年末調整廃止すべき?税の現場は

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年末調整廃止すべき?税の現場は
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 年末調整廃止すべき?税の現場は

年末調整廃止すべき税の現場は

このように、支出税については、租税論上、いくつかのメリットが指摘されていますが、具体的な制度として実施するためには、所得の把握に加えて、資産・負債の増減を個々人ごとに把握する必要があるため、源泉徴収・年末調整といった仕組みは基本的に採用が困難であり、すべての納税者が申告納税を行わざるを得ません。そして、適正な申告を担保するために、所得の発生と資産・負債の増減についての記帳と金融機関などからの資料情報の提出が必要となります。このように、支出税の実施には大きなコストが伴うことから、一部の国で導入が試みられたことはあるものの、現在、実際に支出税タイプの税を実施している国はありません。

「国税庁、市町村、日本年金機構などに、勤務先から今バラバラに提出している所得関連のデータを国の窓口機関で一元管理」するといい、「移行期間を経たうえで年末調整を廃止して、すべての国民に確定申告をしていただく」と記した。河野氏はデジタル相としてマイナンバーを活用したデータ管理を推進してきた。

河野太郎デジタル相(61)が自民党総裁選の公約で年末調整の廃止を打ち出し、議論を呼んでいる。所得情報を迅速に把握し、プッシュ型支援を実現する狙いといい、全ての国民が確定申告することになる。税の現場からは事務量の増加などへの不安が漏れるが、歓迎する声もある。

給与所得控除の関連で、特定支出控除の実際の適用件数が少ないという指摘があります。給与所得は、支払われる度に一定の税額が源泉徴収され、その年の給与所得の総額に対する税額と源泉徴収された税額との過不足については年末調整により精算されますが、給与所得者が勤務に直接必要な特定の支出(通勤費、転任に伴う引越費用、研修費、資格取得費、単身赴任者の帰宅旅費の5種類)をした場合に、その年中の特定支出の合計額が給与所得控除額を超えるときは、確定申告により、その超える部分を特定支出控除として控除することが認められています。これは昭和62・63年の抜本的税制改革においてサラリーマンが確定申告を通じて自らの所得及び税額を確定させることができる途を拓いたものです。

仮に、利子所得等も含めた総合課税化を行う場合には、まず、膨大な数の預金口座からの利子所得について資料情報の提出を求めることとなり、さらに、利子所得以外の各種の金融商品に係る所得についても同様に資料情報の提出が求められることとなります。また、現在、給与所得者の多くは年末調整によって納税が完結していますが、総合課税化に伴い、ほとんどの納税者が確定申告書を提出することとなります。

生命保険料控除・損害保険料控除については、租税特別措置として制度創設後長期間が経過し、保険の加入率も相当の水準に達して変化も見られないことから、制度創設の目的は既に達成されているものと考えられます。また、保険にも貯蓄性、投資性の高いものが多く、その貯蓄としての機能に着目すれば、他の金融商品と同様であると指摘されているところであり、保険を税制上特別扱いして、保険料の一部を所得控除によって課税ベースから除いていることは、広く包括的に所得を捉える考え方や金融商品間の税負担の公平性及び中立性に照らして問題があると考えられ、そのあり方について見直しを行っていく必要があります。さらに、これらの控除について年末調整に要する事務負担や、公的年金に未加入・未納であっても個人年金保険料については生命保険料控除の適用を受けている者が相当数に上っているとの指摘にも留意を要します。

まず、家計資産は、高度成長期から最近のバブルの生成と崩壊という過程を経て、量的な面ではどのように変化してきているのでしょうか。国民経済計算から家計部門の資産残高の推移を見てみると、いわゆるバブル経済の崩壊による地価の下落もあって最近はやや落ち込みが見られるものの、平成10年末の資産残高は約2,500兆円とこの30年間に実質ベースでも約4.5倍にまで拡大しています。さらに、雇用者所得(フロー)の推移との比較で家計資産(ストック)の推移を見ても、昭和50年代前半以降開き始めた両者の伸びの差は、バブル経済の崩壊による地価下落で家計資産が落ち込んだ現在でも依然として大きいままです。このように、経済のストック化の進展がはっきりと見てとれます。

かねてから年末調整の廃止を訴えてきた税理士の山田典正さんは、河野氏の公約の狙いについて「事務負担をなくし、国全体の生産性を上げるためではないか」とみる。

ある税務署の幹部職員は「大変困る」と不快感を隠さない。年末調整だけで済んでいた会社員たちが一斉に確定申告に来れば、「相当量の事務が加わることは想像に難くない」と考えるからだ。

ただ、年末調整の事務が大変だと企業側から小言を言われることがあるといい、「負担をかけていることは実感している」とも言う。

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