6日に易・前中国人民銀行総裁が「当局はデフレ圧力との闘いに集中すべきだ」との認識を示しています。中国ではアナリストや要人は「デフレ」といった言葉や、中国経済にとって悲観的な印象を与える意見は控えるように当局から勧告されています。そういった状況での易・前総裁の発言は異例であり、それだけデフレに対して警戒感を強めているとも受け止められます。
来週は9日(月)に中国にて9月消費者物価指数(CPI)と9月生産者物価指数(PPI)が発表されます。市場予想はそれぞれ前年比+0.8%、-1.5%となっています。前述の通り、中国ではデフレ圧力が根強く、PPIは2022年10月以降22カ月連続でマイナスとなっています。仮に市場予想通りに前月から大幅な悪化となれば、中国の景気先行き不安が残ることになります。豪州とNZは中国と交易関係が強いため、中国経済が弱いと豪ドルやNZドルにとっては売り材料となってしまいます。急なプラス転換は難しいかもしれませんが、マイナス幅が前月(-0.8%)と比べてどうなったか注目したいと思います。
米国の景気動向にも要注意
来週は豪州やNZでは主要な経済指標の発表は予定されていません。そのため、豪ドルやNZドルは前述の中国の景況感が一つの取引材料になります。その他の材料で両通貨の動きに大きく影響を及ぼしそうなものが、米国の景気動向になります。米国ではリセッション入りの可能性を示すシグナル(サーム・ルール)が点灯しており、市場は米景気悪化を示す経済指標などに警戒を強めています。特に米国の労働市場の動向を米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策を立案する際に重視しています。執筆時にはまだ発表されていない米8月雇用統計が予想を下回った場合には、月曜日の朝からリスク回避の動きが急速に強まり、8月5日のような動きとなる可能性もありますので十分注意しましょう。また11日には米8月CPIの発表も控えています。米国のインフレはFRBの目標2%にかなり近づいていますが、結果が株価に与える影響は小さくないため、引き続き注目です。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は200日移動平均線に上値を抑えられて反落してしまいました。目先の上値目途は日足一目均衡表の雲になります。特に雲の上限付近は200日移動平均線(青点線)や心理的節目となる100.00円がありますので、相応の抵抗がありそうです。下値目途は、週足一目均衡表雲下限(93.42円前後)がサポートとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:93.00-98.00、NZD/JPY:86.00-91.00
9/9週のイベント:
09/09 (月) 10:30 中国 8月消費者物価指数(CPI)
09/09 (月) 10:30 中国 8月生産者物価指数(PPI)
09/10 (火) 未定 中国 8月貿易収支
09/10 (火) 07:45 NZ 4-6月期四半期製造業売上高
09/10 (火) 09:30 豪 9月ウエストパック消費者信頼感指数
09/10 (火) 10:30 豪 8月NAB企業景況感指数
一言コメント:
ブロックスというボードゲームがあります。最大4人で色々な形のブロックを使って陣取りゲームをするのですが、これが結構頭を使います。ルールもそこまで難しくないので、老若男女問わず楽しめます。我が家では子供、我々(親)、祖父母と3世代でやることも。知育、頭の体操にもなり、どの世代でも楽しめますので是非見かけたら試してみてください。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
ドル円一時142円台!米雇用統計とドル相場に注目!雇用統計→9月FOMCでの利下げ幅左右する重要指標。
図表4は、AIが予測した各シナリオにおけるドル円レートの推移と、各シナリオの発生確率を示している。AIの分析によると、最も発生確率が高いのは「現状維持シナリオ」で40%となっている。これは、短期的には急激な変化よりも緩やかな推移が予想されることを示唆している。次いで高い確率が割り当てられているのは「日米金融政策収束シナリオ」で30%である。この二つのシナリオで全体の70%を占めており、AIは比較的安定した市場環境が継続する可能性が高いと予測していると解釈できる。一方、「グローバル経済混乱シナリオ」には20%の確率が割り当てられており、世界経済の不確実性も無視できない水準で存在していることを示唆している。
