執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年9月13日 14時56分
円独歩高の流れ加速するか注視
ユーロ/円・ポンド/円、安値圏で振幅
ドル安と円高に挟まれて明確な方向性は出にくかったものの、米ドル/円が141.00円割れを試す動きに連動して上値が重くなると、ユーロ/円は155.454円、ポンド/円は183.707円まで下げ幅を広げました。ECB(欧州中央銀行)は予想通り6月に続き2度目の利下げを決定したものの、10月利下げについてはほぼゼロ回答だったこともあり、理事会後にユーロが買い戻されたため、ユーロ/円は下げ一巡後は157.50円レベルまで緩やかに戻しました。ポンド/円もユーロ/円に連れて186.70円レベルまで戻しました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、米PPI, Jobless編「振幅相場攻略」(2024年9月12日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ポンドはCPI次第の部分も
ECBのラガルド総裁は会見で「引き続きデータに依存し、会合ごとにアプローチしていく」との従来のスタンスを改めて明らかにしました。また、「インフレ率は来年後半にかけて目標に向かって低下していくとしながらも、今年後半に再び上昇が見込まれる」ともしており、利下げを急ぐ姿勢は示しませんでした。ファンダメンタルズを確認しながら、次回の利下げ時期を市場は模索することになりますが、来週はそれらを判断する材料が少ないため、ユーロ/円は米ドルや円の動向に振り回されることになりそうです。
また英国では、賃金上昇に鈍化の兆しが見られているものの、底堅い雇用情勢やサービス分野でのインフレ圧力がまだ高いこともあって、来週の利下げはないとの見方が優勢になっています。その上で、11月7日会合に向けて何らかしらのヒントが出てくるかが着目されますが、総裁の会見なども予定されておらず、新たな手掛かりは得られなさそうです。来週は消費者物価指数などのインフレ指標が発表されるため、そちらの方が相場のかく乱要因になりやすいと考えます。特にサービス分野のインフレ率低下が進めば、11月の追加利下げへの期待を高めて、ポンドの上値を重くする可能性はありそうです。
ユーロ/円、ポンド/円とも似た形状で下振れ警戒(テクニカル分析)
ユーロ/円は弱気の三角持ち合いとされるディセンディング・トライアングルの中での値動きが続いています。定石通りに、レジスタンスライン付近まで戻したところは売りで考えたいところです。下方向は、154.50-70円レベルは支持帯として意識されるものの、上値の重さからサポートラインとなる153.132円をブレイクダウンしていく危険が高そうです。同レベルを割り込めば、151.00円を目指すことになるでしょう。
ポンド/円も下値警戒。7月11日高値の208.109円からの下落幅の半値戻し194.097円付近で頭を抑えられて上値を切り下げているチャート形状からは、もう一段の下振れが意識されます。日足一目基準線と転換線が逆転しつつあることも、相場環境を悪くしています。190円付近までの戻りがあるようなら、売り場を模索したいと考えます。下方向は、180.00円を割り込めば、次は178.00円付近が意識されると考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:151.500-158.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:180.000-190.000
9/16 週のイベント:
一言コメント
プロ野球セリーグで、つい先日まで2位だったジャイアンツがいつの間にか首位。相当な爆発力ですね。とはいえ、残りの試合数が15試合以上あるため、油断は大敵なのでしょうね。
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来週の為替予想 ユーロ 円
