FX個人投資家がみるドル/円シナリオ!米大統領選は「ハリス氏」優勢が多数【外為短観 第184回】

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FX個人投資家がみるドル/円シナリオ!米大統領選は「ハリス氏」優勢が多数【外為短観 第184回】

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<第184回>2024年9月28日

外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。

分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所

調査実施期間
2024年9月20日(金)13:00~2024年9月24日(火)24:00

調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。

調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は530件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。

 

問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。

「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が33.2%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は37.7%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は▼4.5%ポイントと前月の▼37.1%ポイントからマイナス幅が大きく縮小した。

調査期間前後の米ドル/円相場は、144円台へと反発。米連邦公開市場委員会(FOMC)が50bp(0.5%ポイント)利下げを決定。しかし、パウエル議長が今後の利下げについて「会合ごとに判断していく。メンバーが利下げを急いでいるという状況ではない。」などと慎重な姿勢を示した。これを受けてドルが買い戻される中、個人投資家は円高・米ドル安基調との見方を弱めたようだ。

今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が155.00円、最安値が130.00円となり、高値の平均値は146.28円、安値の平均値は139.06円であった。高値の中央値は146.00円、安値の中央値は139.50円だった。実勢レートが前回調査時(最終日)から0.8円程度切り下がったのに対して高値・安値の予想中央値は1.5~3円程度、円高・米ドル安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、29.2%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は30.0%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は▼0.8%ポイントとなり、前月の▼26.3%ポイントからマイナス幅が縮小した。 

調査期間前後のユーロ/円相場は、植田日銀総裁が追加利上げを急がない姿勢を強調したことで上昇したが、欧州圏の8月PMIの冴えない結果を受けて下落する場面もあった。明確なトレンドが読みづらいため個人投資家の見方が分かれているのだろう。

今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が170.00円、最安値が145.00円となり、高値の平均値は162.42円、安値の平均値は155.51円であった。高値の中央値は162.00円、安値の中央値は155.00円であった。前月調査時(最終日)から実勢レートが1円程度切り下がったのに合わせて、高値と安値の予想中央値は1~2円程度、円高・ユーロ安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、31.3%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は28.7%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△2.6%ポイントとなり、前月の▼20.3%ポイントからプラスに転じた。

調査期間前後の豪ドル/円相場は、世界的に株価が上昇する中96円台から99円台へと上昇。日銀が追加利上げに慎重な姿勢を示したことも相まって、豪ドル高・円安基調見通しに転じる個人投資家が増えたと考えられる。

今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が105.00円、最安値が88.00円となり、高値の平均値は99.22円、安値の平均値は93.77円であった。高値の中央値は99.00円、安値の中央値は94.00円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートは1円程度切り上がったが、高値の中央値はほぼ横ばいで、安値の予想中央値は1円程度、豪ドル高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、31.9%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は26.4%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△5.5%ポイントとなり、前月の▼22.5%ポイントからプラスに転じた。

調査期間前後のポンド/円相場は、英中銀(BOE)が政策金利の据え置きを決定し、今後の利下げについてベイリー総裁が「あまりにも急速に、あるいはあまりにも大幅に引き下げないよう注意する必要がある」などと発言したことで193円台へと上昇した。日銀による年内の追加利上げ観測が後退したこともあってポンド高・円安見通しに転じたと見られる。

今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が200.01円、最安値が173.00円となり、高値の平均値は193.58円、安値の平均値は184.30円であった。高値の中央値は193.50円、安値の中央値は184.00円だった。前月調査(最終日)から実勢レートが1円程度切り上がったのに対して高値の予想中央値は前回から0.5円程度上方へシフトした。一方、安値の中央値は1円の下方シフトとなった。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理

問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか

今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が37.7%で最も多かった。次いで「米ドル」が30.4%、以下「トルコリラ(7.4%)」、「豪ドル(6.6%)」、「メキシコペソ(6.0%)」、「英ポンド(5.1%)」、「ユーロ(2.8%)」と続いた。

「円」は前回に続いて首位となったが、回答割合は前回の46.7%から低下。一方、2位の「米ドル」は前回の21.2%から上昇した。問1で米ドル高・円安見通しが後退したのと整合的な動きであろう。そのほか、3位以下に「トルコリラ」や「豪ドル」、「メキシコペソ」などの新興国・資源国通貨が並んだのも印象的だった。

