キオクシア 10月の上場を見送りへ

キオクシア 10月の上場を見送りへ
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つまり TOBで「キオクシア問題」が解決するわけではない

つまり、TOBで「キオクシア問題」が解決するわけではない。M&Aによる事業規模の拡大がセットになって、初めてキオクシアの持続可能な経営が可能になる。TOBで日米韓連合の影響力が低下すれば、SKの反対で行き詰まったWDとの経営統合が前進するとの期待はある。

⑥ そして本稿の冒頭で示したように、市況が回復し、黒字浮上したこともあって、2024年9月2日にキオクシアが上場を申請した。

不採算工場の閉鎖や大幅な人員削減など、キオクシアや国内半導体ビジネスの復活を目指す経済産業省には受け入れがたい条件が突きつけられるおそれもある。キオクシアにとってIPOは「ゴール」ではない。新たな生存競争への「再スタート」なのだ。

だが、キオクシアの成長性に疑念を持たれれば、WDが提示する経営統合の条件は厳しくなりかねない。事実、株価高騰下での上場時の時価総額引き下げは、キオクシアの将来見通しに対する株式市場の厳しい評価を反映したものだ。

キオクシアの再建が混乱したのは出資者が多く、意思決定の統一に難航したからだ。当初、WDがキオクシアを買収しようとしたが、産業革新機構や投資ファンドの米ベインキャピタル、SKなどの日米韓連合に競り負けた。この連合が仇(あだ)となり、WDとの経営統合が実現しなかったのは前述の通りだ。

⑤ 2022年から2023年にかけてコロナ特需が終焉し、史上最悪クラスの半導体不況が到来し、キオクシアは深刻な赤字に陥った。一時は債務超過に陥るレベルまで財政は悪化し、キオクシア単独での存続は困難となり、再びWDとの統合話が持ち上がった。ところが、キオクシアに間接出資している大株主のSKハイニックスが反対したため、この統合は成立しなかった。

そこで再びIPOに舵を切ったわけだが、上場時点での時価総額を考えればキオクシアと出資者が損切りしてでも同社問題を手仕舞いする思惑で一致した可能性が高い。株価は高値圏に張り付いているが乱高下が続いており、今後、株価の暴落も懸念される。

キオクシアは4月、融資を受ける銀行団に成長戦略の一つとして上場を検討する方針を伝え、調整を進めてきた。上場後、昨秋に打ち切られた米ウエスタン・デジタルとの経営統合交渉の再開も視野に、経営基盤の強化を目指す。

図1に、キオクシアの業績、IPOやWDとの統合の動きを示す。

③ 2021年に入ると、キオクシアは赤字に陥り、WDによる統合の話が水面下で進められた。これは実質的にWDによるキオクシアの買収だったと思われる。しかし、両者が条件で折り合いをつけることができず、この話は消滅した。

キオクシアは2017年、東芝のメモリー半導体事業を分社化して発足した。東芝に加え、米投資ファンドのベインキャピタルなどが出資している。上場時の時価総額は1兆5000億円規模となる可能性がある。

半導体大手のキオクシアホールディングス(HD)が23日、東京証券取引所に上場を申請したことがわかった。早ければ10月の上場を目指す。調達資金は、データセンター向けなどで半導体需要が高まることを想定して研究開発費や設備投資などに充て、競争力の強化を図る考えだ。

キオクシアの業績もスマートフォンやパソコンの需要底打ちを受けて2024年4〜6月期の連結純利益は698億円と盛り返しているが、いつ需要が落ち込むかは分からない。

キオクシアは株式市場から退場した親会社とは反対にIPOで再建に乗り出すことになるが、2023年第4四半期(10〜12月)のNAND市場でのキオクシアの売上高シェアは14.5%と、韓国サムスン(31.4%)、SK(20.2%)、WD(16.9%)に次ぐ4位に沈む。前年同期の2位から、わずか1年で2ランクダウンで、量産効果がものをいうメモリー業界では大きな懸念材料だ。

キオクシアは、主力のNAND型メモリー半導体で世界シェア(占有率)の1~2割程度を占める。デジタル化やAI(人工知能)の普及で増える需要を取り込むためには設備投資など巨額の資金が必要となる。24年3月期に2期連続の最終赤字となったが、市況の回復で業績改善の兆しが見えている。

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