ポンドドルは9/2の1.3155ドルを高値に英中銀がFRBやECBに比べ緩やかな利下げ局面に入る可能性を想定したポンド買いが一巡した可能性とともに、上値の重さが意識され9/3には1.3088ドルへ下落。ただ、9/4-5の米労働関連指標の下振れを受けた米長期金利の低下とともに9/5には1.3185ドルへ反発。さらに、9/6の米雇用統計発表直後に1.3238?へ上昇したものの、対ユーロでのポンド売りに押され1.3110?へ急落し1.3130ドルで取引を終えました。また、ポンド円は9/2の193円48銭を高値に英FTSE株価指数が8/30から9/6にかけて6日続落したほか、日経平均株価やドイツDAXや米S&P株価指数が9/3から4日続落したリスク回避の円買いとともに9/6に186円53銭へ下落し186円81銭で取引を終えました。ポンドドルは日足・転換線(1.3126ドル)を上値抵抗線として伸び悩む中、9/10発表の英5-7月期賃金上昇率、9/11発表の7月の月次GDPや鉱工業生産、9/12の英中銀ブリーデン副総裁の発言など、9/19 の英中銀政策委員会で追加利下げの有無を占う上で注目されます。そのため、利下げが予想される9/12のECB理事会の結果に対する対ユーロでのポンドの動向に加え、9/17-18のFOMCで0.25%もしくは0.50%の利下げの行方に影響を及ぼす9/11発表の米8月消費者物価指数の結果がポンドの方向性を大きく左右するだけに注目されます。また、ポンド円は対ドルでの動向に加え、英FTSEが先週末までの6日続落から反発に転じるか、下落を継続するのか、さらにドル円が8/5の141円70銭を下回る可能性もあり、140円00銭割れを視野に入れる展開となればポンド円も日足・基準線(186円78銭)を下抜け、この水準を上値抵抗線として意識され185円割れまで一段安となる可能性もあり、日米欧主要株価指数の動向がリスク回避を加速させるか注目されます。
ドル円は、トランプ前米大統領のドル高けん制発言や日銀の早期利上げに対する思惑から神経質な展開が想定される。今週はトランプ氏の言動に大きく振らされる展開となった。13日に行われていた選挙集会で狙撃されながらも、拳を突き上げるパフォーマンスを見せ、大統領選勝利が一層近づいたとの認識から今後の米金利上昇・ドル高が予想された。
ユーロドルは9/2発表のドイツやユーロ圏8月製造業PMI(改定値)の上方修正を好感し1.1077ドルへ上昇したものの、9/12 のECB理事会での追加利下げ観測が上値抑制につながる中、9/3にはドイツ連銀総裁のハト派寄り発言を受けて1.1026ドルへ下落。ただ、9/4-5の米労働関連指標の下振れを受けた米長期金利の低下にサポートされ9/5には1.1120ドルへ反発。さらに、9/6の米雇用統計の就業者数の下振れを受けて1.1155ドルへ上伸したものの、失業率の改善を受けて1.1066ドルへ下落し1.1085ドルで取引を終えました。また、ユーロ円は9/2の162円89銭を高値に日経平均株価やドイツDAXのほか、米S&P指数がいずれも9/3-6にかけて4日続落したリスク回避が嫌気され9/6の米雇用統計やウォラーFRB理事のハト派発言を受けたドル円の下落に伴い157円47銭へ下落し157円76銭で取引を終えました。ユーロドルは20日移動平均線(1.1078ドル)を下値支持線とする動きを続けている一方、8/29から上値抵抗線として意識される日足・転換線(1.1108ドル)の上下いずれに放れるか、9/11発表の米8月消費者物価指数や9/12のECB理事会の結果に対する反応が注目されます。9/3のドイツ連銀総裁や9/4のフランス中銀総裁によるハト派寄り発言を受けて0.25%の追加利下げが確実視され、焦点は10月以降先行きの金融政策や欧州経済やインフレ見通しについての見解次第ではユーロ売りを加速させることになる可能性もあるだけに注目されます。そのため、インフレ抑制目的以上に景気減速への予防的色彩の強い利下げとなるかが、ユーロの方向性を左右すると思われます。また、ユーロ円は先週末の欧米主要株価指数や日経平均先物の大幅安を受けて週初9/9から日経平均株価の大幅安が見込まれるだけにドル円とともに8/5の154円42銭を目指して一段安となる可能性に警戒が必要です。そのほか、米8月消費者物価指数やECB理事会を受けたユーロドル及びドル円の反応と合わせて注目されます。
