執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
日々、為替情報発信中!
今週の振り返り
今週の豪ドル/円は94.79円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は87.66円前後で週初を迎えました。
中国経済の先行きへの不透明感が強いことから中国と交易関係の強い豪ドルやNZドルは上値の重い状態が続きました。11日には米大統領選のテレビ討論会を受けて、民主党のハリス氏が共和党のトランプ氏に勝利する可能性が高まったとの見方から、米ドルが下落。豪ドル/円は93.60円前後、NZドル/円は86.32円前後まで下落する場面も見られました。また12日にはウォールストリートジャーナル紙(WSJ)が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げの可能性を報じました。この結果、米ドル/円が年初来安値となる140.65円前後まで急速に下落しましたが、米ドルが全般的に売られた影響だったため、豪ドル/円やNZドル/円の下げは限定的でした(執筆時)。
豪労働市場は引き続き強いのか?
来週は19日に豪8月雇用統計が発表されます。11日に豪準備銀行(RBA)のハンター総裁補は、「不完全雇用率や平均労働時間がRBAの想定よりも強く、労働市場の需給の緩和を示唆していないことがサプライズであった」との見解を示しています。ちなみに不完全雇用率とは、職には就いているが希望通りの仕事(労働時間)ではない人の割合を指します。豪州の不完全雇用率は2023年3月以降6.2%~6.7%のレンジ内での推移となっています(表1参照)。今回の豪8月雇用統計ではこの不完全雇用率に注目したいと思います。仮に前月から低下を示した場合、「豪州の労働市場は依然としてひっ迫状態にある」との見方から、RBAが追加利上げに動く可能性が幾分か高まることになりそうです。また、引き続き雇用の内容(正規雇用者数と非正規雇用者数の増減)も注目です。
【表1:豪不完全雇用率の推移】
来週は18日にFOMCが控えています。前述の通り、市場はいまだに今回のFOMCでの利下げ幅を織り込みきれていません。そもそも米連邦準備制度理事会(FRB)メンバーが決めかねているとの一部報道もありました。米国の利下げ幅を巡り米ドルを中心に為替相場が右往左往することも考えられます。週末からFOMCにかけて、利下げ幅を市場に織り込ませるために新たなリーク記事が出てくる可能性もあります。お気を付けください。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は9月9日高値(95.71円前後)が目先の上値目途として意識されています。その上の水準では日足一目均衡表の転換線や基準線が次の目途となりそうです。13日の終値次第では転換線が基準線を下抜けてしまいます。そうなると、①転換線が基準線の下、②ローソク足が雲の下、③遅行線がローソク足の下、の三役逆転となり売りのシグナルが点灯します。下値目途は、11日安値(93.60円前後)が目先のサポート。その水準を下抜けてしまうと8月5日に記録した年初来安値(90.08円前後)までめぼしいめどはありません。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:92.00-97.00、NZD/JPY:85.00-89.00
9/16週のイベント:
09/18 (水) 07:45 NZ 4-6月期四半期経常収支
09/19 (木) 07:45 NZ 4-6月期四半期国内総生産(GDP)
09/19 (木) 10:30 豪 8月新規雇用者数
09/19 (木) 10:30 豪 8月失業率
一言コメント:
NFL(アメリカンフットボール)のシーズンが開幕しました!毎年シーズン開幕前後は期待でワクワクしています。今年はこのワクワクが2月(スーパーボウル)まで続くことを祈っています。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
来週の為替予想 豪ドル 円
