執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は94.33円前後で週初を迎えました。米国の大幅利下げへの警戒感が高まる中で、16日の海外時間序盤には93.87円前後まで下落しました。その後は18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、米ドル/円が調整含みの動きとなりました。また、17日に発表された米8月小売売上高が市場予想を上回り、米国の景気減速懸念が後退。資源国通貨である豪ドルはこれを好感して買いで反応。FOMC通過後の19日は米ドル/円の上昇につれたことや豪8月雇用統計の結果を好感したこと、世界的に株価が上昇したことなどを支えに一時97.87円前後まで上昇しました。
ニュージーランド(NZ)ドル/円は86.62円前後で週初を迎えました。週初はNZにて主要な経済指標の発表もなく、豪ドル/円同様に底堅い展開となりました。19日にはNZ4-6月期国内総生産(GDP)が発表され、結果は前期比-0.2%となりました。ただ、市場予想が同-0.4%だったことや、FOMCを終えリスクオンの動きとなったことにより、NZドルは一時89.69円前後まで上昇しました(執筆時)。
豪労働市場はまだ強かった RBAは据え置き?
今週発表された豪8月雇用統計の結果は表1の通りです。
【表1:豪8月雇用統計結果】
雇用者数変化が4.75万人の増加を示し、失業率は4.2%、労働参加率は過去最高の67.1%でともに横ばいとなりました。雇用者数変化の大幅増は非常勤雇用者数の増加が寄与したもので、正規雇用者数は前月から僅かながら減少しています。必ずしも、「良い雇用者数の増加」とは言い切れないですが、大幅増は事実です。市場では豪準備銀行(RBA)が近々利下げに動く可能性が更に低下したという評価が大勢を占めています。一方で、豪月次消費者物価指数(CPI)は7月に総合、トリム平均(値動きの大きい上下15%ずつを除いたCPI)ともに、前月からインフレの伸び率が減速しています。ただ、「まだ早期利下げを正当化するペースではない」との評価となっています。
労働市場は引き続き強く、インフレもまだ中銀目標を上回っている状態であるため、24日のRBA理事会では金利が据え置かれることになりそうです。声明から利下げ開始時期についてのヒントを探すことになりますが、RBAはインフレに対して引き続き警戒感を残して状況次第では利上げも辞さないといった姿勢も続けると予想しています。
CPIは鈍化予想だが影響は限定的?
豪州のインフレは一時期反発していましたが、6月以降は再び鈍化傾向になっています。来週はRBA理事会の翌日(25日)には豪8月CPIが発表されます。市場は豪8月CPIは前年比+3.1%になると予想しています(トリム平均の市場予想はない)。仮に予想通りの結果となれば、月次ベースでは2021年10月以来の水準となります。
ただ、RBAがインフレ指標で最も重視しているのは四半期ベースのものになります。RBAは8月の金融政策報告の中で24年末時点のCPIを前年比+3.0%、トリム平均を+3.5%(ともに四半期ベース)と予想していますので、豪8月CPIが予想を下回って7-9月期にも+3.0%を達成することが見通せるような結果(例えば2%台に突入)でなければ、RBAに対する早期利下げ期待が急速に高まるといったことにはならなそうです。なお、7-9月期CPIは10月30日に発表、次のRBA理事会は11月5日に予定されています。
【表2:豪CPIとトリム平均の推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は9月19日に一時的に日足一目均衡表の雲の中に突入しましたが、終値ベースでは下抜けたままです。終値ベースでは雲の中にしっかり入れるかが注目となります。そのうえで、目先の上値目途は8月中旬~後半に上値を抑えた99.00円前後が意識されそうです。その上の水準では9月上旬の高値、日足一目雲上限、200日移動平均線がある100円前後がレジスタンスとして意識されそうです。下値は週足一目均衡表雲下限の94.13円前後が目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:94.00-100.00、NZD/JPY:86.50-92.00
9/23週のイベント:
