社内で 整う サウナ導入広がる
愛知県内の企業の間でオフィスにサウナを導入する動きが広がっている。エンジニアリング会社のタマディック(実質本社名古屋市)は、名古屋市内の社屋「タマディック名古屋ビル」にフィンランド式サウナを整備。運用から3年目を迎え、これまでに延べ1700人以上が利用した。印刷関連事業の小林クリエイト(本社刈谷市)は、来年1月に稼働予定の新工場最上階にサウナを設ける。いずれも、従業員の福利厚生の一環。サウナを通じて心身を健康に保つとともに、コミュニケーションを促し、組織力の向上を図る。
加盟企業240社超を誇る「企業サウナ部アライアンス」共同代表を務める、コクヨサウナ部長の川田直樹氏は「上下関係なく、フラットにつながり合える場がサウナ。サウナで人と組織がつながる、企業同士がつながる。そうしたオフィスとサウナの融合は、今後も全国で広がるだろう」と語る。 働き方が多様化し、身体的にも精神的にも、社会的にも満たされた状態を指す「ウェルビーイング」の会社づくりが求められるなかで、手段の一つとして「オフィスサウナ」への注目も、高まっているようだ。
心身のリフレッシュが期待されるサウナが仕事にもたらす効果は絶大です。
また、取り上げた事例では企業トップがサウナ愛好家であるケースが多く、それがサウナに関心をもつ社員やクライアントとの接点になっていることも興味深かった。まさに“裸の付き合い”となるサウナ内では、上も下もない、フラットな関係性がつくりやすいのだろう。今後、働き方の多様化がさらに進めば、サウナはより存在感を発揮するはずだ。
電設資材商社の富永電機(本社名古屋市)も昨年5月、新社屋の建設を機にサウナを最上階の5階に整備した。事前予約制で、従業員が業務時間外の好きな時間を使ってサウナでくつろげる。 自身もサウナ好きの富永晃司常務は、「毎月第1金曜日を『サウナ会』にし、コミュニケーションに生かしている。つくって良かった」と満足気。「評価はこれから。まずは浸透させたい」と、利用率を高めていきたい考えだ。 愛知県内の企業でサウナ導入の先駆けとなったのは、タマディックだ。2021年末に、サウナ発祥の地とされるフィンランドの大使認定オフィスサウナとして、約3千万円を投じてオープンした。森實敏彦社長はサウナ通で知られ、サウナ導入を検討する多くの企業から視察を受け入れている。 運用から3年目を迎え、サウナは平日の終業後などに、懇親会や女子会、体験会が開かれ従業員らでにぎわう。「狙いは、社内のコミュニケーションと健康。サウナを通じて、(人と人とが)ゆるやかにつながれる機会が増えた」と、森實社長。健康な従業員の割合「健康社員率」も年間、数パーセントほど上昇していると言い、「健康意識の醸成にも役立っているのでは」と実感する。
検討を経て同社では、もともと事業部オフィスを予定していた最上階の9階部分を、社員用サウナにあてる計画を立てている。6人用と1人用のサウナを導入し、フィットネスやヨガができるスペース、ゆったりくつろげるラウンジも用意する予定だという。サウナ構想が、新オフィスのコンセプトを実現する起爆剤となった一例だ。
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