この先相場が上に行くのか下に行くのかは、今週末の「8月の雇用統計」が全てだと思います。「今日のアナリストレポート」でも触れましたが、「16.5万人」と予想されている8月の非農業部門雇用者数(NFP)ですが、仮にこの数字が出た場合、市場がどのように反応するのかは未知数です。米労働統計局が、今年6月までの雇者数を「81万8000人」下方修正したこともあり、毎月発表される雇用者数よりも実態の労働市場はすでに鈍化していたわけで、その信ぴょう性に疑問符が付くということになりかねません。NFPは先ず「速報値」が発表されますが、その数字は翌月、翌々月まで修正されることが、ほぼ定例化されているのが現状です。従って、仮に市場予想を下回った場合には、「実際には、もっと減速している」といった見方が出て、「9月会合では50bの利下げ」が現実味を帯びて来る可能性もあります。最終的には「年内にどの程度の幅で利下げがあるのか」という点が重要だとは思いますが、50bpの利下げが確実視されるようだと、ドル円は143円割れを試す動きになりそうです。
弱い米CPIでドルに売りが入ったとはいえ、ユーロなど他通貨と比較しても、円の動きが「異常」だったことから、マーケットでは介入があったとの噂が流れている。
ドル円は8月5日に141円68銭まで急落した後149円台まで、これまた急速に値を戻し、そして再び下落に転じたものの、今度は143円台で下げ止まり、先週末のNYでは146円台まで戻すといった、荒っぽい動きが続いています。現時点では、141円台が「大底」で、143円台が「二番底」という形態を見せてはいますが、ただ本当に「大底」、「二番底」を確認したのかどうかという点については確証がありません。市場には依然として、「今後円高が進み、140円を割込む」といった予想を維持している専門家が多くいるのも事実です。一方で金融市場全体が落ち着きを取り戻し、株価の上昇に伴い「リスクオン」から円がさらに売られると予想する向きも少数派ですが散見されます。筆者もどちらかと言えば「後者」に属する立場です。ドルの急落からほぼ1カ月が経ち、本当にドルがもう一段安を記録するのであれば、この1カ月以内にその局面があってもおかしくはなかったと思っています。値幅には、時間的な要素が非常に重要です。株式市場に「日柄」という概念があるように、為替にも時間軸のような「日柄」があると考えています。
この日発表の6月の米CPI(消費者物価指数)は、2020年5月以来4年ぶりの前月比マイナスとなり、米インフレ率の鈍化が明らかになった。FRB(米連邦準備制度理事会)の「9月利下げ」期待が再浮上するなかで、米長期金利は4.15%前後まで低下し、日米金利差は今年最狭水準まで縮小した。これを受けてドル/円は4円超の大幅下落。夜遅くには157.42円まで下落した。終値は158.89円。24時間のレンジ幅は4.34円。
米ドル/円はより機動的なトレードが求められる! 円売りでスワップ金利を稼ぎながら、為替売買益も 稼ぐバラ色の相場は終焉を迎えた!
※前回変動幅...前回の発表時から10分間でドル円が何pips変動したか。
7月のドル/円のレンジは、157.42円から161.95円。 高値と安値の50%(中間点)は、159.69円。 中立点から見て現在の水準は、「円高」。
豪ドルの対ドル相場はFRBが利上げを始めた2022年3月以前の水準と比べて、7%程度の豪ドル安水準にあり、上昇余地はまだ残されているともいえる。今後、ドル円相場が1ドル=160円程度で膠着すると同時に、FRBとRBAの金融政策の方向性の違いが意識されれば、豪ドル円相場での豪ドル高がさらに加速する可能性もありそうだ。
ドル/円のこの下げは中期的には絶好の買い場かもしれないが、慌てて買うことはせず、慎重に見定めたい。介入は1回で終わりとは限らないからだ。今年は4月29日と5月1日で、いずれも指標発表後や流動性の低い時間帯を狙った介入だった。今夜のNY市場終了間際、東京市場が休場となる来週月曜早朝などは政府・日銀が投機的な動きを叩き潰そうと待ち構えているおそれがある。
ドル/円は、まだ買ってはダメ! 週末「為替介入第二弾」の可能性?
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