09/23 (月) 07:45 NZ 8月貿易収支
09/24 (火) 13:30 豪 豪準備銀行(RBA)、政策金利発表
09/25 (水) 10:30 豪 8月消費者物価指数(CPI)
一言コメント:
大谷選手がついに前人未踏の51本塁打、51盗塁を達成しました!我が家では息子が保育園に登園する前に祖父母と一緒に見ていたようです。スポーツ中継ばかり見ている私の影響もあるのでしょうが、未就学児が夢中になっているって凄いですね。ちなみに息子は私よりもドジャースの選手について詳しいです。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
20日午前の東京市場でドル円は142円台での方向感に欠ける動き。
2008年金融危機のあと、日本円は世界の中でも安全な通貨、と位置付けられました。その後も変わらず、世界的リスクのバロメーターという存在になっています。リスクが高くなると、マーケットでは円のせいで米ドルは嫌われてし まいます。マーケットが健全な状態であれば、投資家は円を高利回りの通貨と交換します。
2028年1月の豪ドル円見通し。当月始値 120.47、最低 116.63、当月最高 120.47。平均 119.00。月末 118.41。変更 -1.7%。
2026年1月の豪ドル円見通し。当月始値 112.45、最低 112.45、当月最高 117.56。平均 114.57。月末 115.82。変更 3.0%。
OANDA証券では、初心者の方でも取引を始めやすいよう1通貨から取引を行えます。 たとえば1豪ドル95円とした場合、約4円から取引を始めることが可能です。
2025年12月の豪ドル円予想。当月始値 113.11、最低 110.76、当月最高 114.14。平均 112.62。月末 112.45。変更 -0.6%。
曲線が曲がりくねっている理由は? AUD/円の取引の際、トレーダーが知っておくべきこととは?
2026年9月の豪ドル円見通し。当月始値 112.44、最低 112.44、当月最高 117.15。平均 114.36。月末 115.42。変更 2.7%。
かつては高金利通貨の代名詞としてFX取引でも人気の通貨であった。2018年8月時点での政策金利は1.50%と、米国よりも低く、長期金利などでも米国の水準を下回っている。もっとも、日本や欧州に比べると金利が取れる分、ある程度金利を意識した取引も残っている。また、世界有数の資源国として、天然資源の国際市場での動向が相場に影響を与える資源国通貨としての一面も持っている。輸出のトップ10はすべて天然資源が占めており、資源価格動向が豪経済に与える影響が大きい。 鉄鋼・石炭などが主な輸出品で、輸出先のトップは中国。そのため、自国の経済指標だけでなく、中国の鉱工業生産や小売売上高など、中国の経済指標で豪ドルが動くこともある。
2027年4月の豪ドル円予想。当月始値 117.39、最低 117.39、当月最高 122.72。平均 119.60。月末 120.91。変更 3.0%。
為替レートには、多くの要因が影響しています。上述した内容は、豪ドル対円相場の推移、そしてこの通貨ペアを取引する際の注意点についてです。
2027年3月の豪ドル円見通し。当月始値 116.63、最低 115.63、当月最高 119.15。平均 117.20。月末 117.39。変更 0.7%。
鉄鋼・銅など金属資源の国際市場動向の影響を大きく受けるため、国際商品市場動向を要チェック。中国向けの資源輸出が経済のカギを握っており、中国の需要減退などのニュースに反応しやすい面も。かつて金利を狙った投機的な取引が多かったこともあり、世界的なリスク警戒感を誘うようなニュースに対する感応度が大きく、リーマンショックの際に、経済的にはほとんどン関係なかったにもかかわらず、ドル円以上に値を落としたこともあるため、大きなニュースには要注意。
2027年6月の豪ドル円予想。当月始値 124.12、最低 118.98、当月最高 124.12。平均 122.00。月末 120.79。変更 -2.7%。
2027年9月の豪ドル円見通し。当月始値 120.68、最低 120.68、当月最高 126.16。平均 122.96。月末 124.30。変更 3.0%。
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