欧米市場オープニングコメント
「ドル・円は伸び悩みか、米雇用関連統計が低調ならドル売り」
1日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想する。前日までの円急伸の反動で、円売りが主要通貨を押し上げる見通し。ただ、米雇用情勢が注目されるなか、JOLTS求人件数が減少すればドル売り要因となりそうだ。
9月30日発表されたドイツの消費者信頼感指数(CPI)は顕著に鈍化し、欧州中銀(ECB)の追加利下げ観測からユーロ売りが先行。また、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は前日の講演で緩和的な金融政策に前向きながらも、利下げを急ぐ状況にないと発言。ユーロ・ドルは1.1110ドル台に軟化し、ドル・円は144円に接近した。本日アジア市場で日本株高による円売りで、ドル・円は144円台に浮上した。この後の海外市場は日米金融政策にらみ。石破茂自民党新総裁が臨時国会で首班指名され、日銀の金融正常化が意識されやすい。ただ、早期利上げ期待は一服し、前週末からの円買いが逆流しドルを押し上げる。一方、今晩の米ISM製造業景況感指数は50を下回るものの、前回から改善すれば軟着陸期待のドル買いが先行。半面、JOLTS求人件数は減少が予想され、目先の雇用情勢が注目されるなか一段のドル買いを抑えそうだ。
通貨別分析
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ドル上昇はショートポジションの「買い戻しによるものだ」と述べた
外国為替市場ではドルが方向感の定まらない展開となった。雇用統計を受けた市場では、9月FOMC会合でどの程度の利下げが行われるかについて見解が割れている。
円も不安定な値動きとなった。雇用統計発表前には1ドル=143円台前半で推移していたが、発表直後には142円01銭まで上昇。その後、143円台後半まで下げる場面もあったが、再び買いが優勢になると141円78銭を付けた。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のアナリストは、対円でドルをショートにすることを推奨している。リー・ハードマン、アブドゥルアハド・ロックハート両氏は「FOMCが早ければ今月に0.5ポイントの大幅利下げを決定して緩和サイクルをスタートさせると決まったわけではないが、最近の弱い雇用の伸びは、大幅利下げが必要になるのは時間の問題だという当社の見方を裏付けている」とリポートで説明した。
アトランタ連銀の賃金トラッカーの前年比上昇率は3月に4.7%と、ピークだった22年8月の6.7%から大幅に低下した。4月から大手ファストフード店従業員の最低賃金を20ドル(3000円相当)まで25%引き上げたカリフォルニア州では、賃上げコストを価格に転嫁しきれないとして雇用を絞るチェーンも出た。
エリック・リー氏らシティグループのアナリストは「OPECプラスによる減産巻き戻しの先送りや、地政学的情勢、ポジショニングがブレント原油の価格を1バレル=70-72ドルで支えている」とリポートで分析。その上で「2025年にはかなりの供給超過が表面化し、60ドル前後に下落する」と予想した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物10月限は、前日比1.48ドル(2.1%)安の1バレル=67.67ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は2.2%下げて71.06ドルで引けた。
「雇用統計前に市場はドルのショートに傾き過ぎていた」と、 ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのブラッド・ベクテル氏は指摘。ドル上昇はショートポジションの「買い戻しによるものだ」と述べた。
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