15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場序盤の安値148.85円から149.54円付近まで下げ幅を縮めたものの、日米株価指数の下落で戻りも限定的だった。ユーロドルは米長期金利の低下で一時1.0917ドルまで強含んだものの、欧米株価の下落に伴うリスク・オフのユーロ売り・ドル買いで1.0882ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、安達日銀審議委員の発言を見極めつつ、下落が予想される日経平均株価や本邦通貨当局の円安牽制(口先介入や円買い介入)への警戒感から上値が重い展開が予想される。
ニューヨーク株式市場は、バイデン米政権が米半導体メーカー製造の人工知能(AI)向け先端半導体の各国ごとの販売規制を検討との報道やASMLホールディングスの株価急落により下落している。本日の東京株式市場も下落することが見込まれ、米10年債利回りが低下していることもあり、ドル円は上値が重い展開が予想される。
10時30分から発言が予定されているリフレ派の安達日銀審議委員は、かつて、ハト派的な見解として、「経済の回復機運に水を差すような拙速な利上げは絶対に避けなければならない」と述べつつ、タカ派的な見解として「円安で物価再上昇なら、利上げペース早める必要」とも述べていた。
安達日銀審議委員は、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利解除を含む大規模金融緩和の枠組み見直しに賛成票を投じ、7月の金融政策決定会合では、政策金利の0.25%までの引き上げに賛成票を投じていた。
本日は、「経済と物価が見通しに沿って進めば利上げに動く方針」という日銀の基本スタンスを軸に、安達日銀審議委員の見解を見極めることになる。
中東情勢に関しては、米ワシントン・ポスト紙は、「ネタニヤフ・イスラエル首相がホワイトハウスに対して、標的は軍事施設のみに限定すると確約した」と報道していた。
しかし、昨日は、イスラエル首相府が、「イランによるミサイル攻撃への報復計画については米政府の意見を考慮に入れるが、最終決定は国益に基づいて下す」と表明した。
イスラエルの国益は、イスラエルの抹殺を目論むイランの核兵器保有を阻止することであり、トランプ前大統領が煽っているイランの核施設への攻撃という「オクトーバー・サプライズ」への予断を許さない状況が続いている。
また、衆院選の争点が物価高対策となっていることで、石破政権は、輸入物価上昇の要因となる円安の抑制を徹底すると思われるため、本邦通貨当局による円安阻止の可能性には引き続き警戒しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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