9/3の8円26銭を高値に南ア最大の貿易相手国である中国の景気減速懸念に加え、南ア4-6月期GDPが市場予想を下回ったこと、さらに欧米主要株価指数の下落とともに南ア全株指数も大幅安となったことから対ドルでの下落とともに8円07銭へ下落。一方、9/4発表のPMIが50.5と、3か月ぶりに景況改善・悪化の境目となる50を上回ったことが好感され下げ止まったものの、9/6の米雇用統計やウォラーFRB理事のハト派発言を受けたドル円、クロス円の下落とともに7円95銭まで下落し7円97銭で取引を終えました。日足・転換線(8円10銭)が上値抵抗線として意識される中、先週IMFが南アの債務増大/高失業率に対する対応のほか、財政再建推進への要請を行ったこともあるだけに、南アの経済指標の強弱がこれまで以上に注目される中、9/10発表の7月製造業生産に加え、経済関係の強い中国が発表する8月消費者物価指数や貿易収支などを受けて軟調が続く上海株の反発への期待につながるか注目されます。そのほか、ドル円が8/5の141円70銭を下抜け、140円台へ下落する展開となればランド円の上値抑制につながるだけにクロス円を含めて日米欧の主要株価指数の動向と合わせて注目されます。
ドル円は週半ばまでは158円を挟んで方向感なく推移していたが、17日にはトランプ氏のドル高けん制発言や河野デジタル相の日銀に対する利上げ要求発言を受けて急落。翌日の東京市場では一時155.38円まで下落する場面があった。ただ、その後は急ピッチで下げた反動から157円台半ばまで持ち直した。
9/2のNY市場休場の中、米長期債利回りの上昇や日経平均先物の上昇を好感し147円台前半へ上昇した流れを受けて9/3の仲値に向けた本邦輸入企業のドル買い観測に伴い147円21銭へ上伸。しかし、日経平均株価が9/3から9/6にかけて4日続落する中、9/4には1,638円安まで下落したリスク回避に加え、9/3の米8月ISM製造業景気指数が下振れに続き、9/4-5の米労働関連指標の下振れとともにドル安・円高基調が高まり、9/5の米ISN非製造業景気指数の改善にも上値の重い値動きを継続。さらに、9/6の米8月雇用統計では失業率の改善を好感して144円台へ反発したものの、ウォラーFRB理事のハト派発言や欧米主要株価指数に加え、シカゴ日経平均先物の大幅安を受けて141円78銭へ下落し142円29銭で取引を終えました。9/17-18のFOMCでの利下げ開始が確実視されているものの、0.25%、0.50%の利下げ幅のいずれに収まるか注目される中、9/11発表の米8月消費者物価指数の結果と反応に注目。一方、国内では9/11-12にかけて中川、田村日銀審議委員の発言があり9/18-19の日銀金融政策決定会合を巡る追加利上げ観測の行方に影響を及ぼすか注目。さらに、中国のみならず米経済の減速懸念を背景にNY原油先物価格が先週を通じて約8%下落するなど、エネルギー価格の下落が本邦の貿易収支改善が円買いを想起させる可能性もあり、8/5の安値(141円70銭)を下回れば円高が加速する可能性に要警戒。そのほか、9/10に予定される米大統領選を巡るハリス/トランプ両候補による初のTV討論会のほか、9/12の自民党総裁選が告示されるなど日米政治イベントが意識されるだけに、各候補による財政/税制/金融政策への発言による株式市場の反応も含め、リスク回避が深まるか、リスク選好に転じるか為替市場への影響も含めて注目されます。
また、河野デジタル相が「日銀に利上げを要求した」と発言。30-31日の日銀金融政策決定会合での利上げ観測が浮上していることが円相場を不安定にさせる要因となっている。河野氏は海外勢から見れば次期首相候補とされており、今回の発言が早期利上げに対する思惑を高めたが、国内では「過剰反応なのでは」との冷静な声も多い。来週には日銀会合に関する観測報道が出る可能性もあり、現時点で一段の引き締めを織込むには時期尚早と思われる。
