先週末自民党の総裁選が行われました。途中の段階で、積極財政派の高市さんが当選しそうな勢いでしたので、株価が急上昇し、為替市場では円安が進みましたが、ふたを開けてみると、法人税引き上げ、金融所得課税の引き上げを主張している石破さんが当選したため、株価は急落し、それに合わせて急激な円高が進みました。この影響がいつまで続くか、今日・明日の動きを注視する必要があります。とりあえず、短期的なショックは早晩収まると思いますが、中期的には、やはり円安にはなりにくい状況になっていくと考えています。引き続き、ドル円の戻り方針を継続します。
今週は、週末に発表される米雇用統計の結果にも注目をしておきましょう。この結果で、11月のFOMCの方向性がある程度見えてくると思います。
【ドル/円(USD/JPY) 日足チャート】
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株式会社マットキャピタルマネージメント 代表取締役
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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今週のドル円予想 石破ショックで円高急進引き続き戻り方針を継続 トレードアイディア
今週以降、ドル円(USD/JPY)が139.58レベルを完全に下方ブレイクする場合は、米ドル安と円高が同時に発生する状況が想定される。このケースでは、138.00レベルまたは137.00レベルまでの下落を想定しておきたい。
一方、今週の米経済指標が総じて強い内容となり米ドルの買い戻し要因となれば、ドル円は139.58レベルや140.00レベルで何とか持ちこたえる可能性が出てくる。このケースでは21日線、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準145.65レベルそして50日線の再トライが焦点となろう。
この状況で石破ショックの余波とさえない米経済指標が重なれば、ドル円は節目の140.00レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい。チャート分析の観点では、9月16日の安値139.58の攻防が焦点となろう。ドル円がこの水準を一気に下方ブレイクする場合は、下で述べるサポート水準を視野に下落幅の拡大を予想する。
次に、AIに対して「想定内の複数のシナリオを前提に、2024年9月末、12月末、2025年3月末のドル円価格を予測してください。またその根拠も教えてください」と指示したところ、AIは留意点として「これらの予測は、現時点での情報と過去のトレンドに基づいています。実際の為替レートは、予期せぬ経済イベントや政策変更によって大きく変動する可能性があります」としたうえで、現状維持シナリオ、日米金融政策収束シナリオ、グローバル経済混乱シナリオの3つを挙げ、2024年9月末、12月末、2025年3月末の価格予測と根拠を示した(図表2)。
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米金融政策のターゲットは、「インフレの抑制」から「景気の下支え」にシフトしている。ゆえに今後は、企業活動と労働市場に関連した経済指標が重要視されよう。今週は、これらに関連したいくつかの重要な経済指標が発表される。なかでも注目したいのが、9月のISM製造業・非製造業景気と同月の雇用統計である。
自民党総裁選の決選投票は石破氏が逆転で勝利。「高市トレード」が急速に巻き戻される形で株売り・円買いに傾いた。石破氏は緊縮財政志向で金融所得課税に前向きと見られていることから、さらに反応は強く日経平均先物は2000円超急落。円は全面高となった。石破氏はその後、「物価上昇を上回る賃金上昇のため新しい資本主義を加速する」と述べて岸田首相の経済政策を踏襲する姿勢を示した。また、その後のテレビ出演では「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない」と発言。さらに「必要であれば財政刺激策を実施する」として市場の緊縮財政懸念について火消しを図った。
ゆえに今週の焦点は、「石破ショック」の持続性にあろう。上で述べたとおり、27日の円高がヒステリックな反応であるならば、今週の外為市場は落ち着きを取り戻すだろう。このケースでは、先週23日のIG為替レポートで指摘した「米ドル安vs円安」の戦いが続くことが予想される。
「石破ショック」の持続性の他、今週はもう一つ注視すべきことがある。それが、アメリカの経済指標である。
しかし、石破ショックを引きずる場合は国内金利の上昇と株安が続くことで、リスク・リバーサルはドルプットの傾きがより鮮明となろう。予想変動率も上昇することが予想される。
石破ショックを引きずる場合、今週の外為市場ではさらに円高が進行しよう。下で述べるアメリカの経済指標が米ドル安の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は140円割れを想定しておきたい。
先週の円安要因は植田会見にあった。そして経済・金融政策の面で石破新政権が岸田路線を引き継ぐことを考えるならば、政治の面で植田日銀を取り巻く状況も変わらない。ゆえに、先週27日のドル円急落(円相場の急伸)は、「石破ショック」に対するヒステリックな反応と捉えることができる。
27日のドル/円は前日比で約1.8%下落し、142.24円前後で取引を終了した。自民党総裁選の第一回投票で高市氏が優勢となったことで、一時146円台半ばまで上昇した。しかし、決選投票では石破氏が勝利したため高市氏勝利を見込んだ円売りポジションが巻き戻された。またNY時間に発表された米8月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が前年比+2.2%と市場予想(+2.3%)を下回り2021年2月以来の水準まで低下したこともドル売り・円買いを促す要因となった。 自民党総裁選の結果を受けた円売りポジションの調整は一巡したと考えられる。ただ、自民党総裁選の結果発表は日本の株式市場の引け後だった。その後、日経平均先物が大幅に下落していることから、本日は日経平均株価の値動きに注目が集まる。日経平均株価が想定以上の下落を示した場合にはドル/円が141円台へ続落するリスクがある。一方で株式市場が比較的早期に落ち着けばドル/円相場への影響も軽微にとどまるだろう。 本日はNY時間にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が予定されている。ただ、今週金曜日(10月4日)には米9月雇用統計を控えている。米国のインフレがFRBの目標である2%に近付く中で、市場の注目は米国の労働市場に向いている。パウエル議長がこれまで通りデータ重視の姿勢を示せば、反応も限定的となりそうだ。
問題は、「石破ショック」を引きずる場合である。27日の国内債券市場では、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが0.357%と、26日の0.338%から上昇した。他の年限の利回りも同じく反発した。一方、シカゴ日経平均先物(12月物、円建て)は大証終比2,400円急落した。上で述べた円高の進行も考えるならば、各市場の参加者は、石破氏の勝利で日銀が追加利上げの政策を着実に遂行することを再び意識し始めている。
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