総括
FX「ニュースはダイナミックもリラは小動きで浮上せず」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.0-4.5
*リラは下位で推移、8月11位、年間も11位
*8月CPIは鈍化
*今週は失業率、鉱工業生産、小売売上、経常収支、来週は政策金利
*トルコの格付けをBB-に引き上げ
*トルコの中期経済計画は
*トルコ、BRICS加盟続きが進行中
*中銀は現在利下げを検討していない 副総裁
*IMFは成長見通し引き上げ
*フィッチは2024年のトルコの成長率を上方修正
*海外投資家は、最も速いペースでトルコ国債を購入
(8月11位、年間も11位)
8月月間は11位、年間でも11位。株価は年初来29.84%高で首位だが、7月の50%高からは伸び幅を大きく縮小した。10年国債利回りは28%台で高止まり。
(CPI鈍化、製造業PMIは改善)
8月の消費者物価上昇率は前年比51.97%に大幅鈍化した。予想は52.2%。 ベース効果や食品の高騰抑制策を背景に5月以降、急ピッチでディスインフレが進行しており、景気減速を踏まえ、11月か12月にも利下げがあると予想している。
8月の製造業PMIは47.8と、7月の47.2から上昇した。ただ、需要鈍化により生産や雇用が縮小し、好不況の分かれ目である50を引き続き下回った。
(今週の指標は? 来週は政策金利)
今週は7月失業率、鉱工業生産、小売売上、経常収支の発表がある。来週は政策金利決定。
(トルコの格付けをBB-に引き上げ)
フィッチはトルコの信用格付けを引き上げた。今年2度目。インフレ抑制に向けた主流政策の継続にトルコが自信を持っていることを示す最新の兆候だ。
国債格付けをB+から1段階引き上げてBB-とした。
格付け変更の要因として、対外バッファーの改善と偶発的外貨負債の減少を挙げた。フィッチは、2023年5月の総選挙後に行われた政策転換以降に実施された政策の持続性と有効性に対する信頼が高まったことを理由に、3月にトルコの格付けをBからB+に引き上げ、見通しをポジティブにしていた。
(トルコの中期経済計画)
ユルマズ副大統領は、中期経済計画(2025-27年)を公表し、26年までにインフレ率を1桁台に引き下げ、27年までに経済成長率を5%に引き上げる方針を示した。
24年のインフレ率の予想は41.5%。25年は17.5%、26年は9.7%。
GDP伸び率の予想は24年が3.5%、25年が4%、27年が5%。
副大統領氏は、構造改革を通じ生産性に基づく投資・雇用・生産・輸出の増加を目指すと表明。「金融・財政・所得政策の強力な協調を実現し、インフレ対策に優先的に取り組む」と述べた。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン中位を越えず、下位低迷
日足、8月28日の長い下ヒゲから上昇もボリバン中位越えずじり安。8月28日-9月9日の上方上昇ラインがサポート。9月3日-9日の下降ラインが上値抵抗。5日線上、20日線下向き。
週足、8月26日週は下ヒゲが長かったが浮上せず。ボリバン2σ下限。8月26日週-9月2日週の上昇ラインを下抜く。7月26日週-9月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線を下向き。
月足、2σ下位で推移。8月の月足の下ヒゲは長かった。3月-4月の上昇ラインを下抜く。ボリバン2σ下限は3.53。7月-8月の下降ラインが上値抵抗だが上抜くか。
年足、9年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。再び円との熾烈な最下位争いをしていたが7月の大規模円買い介入もあり円に抜かれた。
メルハバ
トルコ、BRICS加盟続きが進行中
与党・公正発展党(AKP)のチェリク報道官は、トルコは「BRICS」加盟に向けて「手続きは進行中」と述べた。
BRICSには、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エチオピア、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)が加盟。ロシアと中国は、西側諸国の経済的優位に対抗するためグループの一段の拡大を模索している。NATO同盟国でEU加盟候補国でもあるトルコが加盟すれば、外交上大きな成功となるとみられている。
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FX ニュースはダイナミックもリラは小動きで浮上せず トルコリラ見通し
5月31日に発表されたトルコの1-3月期GDPは前年同期比5.7%増となり市場予想と一致し、昨年10-12月期の4.0%増を上回った。最低賃金の上昇やインフレ高進を見込んで前倒しでモノの購入がなされたことで内需が伸びた影響とされるが、昨年7-9月期の6.1%を下回っており、2022年4‐6月期の7.6%以降は7%を下回った状況が続いている、トルコ中銀の金融引き締めが続いていることや財務省による緊縮財政政策等により年後半は景気減速するとの見方が優勢のようだ。1-3月期のGDP前期比は2.4%増で昨年10-12月期の1.0%増を上回った。家計最終消費支出は7.3%増、輸出は4.0%増。輸入は3.1%減だった。
しかし、サービス部門のインフレ率は高止まりしている。また、6月の中銀調査でトルコの家計が予想する1年後のインフレ率は72%と中銀の予想(24 年末のCPI上昇率の予想中央値が前年比38%、25年末が14%)とかなりの乖離が見られる。不穏な中東情勢がエネルギーの上昇要因となるリスクがくすぶっていることも考えるならば、利下げのタイミングは後ずれする可能性があろう。ゆえに8月CPIがリラ売りの要因となっても、それは一過性の要因と捉えたい。
トルコ中銀は8月20日の会合で、インフレの上振れリスクを引き続き警戒する姿勢を維持するとし、利下げ政策へ転換する時期についての手がかりを示さなかった。一方、ロイターが実施したエコノミストの調査によれば、早ければ今年の10月にトルコ中銀が利下げに踏み切る可能性があるという。