自由記述形式で「円」と答えた理由を尋ねたところ、やはり「これまで円が安すぎた」、「海外との金利差が縮小する」、との声が多く上がっていた。そのほか「利上げ余地があるのは円だけ」との意見や、「リスク回避(の円高)が進みそう」との意見が出ていた。

問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか

問5とは反対に、今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が39.2%と最も多かった。次いで「円」が27.9%、さらに「中国人民元(7.5%)」、「ユーロ(7.2%)」、「メキシコペソ(4.0%)」、「豪ドル(3.6%)」、「トルコリラ(3.4%)」と続いた。

こちらは、「米ドル」が首位を維持したが回答割合は前回の48.5%から低下した一方、2位の「円」は21.6%から上昇。こちらも問1の結果と整合的だ。

「米ドル」と回答した理由を自由記述形式で尋ねたところ、「米国の利下げ」を挙げる向きが圧倒的に多かった。また、「米国景気が後退」、「リセッションがありそう」、などと、景気悪化による米ドル安を予想する声も少なくなかった。そのほか「大統領の交代」、「大統領選終了後の調整」などの意見も出ていた。

問7:2024年11月5日に行われる米大統領選挙は、共和党候補のトランプ氏と民主党候補のハリス氏のどちらが勝利すると予想しますか

今回の特別質問として「2024年11月5日に行われる米大統領選挙は、共和党候補のトランプ氏と民主党候補のハリス氏のどちらが勝利すると予想しますか。」と尋ねたところ、「トランプ氏」と答えた割合が31.5%だったのに対し、「ハリス氏」は47.5%で、個人FX投資家の間では「ハリス氏」優勢との見方がやや多かった。なお、「わからない」は20.9%だった。

問8:2024年11月5日に行われる米大統領選挙で「トランプ氏」が勝利した場合、ドル円相場はどうなると思いますか

続いて「2024年11月5日に行われる米大統領選挙で『トランプ氏』が勝利した場合、ドル円相場はどうなると思いますか」と尋ねたところ、「米ドル安・円高が進行」が40.6%、「米ドル高・円安が進行」が37.9%となり、意見が分かれた。「影響はあまりない」は19.2%、「その他」は2.3%だった。

トランプ氏勝利で「米ドル安・円高」と予想する理由としては「FRBに利下げ圧力をかける」、「ドル高嫌いだから」、「移民排除で米経済が弱体化」、「市場の不安が高まりリスク回避の円買いが進む」などが挙がった。一方「米ドル高・円安」と答えた向きからは「財政支出増加が予想され、金利が上昇する」、「保護主義、移民抑制等でインフレが収まらず、FRBは金利を下げられない」などの意見が出たほか「アメリカファーストでドル高のイメージ」との声もあった。

問9:2024年11月5日に行われる米大統領選挙で「ハリス氏」が勝利した場合、ドル円相場はどうなると思いますか

さらに「2024年11月5日に行われる米大統領選挙で『ハリス氏』が勝利した場合、ドル円相場はどうなると思いますか」と尋ねたところ、「影響はあまりない」が40.8%で最も多く、「米ドル高・円安が進行」が28.9%、「米ドル安・円高が進行」は28.1%であった。「その他」は2.3%だった。

トランプ氏が勝利なら、米ドル高にせよ米ドル安にせよ為替相場に影響があるとの見方が多い一方で、ハリス氏勝利なら「影響はあまりない」と考えている投資家が多いことがわかった。

その回答理由として「あまり経済に強い影響をもたらしそうにない」、「バイデン政権の延長」、「民主党政権が継続するだけ」、「FRBの政策スタンスに影響しない」、などとの声が挙がった。ハリス氏=現状維持のイメージが強いため市場への影響は大きくないとの見方が強いようだ。

本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、株式会社外為どっとコム総合研究所ならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。 Copyright©2024Gaitame.com Research Institute Ltd. All Rights Reserved. https://gaitamesk.com/
 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。

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FX個人投資家がみるドル 円シナリオ米大統領選は ハリス氏

11月5日の本選挙が近づく中、大統領選挙情勢が一変したことを示す動きが見られます。7月21日に選挙戦撤退を表明したバイデン大統領が推薦したハリス副大統領(59)が民主党大会での正式指名を受けた後に世論調査や当選予想で躍進しています。