9/2の欧州時間帯以降の円売りを受けて99円86銭へ上昇したものの、心理的節目とされる100円00銭回復を前に利益確定売りに押され、9/3発表の米ISM製造業景気指数の下振れを受けた日経平均先物の下落とともに97円62銭へ下落。さらに、9/4発表の豪4-6月期GDPが市場予想を下回ったほか、中国の景気減速懸念、さらには日経平均株価が1,600円超まで下げ幅を拡大したリスク回避とともに96円60銭へ一段と下落。さらに、9/6には日経平均株価やドイツDAX指数が4日続落したリスク回避を背景にドル円、ユーロ円が下落する中、ウォラーFRB理事のハト派発言を受けてドル円が141円台後半へ一段安となったことから94円78銭まで下落し94円91銭で取引を終えました。先週末9/6の取引を日足・基準線(94円98銭)を下回って取引を終えたこと、さらに、欧米主要株価指数のほかシカゴ日経平均先物も大幅安で取引を終えた流れを受けて週明け9/9の日経平均株価も大幅安が見込まれ、ドル円が8/5の安値(142円70銭)を下抜け一段安となる可能性があります。加えて、NY原油先物価格が5日続落し67.67ドルで先週末の取引を終えたことも資源国通貨の豪ドル安につながると思われることから基準線を上値抵抗線として8/6以来の93円台まで一段安への警戒が必要です。こうした中、9/10発表の豪9月消費者信頼感指数や8月企業信頼感への反応も注目されます。そのほか、中国8月の貿易収支を受けた景気減速懸念や日欧米の主要株価指数の軟調地合いが続けばリスク回避の円買いとなる可能性もあり下振れに注意が必要です。
9/17-18のFOMCでの利下げ開始が確実視されているものの、0.25%、0.50%の利下げ幅のいずれに収まるか注目される中、9/11発表の米8月消費者物価指数の結果と反応に注目。一方、国内では9/11-12にかけて中川、田村日銀審議委員の発言があり9/18-19の日銀金融政策決定会合を巡る追加利上げ観測の行方に影響を及ぼすか注目。さらに、中国のみならず米経済の減速懸念を背景にNY原油先物価格が先週を通じて約8%下落するなど、エネルギー価格の下落が本邦の貿易収支改善が円買いを想起させる可能性もあり、8/5の安値(141円70銭)を下回れば円高が加速する可能性に要警戒。そのほか、9/10に予定される米大統領選を巡るハリス/トランプ両候補による初のTV討論会のほか、9/12の自民党総裁選が告示されるなど日米政治イベントが意識されるだけに、各候補による財政/税制/金融政策への発言による株式市場の反応も含め、リスク回避が深まるか、リスク選好に転じるか為替市場への影響も含めて注目されます。ユーロドルは20日移動平均線(1.1078ドル)を下値支持線とする動きを続けている一方、8/29から上値抵抗線として意識される日足・転換線(1.1108ドル)の上下いずれに放れるか、9/11発表の米8月消費者物価指数や9/12のECB理事会の結果に対する反応が注目されます。9/3のドイツ連銀総裁や9/4のフランス中銀総裁によるハト派寄り発言を受けて0.25%の追加利下げが確実視され、焦点は10月以降先行きの金融政策や欧州経済やインフレ見通しについての見解次第ではユーロ売りを加速させることになる可能性もあるだけに注目されます。そのため、インフレ抑制目的以上に景気減速への予防的色彩の強い利下げとなるかが、ユーロの方向性を左右すると思われます。また、ユーロ円は先週末の欧米主要株価指数や日経平均先物の大幅安を受けて週初9/9から日経平均株価の大幅安が見込まれるだけに、ドル円とともに8/5の154円42銭を目指して一段安となる可能性に警戒が必要です。そのほか、米8月消費者物価指数やECB理事会を受けたユーロドル及びドル円の反応と合わせて注目されます。
ただ、16日に「米国がドル高により大きな問題を抱えている。対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」とドル高を強くけん制したことから一転してドル安・円高が進むことになった。次期大統領の最有力候補であるトランプ氏の発言で積極的にドルを買いづらくなった面があるが、一方で利下げについて「11月の大統領選挙前にやってはならないことだ」とし、「正しいことをするならばパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長には任期を全うさせる」考えを示した。
ユーロドルは、ドルの動向に左右される展開となりそうだ。欧州中央銀行(ECB)は18日の理事会で政策金利を据え置き、ラガルドECB総裁は記者会見で「9月にどうするかはまだ決まっていない」と強調した。あくまでも「今後のデータ次第」としたことでユーロは取引材料に乏しく、ドルの動きに振らされることが想定される。
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