ドル円、一時153.80円台…衆院選挙の結果を受けて円売り加速も伸び悩む
欧米時間のドル/円予想レンジ:152.600-154.600円
東京市場のドル/円は、153円台後半へ上昇する展開。27日の衆議院議員総選挙において与党が過半数を割り込んだことを受け政権運営の困難さが想起され円売りが優勢となりました。一時7月30日以来となる153.88円前後の高値を付けています。ただ、その後は伸び悩んでおり欧州市場では153.10円台まで押し戻されています。
市場の一部で、衆議院議員総選挙の結果を受けて日銀による追加利上げが遠のくとの思惑が浮上。そうしたことから円売りが優勢となっています。今夜は注目イベントが予定されておらず、衆院選の結果に対して海外勢がどのような反応を示すかに注目が集まります。また、米大統領選挙において、全米対象の各種世論調査の平均によると共和党候補のトランプ氏への支持率がわずかに上回ったことがドル高要因として見られているようです。円安・ドル高地合いが続くようだとドル/円は155円台への上昇を見据えた相場展開となる可能性があります。
ドル/円をテクニカル分析で見ると、当日のローソク足は上ヒゲが長く上値の重さが窺えます。ただ、上昇トレンド途中であるため153円台に定着すれば上値試しの展開は続きそうです。なお、153円を割り込み陰線となった場合には、開けた窓を閉める動きとなる可能性があります。つまり152.30円台への下落が考えられます。
ドル円 日足チャート
この後の経済イベント
10/28(月)
18:00 ウンシュ・ベルギー中銀総裁講演
21:00 メキシコ9月貿易収支
24:30 米2年債入札(690億ドル)
26:00 米5年債入札(700億ドル)
※☆は特に注目の材料
経済指標・イベントの結果について
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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強い雇用指標は ドル円(USD/JPY)の押し上げ要因となろう
これらの雇用指標でアメリカ労働市場の底堅さが確認される場合は、米金利と米ドルの高止まり、または上昇の要因となろう。強い雇用指標は、ドル円(USD/JPY)の押し上げ要因となろう。
今週、ドル円(USD/JPY)が下落する場合は、150円ミドルの維持が焦点となろう。
冒頭で述べた政治リスク(シナリオ1)は、円安の要因にもなり得る。この点を示唆しているのが、上のラインチャートで示したドル円(USD/JPY)の動きである。
ドル円が154円台の攻防へシフトすれば、155.00のトライが視野に入ろう。7月下旬にこの水準は、レジスタンスラインへの転換が確認されている(下のチャート、赤矢印を参照)。
ドル円(USD/JPY)は10月25日の時点で、7月11日の高値161.76と9月16日安値139.58のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準153.30レベルがレジスタンスとして意識されている(下の日足チャート、黒矢印を参照)。
分足(このレポートでは45分足を採用)のMACDで相場のトレンド、RSIで短期的な相場の過熱感を追いながら、これらの指標がデッドクロスへ転じる場合は、上で取り上げたフィボナッチ・リトレースメントの攻防を意識したい。これらテクニカルラインの攻防でMACDとRSIが一転してゴールデンクロスへ転じる場合は、ドル円の押し目買いを考えたい。
この状況で衆院選が円安の要因となるか、またはアメリカの雇用指標が米ドル高の要因となれば、ドル円は153.30レベルを突破することが予想される。円安と米ドル高が同時に発生すれば、154円台へ一気に上昇する展開を想定しておきたい。
衆院選が円高の要因となりドル円(USD/JPY)が下落しても、その動きは一過性で終わると筆者は考えている。今のドル円のトレンドは「アメリカ次第」の状況にあるからだ。この点を示唆しているのが、下のラインチャートで示した矢印である。
日本の財務省サイドから円安をけん制する発言が聞かれたことで、先週24日の市場では反落する局面が見られた。しかし、200日線がサポートラインとして意識された。また、10日線は100日線との間でゴールデンクロスへ転じている。日足のMACDが上昇トレンドにあることも考えるならば、ドル円は地合いの強い。
ドル円が150円のミドルを目指すサインとして、フィボナッチ・リトレースメント38.2%と半値戻しの攻防に注目したい。後者の半値戻し151.14の下方ブレイクは、ドル円が150円台へ下落するサインと捉えたい。
10月の第3週目以降のドル円と日本株の動向を確認すると真逆の展開となっている(下のチャート、赤ラインを参照)。円安と株安が同時に進行している状況は、「日本売り」ともいえる。
一方、今週の雇用指標、特に雇用統計が労働市場の軟化を示唆する場合は、利回りが4%台にある米債の投資妙味が増すだろう。このケースでは「米金利の低下→米ドル高の調整(ドル安)→ドル円の下落」を想定しておきたい。
上で述べたとおり、10月の第3週目から与党過半数割れの可能性についての報道が見られるようになった。歩調を合わせるようにドル円が上昇(米ドル高・円安が進行)すると同時に日本株が下落した。
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