まだ観ていないなら、いま私たちが直面している問題や、自分にとって一番大事なテーマについて、この候補者たちがどういう立場なのかを調べるのに絶好のタイミングです」とした上で、「大統領選挙ではカマラ・ハリスとティム・ウォルズ(副大統領候補)に投票します。私がハリスに投票するのは、戦士に必要だと信じる権利と大義のために彼女が戦うからです」と述べました。

ハリス氏は、女性であること、移民の子であること、豊かな家の出身でないこと、過去に検事として大企業と闘ってきたことなど、自身のバックグラウンドを最大限利用し、政策を強くアピールする戦略をとっている。

インフレはトランプ氏・ハリス氏どちらが大統領になっても懸念されることだ。トランプ氏の過激な通商政策は関税増に限らず、輸入コスト全般を高めるし、減税も消費を刺激してインフレの要因になる。また、どちらの候補が勝っても米国の財政赤字は悪化しそうで、それは長期金利の上昇要因になる。インフレと金利上昇でドル高になるか?あるいは財政悪化とインフレで通貨の信任が低下しドル安になるシナリオもじゅうぶんある。

さらに「2024年11月5日に行われる米大統領選挙で『ハリス氏』が勝利した場合、ドル円相場はどうなると思いますか」と尋ねたところ、「影響はあまりない」が40.8%で最も多く、「米ドル高・円安が進行」が28.9%、「米ドル安・円高が進行」は28.1%であった。「その他」は2.3%だった。

他方、民主党が掲げる法人増税や不当な値上げをする企業を取り締まるとするハリス氏の姿勢は、反企業的であり、企業の間、あるいはウォールストリートではやや警戒されるだろう。

カマラ・ハリスは、民主党が年齢に関する議論を変えることを可能にします。ハリスは59歳で、78歳のトランプよりもはるかに若いです。

ハリス氏は今後、この独自の経済政策以外に独自色のある経済政策、その他の政策を積極的に打ち出すことはしないのではないか。その結果、ハリス氏の政策方針全体は、バイデン政権を基本的に継承するものとなるだろう。

他方、バイデン政権は不法移民の流入を止められず治安を悪化させているとのトランプ氏からの批判を受けて、ハリス氏は、合法移民を積極的に受け入れる移民国家である米国の基本姿勢と不法移民を規制する国境警備とを両立させる姿勢を示した。

治安上、不法移民の増加には歯止めをかけるべきでしょうが、「合法移民とその子孫」が米国の技術革新と労働人口増加をけん引してきたことも事実です。「移民の合法的受け入れ継続」を主張するハリス氏が当選すれば、寛容性の後退に歯止めがかかると思われます。

彼は後継候補者としてカマラ・ハリスへの支持を表明しました。バイデンにとってこれは正しい選択でした。ダメージはすでにありますが、撤退することで彼はレガシーの一部を救うことができたと思います。

そして、ついにペンシルベニア州出身で「世界の歌姫」と呼ばれるテイラー・スウィフトさんが討論会直後にハリス支持を表明しました。彼女はインスタグラム(フォロワー数:2億8,400万人)で「多くの皆さんと同じように、私も討論会を観ました。

なお、ロイター/イプソスが候補者討論会後の12日に実施した世論調査(登録有権者1,405人を含む全米の成人1,690人が対象)ではハリス氏の支持率が47%に対してトランプ氏が42%とハリス氏が5ポイントリードしています。

9月16日時点の当選予想は、ハリス氏当選予想が57%でトランプ氏(46%)を上回っています。特に、10日に激戦州ペンシルベニアで行われた「大統領候補者討論会」(ABCニュース主催)でハリス氏が笑顔を交えた堂々とした姿勢で対峙(たいじ)し、トランプ氏は押された印象を与えました。

バイデン氏は後継候補としてハリス副大統領を支持する考えを示した。市場では、ハリス氏の経済政策や、今後の世論調査を見極めたいとの雰囲気がある。前週末にかけてはトランプ氏が再選された場合のインフレ圧力の高止まりが意識され円売り・ドル買いが出ていたため、22日は持ち高調整を目的とした円買い・ドル売りが入った。

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