小売統計好調 大幅利下げ観測後退
CIBCプライベート・ウェルスのシニア・エネルギー・トレーダーのレベッカ・バビン氏は「望ましいマクロ環境にあり、FOMC会合を前にリスク資産への買いが入っている」と指摘した。過度な売り持ち高やリビアと米国のメキシコ湾一帯で続いている供給障害に加え、米原油先物の受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングで在庫が今週大幅に減少する可能性も追い風になっているという。
LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏は「FOMCが50bpで緩和サイクルを開始しない場合、25bpの行動はハト派的なトーンに包まれるだろう」と指摘。カーソン・グループのライアン・デトリック氏は、労働市場が急速に減速する可能性が今や大きな懸念事項であるため、「初回から大幅な利下げを実施するのは大いに理にかなう」と述べた。
米小売売上高が市場の予想外に増加したことを背景に、S&P500種は朝方に終値での最高値を上回る場面もあった。景気敏感セクターがこの日も大手テクノロジー株をアウトパフォームした。
FRB(連邦準備制度理事会)が9月のFOMC(連邦公開市場委員会)にて利下げ転換に踏み切ることが市場で広く予想されています。本記事では「利下げが米国株に与える影響」について解説します。ソフトランディングか景気後退か短期金利の引き下げにより企業や消費者の借り入れコストが下がり、理論的には利下げ後は株価が好調になるとされています。しかし、過去の主要な利下げサイクルを振り返ると市場の反応は様々であり、今後の株価動向を理解するにはFRBが金利を引き下げた背景を考察する必要があります。FRBが経済をコントロールし、ソフトランディングを実現したと市場が認識した場合、株価は堅調に推移することが期待されます。しかし、FRBが景気後退のリスクを受けて反動的に金利を引き下げていると捉えられた場合、株価は調整局面に入ることが考えられます。直近の経済指標のほとんどが米経済の底堅さを示していることから、多くのアナリストやエコノミストにとってソフトランディングは基本シナリオとなっています。7月・8月と予想を下回る雇用統計が発表されたことから景気後退懸念も再燃していますが、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、今後1年間に米国が景気後退に陥る可能性は20%と予想しています。市場の関心は「FRBがどの程度利下げを進めていくか、景気がどの程度のペースで減速するか」であり、ソフトランディングになるのかハードランディングになるのかになるのか見極めている状況にあります。大幅利下げには株価急落リスクの声9月13日時点のFedWatchでは、9月会合で0.25ポイントの利下げを織り込んでいるほか、11月と12月会合の両方で0.5ポイントの利下げを予想しています。一部アナリストは、9月会合で0.5ポイントの利下げに踏み切った場合、米経済の健全性について懸念を生み出す可能性があると指摘します。これは1990年以降のFRBの5回の利下げサイクルのうち、0.5ポイントの利下げでサイクルを開始した2回(2001年と2007年) はいずれも景気後退が続いたためです。FRB高官の一部は早計な金融緩和リスクを指摘しており、利下げに慎重な姿勢を発表しています。企業収益や経済動向にも注目また、2024年のFRBの利下げ幅が市場予想を下回ったとしても、必ずしも株価にとって悪いことではないとの声もあります。ヤルデニ・リサーチのストラテジストは、金利変化よりも企業利益の方が将来の株式市場のリターンを予測する上で信頼できる指標であり、経済成長が予想以上に強く、労働市場の指標もそれほど悪くなく、消費者支出も引き続き増加している環境では、利益が伸び続ける中で株価の上昇余地が広がると述べています。
金スポット相場は反落。小売売上高データ発表後に米国債利回りとドルが上昇したことに反応し、最高値から押し戻された。
ニューヨーク原油先物相場は大幅続伸。50bpの大幅利下げ観測に加え、レバノンで爆発が相次いだことで地政学リスクの高まりが意識された。
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