薬や保険も 値上げラッシュの10月
1月は全国的に大寒波が居座ったこともあり、電気やガスの使用を大幅に控えることは場合によっては命に関わります。 値上げラッシュに対しどのような対策が取れそうか、現実的なところを探ってみましょう。
最近パンの値上げが相次いでいる。食用油の価格の急な値上がりがその理由だ。乳牛や鶏などの飼料も高騰、経営危機に陥る農家が増えている。穀物の国際価格の異常な値上がりが、少しずつ目に見える形で私たちの生活に影響を及ぼし始めている。背景にあるのが”バイオ燃料ラッシュ”だ。アメリカでは中部穀倉地帯にバイオエタノール工場が続々建設され、輸出用より高値でトウモロコシを買い付けている ...
それだけではない。厚生労働省は昨年12月、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の保険料を平均で年5400円引き上げる試算を発表。保険料の上限引き上げも確定していて、値上げ対象は75歳以上の4割にも上る。
年が明けても止まらない物価高に増税の嵐……。寒風が吹きすさぶ家計を襲うのは、医療費の値上げ。働く高齢者や自営業者の健康を守る国民健康保険料の上限が'23年度から2万円、引き上げられる。3万円を引き上げた昨年度に続く負担増だ。
もちろん、値上げは食料品や電気・ガス代にとどまりません。たとえばガソリン価格も上昇し、現在はレギュラーガソリンの小売価格(全国平均)は170円/L前後で高止まりしています(経産省資源エネルギー庁発表「石油製品価格調査」の結果では、11月7日時点のレギュラーガソリンの全国平均店頭現金価格は168.1円/Lとなっています)。
では、どのような商品でどれくらい値上げされているのでしょうか。
値上げされた商品の価格が元に戻るか。これは一概には回答ができませんが、一般的に物の価格は上がり続けていくものです。例えば、昔のラーメンの価格と今の価格では大きく違いますよね。そのため、値上げされた価格がすぐに戻ることは期待しない方が良さそうです。
食品製造業が直面している課題がコストの上昇です。コロナ禍に対応するため世界各国が一段と金融を緩和したため、景気が過熱し、モノやサービスの需要が高まっています。一方で、コロナ禍は港などの物流拠点で働く人も直撃し、人手不足などからスムーズな輸送ができなくなっています。また、為替は輸入価格が高くなる円安に動いています。小麦、トウモロコシ、大豆などの食品原料や原油は需要が高まっているのに供給を増やせず、円安にも見舞われ、値段が上がっています。日本の加工食品は原材料を輸入に頼っているものが多く、包装材や輸送費は原油の値上がりの影響を受けます。日本の食品メーカーは企業努力で値上げを避けようとしていましたが、それも限界にきて各社が希望小売価格の値上げに踏み切っています。
コロナ禍において、米ドルに対する円のレートはじりじりと円安に進んでいたものの、2021年は1月に104円台だった円相場が115円台で着地したように比較的ゆっくりした値動きでした。 ところが2022年に入ると、ロシアのウクライナ侵攻という有事によるドル買いとアメリカFRBの金融引き締め策が重なりドルの価格が急上昇し、10月にはついに1ドルが151円台となりました。 つまり、1年の間に単純計算で35%以上輸入コストが上昇したことになります。 これは食料品や工業製品などで原材料を輸入に頼っている業種にとって企業努力だけではどうしようもないレベルであり、値上げはやむを得ないといえるでしょう。 その後円高に移行し、現在(2023年2月)は1ドル=130円前後で推移していますが、それでも2021年と比較すればまだドル高であることは変わりません。先行きが見えないこともあり、今年も輸入コストが高い状態が続くでしょう。
10月に6700品目以上の食料品が値上げされ、家庭や企業を直撃。異例の物価高は、いつまで続くのか、どうすれば乗り越えられるのか、2夜連続で特集しました。第1夜は、物価高の原因を苦境であえぐ現場から探りました。食料品・飲食業界では、食用油の原料の需要が高まっているだけでなく、原産国が輸出制限に踏み切ったことで価格が高騰。“物価高倒産"は、過去最多を更新しています。物価高 ...
2022年は、食品分野の値上げが累計2万品目を超えました。特に10月の値上げは6699品目と極端に多く、対ドルで最も円安となった時期と重なっています。 明けて2023年は、既に値上げが決まった品目だけでも4000品目以上となっており、2022年以上のペースで値上げが進みそうです。値上げの時期は2月が今のところ突出しています。
複数の要因が絡まり合い始まった値上げラッシュは家計に深刻な打撃を与えています。 しかし、これを機に日本での賃上げ率が今後定常的に上がっていけば、消費意欲が高まり景気の回復に繋がるかもしれません。今しばらくの忍耐が求められていると言えるでしょう。
次に生活を直撃するのが、電気料金やガス料金の上昇です。東京電力が想定する消費電力の平均モデルでいえば、本年9月分の電気料金は9,126円。前年9月(7,098円)と比べて2,000円以上も値上がりしたことになります。また、ガス料金も値上がりが続いています。東京ガスが想定する標準家庭でいえば、本年9月分のガス料金は5,886円(東京地区等)。前年9月(4,648円)と比べて、やはり1,000円以上、上昇しています。
ロシアによるウクライナ侵攻は、ドル高以外にもさまざまな影響を世界中に及ぼしています。その一つが原油高です。原油の需要が増えてきていた時期に、有事により供給が不安定になり2022年に値段が急騰しました。 日本は原油をほぼ100%輸入に頼っており、エネルギーコストの上昇はあらゆるものの価格に影響を及ぼします。直接的には電気料金やガソリン代の値上げがありますが、原油高により物流コストやものを作る機械を動かすコストなども当然に上昇するため、それらを商品やサービスの価格に上乗せせざるを得ない状況となるのです。
加えて、JR東日本が山手線などの首都圏のきっぷ、IC運賃を10円値上げするというニュースが私たちを驚かせました。さらには、タクシーの初乗り運賃も80円の値上げが予定されています(東京都23区、武蔵野市、三鷹市で11月14日から)。
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