◆ドル円、底堅い動きも衆院選期間中の当局の円安牽制に注意
◆米指標で11月FOMCでの米金融政策を見極め
◆ユーロドル、ユーロ圏10月製造業・サービス業PMI速報値に注目
予想レンジ
ドル円 147.00-152.00円
ユーロドル 1.0600-1.0950ドル
10月21日週の展望
ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の年内大幅利下げ観測の後退と日銀の早期利上げ観測の後退から、引き続き底堅い地合いが予想される。ただ、27日投開票の衆院選の争点が物価高対策となっていることもあり、本邦通貨当局による円安抑制や、三村財務官にとってのデビュー戦となるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。三村財務官は、149円台の為替市場に対して「投機的な動きを含めて為替市場の動向を注視する」と述べており、神田内閣官房参与(前財務官)も「為替市場、引き続き高い緊張感持って警戒続けていく」と警告している。日本国内では、23日に植田日銀総裁の講演が予定されているが、衆院選の最中でもあるため、金融政策に関する言及は控えられると思われる。また、25日に発表される10月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は、10月全国CPIの先行指標となるため、日本の物価情勢を見極める上で重要視されるだろう。米国の経済指標では、9月景気先行指数や耐久財受注、そして11月のFOMCでの判断材料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)などで、政策金利据え置きの可能性を見極めることになりそうだ。
また、イスラエルによるイランの石油関連、核開発関連施設への報復攻撃の可能性には、引き続き警戒しておきたい。バイデン米政権は、石油や核関連施設への攻撃を自制するように求めたが、イスラエル首相府は「イランによるミサイル攻撃への報復計画については米政府の意見を考慮に入れるが、最終決定は国益に基づいて下す」と表明しており、一部では「イスラエルの攻撃はイランの軍事施設になる」ことが報じられてはいるものの、予断を許さない状況が続いている。米国防総省はイスラエルの防空態勢を支援するため、米軍の終末高高度防衛(THAAD)ミサイル部隊約100人を駐留させると発表した。イランが反撃した場合、米軍も攻撃を受けてイスラエルとイランの戦争に巻き込まれることになる。有事のドル買いではなく、湾岸戦争時のようなドル売りになる可能性もあるだろう。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会で追加利下げが決定されたが、12月理事会でも追加利下げの可能性が高まっている。10月のユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値を見極めることになる。ラガルドECB総裁はECB理事会後の会見で、「経済成長のリスクは依然として下方に傾いている。最新のデータは、一段の成長鈍化を示唆している」と景況感の悪化を警戒している。
10月14日週の回顧
ドル円は、好調な米9月小売売上高などを受けて、米金利が上昇。週末にかけては一時150.32円まで買われている。ユーロドルは、ECB利下げ後も総裁発言や追加利下げへの思惑から下落幅を拡大。一時1.0811ドルまで売り込まれた。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通しは予告なく変更されることがあります
今日は、9月の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。9月は製造業の活動が8月の47.9 から48.6へ改善する見通しにある。
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このAIが作成した2024年度の世界の地政学、経済、政治動向に関する悲観シナリオを改めて読み込ませたうえで、「悲観シナリオにもとづき024年6月末、9月末、12月末のドル円レートを予測してください」と指示したところ、AIは、前提条件として世界的に政治的緊張が高まること、経済的不安定性が増大すること、地政学的リスクが増大することという3点を挙げたうえで、2024年6月末185円、2024年9月末210円、2024年12月末230円という予測を算出した。これらの予測値は、世界経済の先行き不透明感、日米金利差の拡大、世界的なリスク回避、日本経済の悪化、地政学的リスクの高まりといった要因が組み合わさることで円売り・ドル買いが進むという見通しが背景にある(図表 5)。
しかし、アメリカはサービス業の国である。サービス部門の予想は55.3と、8月の55.7から縮小の見通しにある。このため総合指数の予想は54.7と、8月の54.6からほぼ横ばいの見通しとなっている。サービス部門が予想以上の落ち込みとなれば、総合指数の減速につながるだろう。PMI速報値の落ち込みは、市場が抱く大幅利下げの期待を高める要因となろう。このケースでは、米ドル安の展開を想定しておきたい。
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