トルコリラの対円相場は底堅い動きが続いています。
今日は8月の米ISM製造業景気指数が発表される。今日のIGコモディティレポート「調整ムードのNY金、米経済指標にらみの1週間、今日の注目指標と見通し」で述べたとおり、強い内容ならば「米金利の反発→米ドル買い」が予想される。米ドル買いはドル円の上昇要因となろう。ドル円の上昇はトルコリラ円をサポートしよう。
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月4日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、3月12日夜に戻してから一段安したために3月13日午前時点では3月12日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと改めて14日午前から18日午前にかけての間への下落を想定した。3月13日午後に一時的な下落で4.51円まで下げ14日早朝に一時的な高値で4.65円を付けてから反落しているが、相場の継続的な騰落リズムとしては3月12日夜高値をサイクルトップとした下落基調を続けていると考え、14日の日中から18日午前にかけての間への下落を想定する。ただし連続的な上昇で4.62円を超える場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして15日夜から19日夜にかけての間への上昇を想定する。
トルコリラ円(TRY/JPY)は現在、テクニカルの面で分岐点にある。その分岐点とは、短期の上値抵抗線の攻防である。昨日は21日線の上方ブレイクに成功したが、上値抵抗線で上昇が止められた。今日はこのラインを意識した動きとなっている。
一方、さらなるインフレの鈍化は、外為市場にトルコ中銀の利下げを意識させる要因でもある。
トルコリラ円の3月14日は概ね4.62円から4.57円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.61円で前日終値と変わらなかった。
トルコ中銀は3月6日に政策の引き締めスタンスへのコミットメント強化のため、商業貸し付けを従来の2.5%から2.0%へ、一般貸し付けの月次伸び率限度を従来の3.0%から2.0%に引き下げた。3月13日には金融機関に対する規制を15日から強化するとし、リラ建て準備預金の一部を自由に移動させずに凍結することを義務付けた。資産が1000億リラを超える銀行ではリラ建て準備預金の15%、資産5000億リラでは25%を対象とした。利上げ終了を宣言したもののインフレ高進が収まらず、3月末のトルコ統一地方選挙を控える中で追加利上げは避けたいために利上げ以外の引き締めを行っている印象だ。大手格付け会社フィッチが3月8日にトルコを格上げしたばかりだが、規制強化による金融市場の自由度を下げる行為は外資や格付け機関の評価を下げることにもなりかねない。
トルコ、BRICS加盟続きが進行中 与党・公正発展党(AKP)のチェリク報道官は、トルコは「BRICS」加盟に向けて「手続きは進行中」と述べた。BRICSには、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エチオピア、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)が加盟。ロシアと中国は、西側諸国の経済的優位に対抗するためグループの一段の拡大を模索している。NATO同盟国でEU加盟候補国でもあるトルコが加盟すれば、外交上大きな成功となるとみられている。
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月30日夕刻に4.84円まで下げてから4.87円まで戻したために31日午前時点では30日早朝高値を直近のサイクルトップ、30日夕安値を同サイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして6月4日未明から6日早朝にかけての間への上昇を想定した。6月1日早朝へ続伸したため引き続きトップ形成中とするが、戻りは短命の可能性もあるので4.86円割れを弱気転換注意とし、5月30日夕安値4.84円割れからは弱気サイクル入りとして6月4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定する。
トルコリラ円の3月12日は概ね4.62円から4.57円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.60円で前日終値の4.58円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラの3月13日は概ね32.28リラから31.86リラの取引レンジ、14日早朝の終値は31.91リラで前日終値の32.03リラからは0.12リラのドル安リラ高だった。金融政策正常化を推進して8会合連続利上げにより政策金利の週間レポレートを就任前の8.5%から45.0%へ引き上げてきたトルコ中銀のエルカン前総裁が2月2日に突然辞任し、カラハン新総裁が追加利上げの必要はないとしたもののインフレ高進が収まらず、エルカン総裁時代に大幅増強されてきた外貨準備高が減少傾向に陥ったことでリラ安が一段と加速しており、3月21日のトルコ中銀金融政策委員会へ向けた追加利上げ催促的なリラ安が続いている。3月1日から3月13日まで9日連続で取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは3月12日に初めて1ドル32リラ台に乗せた。13日終値は一時的なリラ買いにより32リラ台を割り込んだものの、14日午前序盤は32.21リラを付けて取引時間中の最安値に迫っており、リラ安基調は加速したままだ。
一方、さえない内容となれば、「米金利の低下→米ドル売り→ドル円の下落」を受け、トルコリラ円は下値をトライする展開が予想される。
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