執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年9月20日 17時30分
株価の底堅さ続けば一段高を期待
ユーロ/円・ポンド/円は下押し回避で上昇
ユーロ/円・ポンド/円は上昇。米FOMCが悲観的な内容とならずリスク資産が全体的に底堅く推移したほか、日銀のタカ派姿勢が鳴りを潜め、ユーロ/円は160.441円、ポンド/円は191.338円まで戻しました。ポンド/円は、金利据え置きを決めた英中銀の金融政策委員会で、利下げ支持が予想に反して1名に留まり慎重な利下げサイクルが続くとの見方もサポート材料になりました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、ドル円が急騰、FOMC通過で相場はどう変わるか(2024年9月19日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ポンドは相対的に強いままの可能性も
ドイツのZEW景況感は鈍化しドイツの経済成長への不確実性は残ったままですが、それ以外の国では比較的好調なため、ユーロ圏が直ちにマイナス成長に陥るとも考えにくいです。加えて、9月12日のECB理事会では利下げはデータ次第との立場が改めて示されており、10月追加利下げの確度は高まっていません。こうした状況はユーロを下支えしそうです。FOMC通過後の底堅い株価動向や日銀の利上げ期待後退から、ユーロ/円も短期的にはどこまで戻りを試せるのか注目されそうです。ただし、米国と中国との貿易摩擦が強まる中で株式市場が失速してくるようなら、ユーロ/円の上値が限られるかもしれません。
かたや英国で発表されたインフレ指標では、中銀の目標である2%を僅かに上回る2.2%に留まり、年内の追加利下げの余地は確認されました。ただし、サービスインフレが高止まりする中で、利下げペース加速はあくまでも緩やかに留まる見通しです。底堅い雇用情勢や景気の持ち直しもあって、主要国の中で利下げペースは最も遅いかもしれません。こうした点で、ポンドは相対的に他通貨よりも底堅い動きが期待できそうです。ポンド/円については、円の動向次第の部分はありますが、少し底堅さが増した感じはあります。
ポンド/円、200日線付近の動向注視(テクニカル分析)
ユーロ/円は、弱気の三角持ち合いのレジスタンスラインを抜けてきて、下方向の流れが緩和しています。日足の一目均衡表の雲の下限が162.00円付近から162.70円付近へ切り上がり上値抵抗が若干後退することも、ユーロ/円にとっては好材料となるかもしれません。とはいえ、フィボナッチファンの38.2%ラインが通過する161.00円~162.00円にかけては上昇の勢いが緩むのではないかと考えています。一方で、下方向は期間21日のボリンジャーバンドBB-2σラインが推移する155.183(19日時点)付近では下げ渋るのではないでしょうか。
ポンド/円もユーロ/円と同じようなチャート形状をしており、短期反発期待はあります。ただ、強弱判断に利用されることが多い200日移動平均線が192.346円(19日時点)で推移している点には注意したいです。同線を越えたとしても、9月上旬のように滞空時間が短くなることも考えられます。期間21日のボリンジャーバンド+2σ(193.726円、19日時点)では上昇の勢いが一巡するのではないかと考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:155.000-162.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:187.000-194.000
9/23 週のイベント:
一言コメント
9月18日に東京都心で最高気温が35℃以上となり、統計開始以来最も遅い猛暑日を記録したとのこと。1942年9月12日以来、82年ぶりの更新だそうです。今後も、記録更新が続きそうなため、10月までは夏と言ったイメージが定着する可能性もありそうで、そうなると、「中秋の名月」は「晩夏の名月」とか呼ばれるのでしょうか。
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来週の為替予想 ユーロ 円
ドル円は、日米金融政策発表を控えて神経質な展開が想定される。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅は0.25%でほぼ織り込まれる形となったが、そのきっかけとなったのが今週発表された8月消費者物価指数(CPI)。食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比で+0.3%と予想の+0.2%を上回ったほか、米連邦準備理事会(FRB)が注目しているスーパーコア(住居費を除くサービスコア)も2カ月連続で加速した。これにより、0.50%の利下げ期待が一気に後退しているが、8月卸売物価指数(PPI)が前年比で弱い内容となったことで年内の1.00%利下げ予想は高まっている。仮に9月に0.25%の利下げが実施されても、追加利下げ観測を期待してドルが売られる可能性はありそうだ。注目はパウエルFRB議長の定例記者会見であり、今年の金利見通しについて「今後のデータ次第」と無難な回答に留まるのか、ハト派色を強める見解を示すのか注目が集まる。
また、日銀については、今週も中川審議委員をはじめ、田村委員も追加利上げを匂わす発言をしており、海外勢を中心に早期利上げ観測は根強く残っている。ただ、前回7月会合時に植田日銀総裁がタカ派発言をしたことで金融市場が大混乱に陥ったことを鑑みると、高田委員が指摘していたように今回は金融市場に配慮した姿勢を示す可能性もある。リーク記事などヘッドラインリスクに警戒しつつ、仮に金利据え置きが明らかになった場合には、ドル円には利上げを囃した向きからのショートカバーが一気に出ることを想定する必要があるだろう。
依然としてドルの上値は重い展開が続いている中、16日(月)は東京市場が祝日のため休場であったこともあり、150円、145円の節目を下抜けして来たドル円は、ついに140円台も抜いて来ました。139円58銭まで売られ、2023年7月以来となるドル安水準を記録しました。今年7月に記録した161円95円の高値からわずか2カ月半で、実に22円以上(13.8%)のドル安が進んだことになります。かなりのスピードでドルが売られたことが分かります。一時は25bpで固まりつつあった今週19日のFOMC会合での利下げ幅が、急速に50bpへと利下げ観測が修正されたことでドル売りが活発になりました。
ユーロ円相場が161円台を記録。前週末から2円超のユーロ安となっている。ドル円相場での円高に加え、ECBの利下げ観測も背景になっている。
ドル/円を中心に、前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
中川日銀審議委員の「見通しが実現していけば緩和度合いを調整していく」「国内経済は穏やかに回復していると評価」の発言もあって、ドル円は141.50、ユーロ円は156.21」まで下落。
ユーロ円相場は156円台までユーロ安が進行。ドル円相場での円高に加え、ECBが12日の理事会で利下げを決めるとの見通しが要因だ。
ユーロドルは、FOMCの政策発表を受けたドルの動向に振らされるだろう。欧州中央銀行(ECB)は12日の定例理事会で予想通り政策金利を引き下げたが、ラガルドECB総裁は定例記者会見で今後の金利見通しについて「特定の金利経路を事前に約束しているわけではない」と従来通りの姿勢を示した。市場では「改めてECBの政策に対する慎重な対応を確認しただけで、次回10月会合の追加利下げを示唆する内容ではなかった」との指摘があった。
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