30日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は1910円安の37919円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり130/値下がり1505。株式市場では前の週に高市早苗氏の総裁選勝利を見越していたため、そうならなかったことで逆回転の動きが出てきた。恩恵を受けたのは銀行株で、高市氏が早期の利上げに否定的な見解を示していたことから先週は売られ、きょうは見直し買いが入った。三井住友やみずほFGが大幅上昇。楽天銀行が後場に出てきた日経電子版の記事を材料に騰勢を強めた。石破氏の政策に対する期待からチェンジHDやホープが地方創生関連として人気化。雨風太陽は場中に値が付かずストップ高比例配分となった。
一方、27日の米国でエヌビディアが売られたことから、レーザーテック、東京エレクトロン、ディスコなど半導体株が急落。急速な円高進行を受けてトヨタ、ホンダ、スズキなど自動車株が軒並み安となった。円高が嫌気されたという点では、三越伊勢丹や高島屋など百貨店株もインバウンド需要減退懸念から軒並み安。高市氏の敗北で日銀が追加利上げに踏み切りやすくなったとの見方から、三井不動産や三菱地所など不動産株が売り込まれた。高市氏の肝入り政策関連として先週買われていたサイバーセキュリティ関連が崩れており、FFRIがストップ安となった。
日経平均は26日に1055円高、27日に903円高となって、きょう30日が1910円安。派手な下げにはなったが、高市氏期待で上げた分がはく落した程度。26日、27日の上昇がなければ、きょうはここまでの下げにはならなかったと思われる。きょうの下げを「ショック」と捉えてしまうと、相場の方向性を見誤る可能性がある。自民党総裁選に関しては、候補者が9人もいながら経済に関する発言がクローズアップされたのは高市氏くらいであった。今年に入って日銀に追加利上げを催促した候補者も2人おり、株式市場で高市氏に対する期待が過度に高まった感は否めない。
ただ、きょうの下げが「ショック」でなかったとしても、新総裁誕生を株式市場が祝福しなかったことはネガティブ。安く始まった後も、切り返す場面がほとんどなかった。早々に反転しないと、株安が支持率にも響くリスクがある。カギを握るのはドル円か。高市氏が勝利しなかったことで逆回転の円高が進んだが、石破氏は会見で10月27日に衆議院選挙の投開票を行うことを表明した。次回の日銀金融政策決定会合は10月30日~31日。投開票は終わっているが直後であるだけに、ここで日銀がさらなる利上げに踏み切るハードルは高い。円高にブレーキがかかれば、日本株には見直し買いが入る展開が期待できる。あすは派手な上昇はいらない。ドル円と指数の値動きが落ち着き、相場の混乱が一時的にとどまるとの見方が強まるかどうかが注目される。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 株式明日の戦略ほぼ全面安で4桁の下落 株式市場は冷静さを取り戻すか
26日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比401円(1.11%)安の3万5835円で終えた。25日の米株式市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落したうえ、米半導体大手のインテルが同日夕に発表した1〜3月期の売上高見通しがさえず、半導体関連株への売りを促した。足元では円安進行にも一服感がみられ、年始から進んだ株高はいったん小休止となった。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、最近の株価の動きについて「アメリカ経済に対する不安が高まる一方、円高ドル安が進んだため、これまでの株高・円安の中でNISAなどを通じて投資を始めた人などを中心に、売りが売りを呼ぶ展開となった。ただ、5日のニューヨーク市場では東京市場ほど株価が下がらず、投資家の間で、東京市場は下がりすぎだという見方が出て、6日は日本の株価が上がっている状況だ」と指摘しました。その上で今後の見通しについて「先週金曜日に株価が下がり、月曜日は思いきり下がり、火曜日は上がるというどったんばったんの動きになっているが、総じて下がる傾向が続いている。その裏側には、注意しなければいけないニュースが出たときには株式の売りに動かざるを得ないという市場参加者の心理があると思う。正常な動きに変わっていくには時間が必要で、経済統計でいい材料がそろうことが必要になってくる」と話しています。
8月5日の日経平均は31,458円42銭、EPSは2,416円16銭、PERは13.02倍で、9月2日は順に38,700円87銭、2,438円62銭、15.87倍でした(終値ベース)。この間、日経平均は7,242円45銭上昇しましたが、ほとんどがPERの上昇によるものでした。急速に値を戻した日経平均ですが、やはり安定的、持続的な株高には、良好な業績見通しを反映したEPSの上昇が必要と思われます。
証券会社には今後の経済や株価の見通しなどに関する個人投資家からの問い合わせが相次ぎました。東京・中央区の証券会社にあるコールセンターには、5日に続いて6日も客からの問い合わせが相次ぎおよそ20人の社員が対応にあたっていました。過去最大の下げ幅となった5日は、株の売り注文が相次ぎましたが、6日は買い注文に加えて、上昇した今のうちに株を売るべきかどうかを尋ねる問い合わせが多かったということです。岩井コスモ証券東京コールセンターの本間大樹センター長は「この2日間で株価が大幅に変動したことで個人投資家の不安や戸惑いが強くなっていると感じる。NISAの拡充でことしから投資を始めた人も多いので、中長期的な視点をもって冷静に対応するよう伝えている」と話していました。
最近の株価の動きについて、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「5日は、アメリカの景気の先行きへの不安、ハイテク株の下落、円高という3つの要因でパニック相場の様相だったが、5日夜に発表されたアメリカの経済指標が予想より良かったことで、アメリカの景気はそこまで悪くないという安心感が出て、大幅な上昇につながった」と分析しています。今後、株価を左右しそうなポイントについては、アメリカで今後発表される経済指標と、FRBなど金融当局者の発言だとした上で「来週は消費者物価指数などが発表されるが、結果が市場の予想よりも良ければ、アメリカの景気の先行きへの不安が後退してアメリカの長期金利が上昇方向になり、為替は円安ドル高、日本株は上昇という流れも期待できる」と述べました。その上で株価の見通しについて「日経平均株価はことし、4万円を超えるなどしてこれまでの上昇トレンドからかなり上振れしていたが、行き過ぎた上昇が調整されて元のトレンドに戻ったという程度で、過度に悲観する必要はない。日本経済は消費が少し弱い状態だが、けさ発表された実質賃金は久しぶりに前年比でプラスになっていて、今後もしっかりプラスになっていけば、デフレ脱却や消費回復の期待が高まるので、株価にとってかなり強い材料になる。国内で賃金・物価が上がり、資本効率の改善など企業の意識もかなり変わってきているので、相場が少し落ち着けば、こうした日本市場の変化を海外投資家などが再評価するのではないか」と指摘しています。
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