ドル/円のこの下げは中期的には絶好の買い場かもしれないが、慌てて買うことはせず、慎重に見定めたい。介入は1回で終わりとは限らないからだ。今年は4月29日と5月1日で、いずれも指標発表後や流動性の低い時間帯を狙った介入だった。今夜のNY市場終了間際、東京市場が休場となる来週月曜早朝などは政府・日銀が投機的な動きを叩き潰そうと待ち構えているおそれがある。
弱い米CPIでドルに売りが入ったとはいえ、ユーロなど他通貨と比較しても、円の動きが「異常」だったことから、マーケットでは介入があったとの噂が流れている。
この日発表の6月の米CPI(消費者物価指数)は、2020年5月以来4年ぶりの前月比マイナスとなり、米インフレ率の鈍化が明らかになった。FRB(米連邦準備制度理事会)の「9月利下げ」期待が再浮上するなかで、米長期金利は4.15%前後まで低下し、日米金利差は今年最狭水準まで縮小した。これを受けてドル/円は4円超の大幅下落。夜遅くには157.42円まで下落した。終値は158.89円。24時間のレンジ幅は4.34円。
図表4は、AIが予測した各シナリオにおけるドル円レートの推移と、各シナリオの発生確率を示している。AIの分析によると、最も発生確率が高いのは「現状維持シナリオ」で40%となっている。これは、短期的には急激な変化よりも緩やかな推移が予想されることを示唆している。次いで高い確率が割り当てられているのは「日米金融政策収束シナリオ」で30%である。この二つのシナリオで全体の70%を占めており、AIは比較的安定した市場環境が継続する可能性が高いと予測していると解釈できる。一方、「グローバル経済混乱シナリオ」には20%の確率が割り当てられており、世界経済の不確実性も無視できない水準で存在していることを示唆している。
※前回変動幅...前回の発表時から10分間でドル円が何pips変動したか。
ドル/円は、まだ買ってはダメ! 週末「為替介入第二弾」の可能性?
当サイト口座開設申込限定キャンペーン中!条件クリアで現金3000円がもらえる!
週明けの日本株は一時1100円を超える下げを見せる場面もありました。先週末のNYで、ダウやナスダック指数が大きく売られたことと、円高が急速に進んだことが、日本株の下落につながっていますが、今日マイナスで取引を終えればこれで5日続落ということになります。株価の下落は、ドルが売られ円高方向に振れ易いことから、今後この日米株価がどこで下げ止まるのかも、焦点の一つになります。少なくとも米国では今後確実に金利が下がることから、金利面だけを考えればここからさらに大きく米国株が売られるリスクは低いと予想していますが、どうでしょう。
豪ドルの対ドル相場はFRBが利上げを始めた2022年3月以前の水準と比べて、7%程度の豪ドル安水準にあり、上昇余地はまだ残されているともいえる。今後、ドル円相場が1ドル=160円程度で膠着すると同時に、FRBとRBAの金融政策の方向性の違いが意識されれば、豪ドル円相場での豪ドル高がさらに加速する可能性もありそうだ。
7月のドル/円のレンジは、157.42円から161.95円。 高値と安値の50%(中間点)は、159.69円。 中立点から見て現在の水準は、「円高」。
今週は11日(水)に発表される「8月の消費者物価指数(CPI)」が注目されます。市場の関心の中心が「インフレ」から「雇用」にシフトしてはいますが、それでも仮にCPIが予想を大きく上回るようなことになれば、「あれっ」ということになり、再びインフレにも注意が向き、ドル円も下げ止まる可能性があるかもしれません。
今年7月には162円近辺までドル高が進んだドル円が、141円台まで急落したきっかけとなったのは8月2日に発表された「7月の雇用統計」でした。そして、ちょうど1カ月後の「8月の雇用統計」を受けて、一旦は149円台まで反発したドル円が再び141円台まで売られ、ほぼ同水準までドルが下落して来ました。今のところ、141円70−80銭のレベルでは2回下落が止められていると見ることも出来ますが、来週のFOMC会合での利下げ幅次第では同水準を抜け、140円割れを試す展開がないとも言えません。「8月の非農業部門雇用者数」が14.2万人と発表され、同時に6月分、7月分も合わせて下方修正されたことで、よりトレンドが確認され易い「3カ月平均」では「12.2万人」と、今年1−3月の平均である「27.8万人」からは大きく減少しました。どうやら労働市場の減速は最早、疑いのないところのようです。
コメント