このレポートでは、トルコリラと日本円との為替レートの動き、トルコリラの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 宇栄原宗平
X(Twitter): https://twitter.com/gaitamesk_ueha
動画でチャートを解説
動画の概要、まとめ:トルコリラ円に注目
トルコリラ/円の市場分析とこれからの見通しについて、以下にまとめました。
【現在の市場状況】
トルコリラ/円は9月の安値から切り返しの動きを見せており、4週連続で上昇トレンドを形成しています。特に、チャート上で陽線の出現が増加しており、底打ち感が出てきている状況です。
【テクニカル分析】
– 移動平均線:10日・20日線が上向き、80日線はまだ下向き
– RSIは70ラインに張り付いている状態
– 逆三尊の形状を形成し、ネックラインを突破
– 次の注目水準は4.5円レベル
– フィボナッチ戻しでは4.55円付近が次の目標
【ファンダメンタル分析】
注目すべき点:
1. 2014年以来10年ぶりに対円での下落幅が一桁になる可能性
2. 現在のスワップポイントは高水準
3. 政策金利が50%まで引き上げられ、リラ売りに歯止め
4. エルドアン大統領が金融引き締め政策を支持
5. トルコ中央銀行は「リラの急騰ではなく安定」を重視
【今後の見通し】
プラス要因:
– スワップポイントの高さが魅力
– 金融政策の安定化傾向
– インフレ鈍化の兆し
注意点:
– 急激な上昇には介入の可能性
– IMFの経済成長見通しは低下傾向(2023年5.1%→2024年3.0%→2025年2.7%)
– 実体経済の回復には時間が必要
【投資戦略のポイント】
1. 中長期での運用を検討
– スワップポイントを活用した収益確保
– 急激な値動きを避けた安定運用
2. 重要な監視項目
– CPIなどのインフレ統計
– トルコ中央銀行の金融政策
– 実体経済の回復状況
3. テクニカル面での確認
– 4.5円突破の可能性
– 各レジスタンスラインでの値動き
現状では、急激な上昇は期待しにくいものの、スワップポイントを活用した中長期運用には適した環境が整いつつあると考えられます。
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当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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トルコリラ 円今後の見通し 4週連続で上昇
一方、トルコリラ円(TRY/JPY)の反落局面では、3つのフィボナッチ・エクステンションの攻防に注目したい。
株高トレンドが崩れない限り、ドル円は150円台を回復する可能性が高まっている。ゆえにトルコリラ円は、上で述べた「4.42のブレイクアウト」を意識する局面にある。また、トルコリラ円が反落する場合は、積極的な押し目買いを考える局面にもある。
4時間足(または別の時間足)のストキャスティクスとRSIで相場の動きを追い、トルコリラ円が上で述べた3つのサポート水準をトライする局面で、これらオシレーター指標が売られ過ぎの水準にあり、かつゴールデンクロスが確認される場合は、短期の押し目買いを考えたい。
2つ目の水準が38.2%戻し「4.23」である。トルコリラ円が4.23レベルをトライする局面では、下ヒゲが示現するパターンが見られる。この状況は、4.23前後でのトルコリラ買い(円売り)の需要の強さを示唆している。
トルコリラ円(TRY/JPY)は、ドル円(USD/JPY)との相関(順相関)の関係が高い(下の相関チャートを参照)。ゆえにドル円の動きを追うことは、トルコリラ円のトレンドを予測するうえで重要である。
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