メニュー減らすサイゼ 目指す業態
サイゼリヤは、その性質上、ロイヤルホストのような高価格帯は目指せない。だからこそ、必然的にガスト的な「低価格路線」でターゲットを絞っていく方向を選んだのだろう。そうして、必然的にファストフードに近づいていく。
その意味では、このメニュー数の削減と「コーディネーションの思想」をどのように両立させていくのかが、「ファストカジュアル化」の1つのポイントになる。
ただ、ファストフードに寄っていくと、失われるものもある。サイゼリヤが、ファストカジュアル化に向けた取り組みとしてメニュー数の削減を行っていることは述べた通りだ。2023年には、秋のメニュー改定に合わせ、通常メニュー141品目が101品目に減らされた。かなりの削減だ。
確かに「サイゼ飲み」という言葉が表すように、ワインとおつまみをそれぞれが好きなように合わせて食べることができる、そのバリエーションの豊富さがサイゼの1つの面白さでもあるだろう。また、サイゼは低価格路線なのに客単価が高いことも特徴で、その要因の1つもこうしたメニューの「コーディネーション」にあるだろう。
そんな中、ファミレス内でも、いろいろな動きが出てきている。価格やメニューを変更しながら、よりターゲットを狭めていく動きが見られるのだ。
このような歴史を考えると、同社にとって、サイゼリヤで「ファストカジュアル」業態を目指すのは、「伊麺処」などが果たせなかった出店戦略の一部を行うことにつながるのかもしれない。その意味でも「ファストカジュアル化」はあらゆる点でサイゼリヤに強みをもたらしている。
そんなサイゼだが、中期的な計画として、国内2000店舗を目指すという。2023年8月期の情報によれば国内1055店舗だから、かなり意欲的な見通しである。
■サイゼが「ファミレス」からの脱皮を目指す? 「サイゼ」は「ファミリーレストラン」でなくなるかもしれないーー。ファミリーレストラン大手の「サイゼリヤ」が発表した2024年8月期第3四半期決算によれば、国内事業は売上高が1061億8200万円で、13億4400万円の営業利益。前年同期は15億7700万円の営業損失だったので、大幅な収益改善が行われたことになる。
例えば、すかいらーくグループのガスト。2023年にグランドメニューを改定しているが、ここでは「アルコールの全品値下げ」等を打ち出している。コロナ禍以後に復活してきた「ちょい飲み」需要を拡充させ、結果的には客単価の増加を狙う意図も見えるが、ただでさえ円安が急激に進行し、物価高が進む現在において「値下げ」に踏み切っている。
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