欧州の一等地に店 ユニクロの猛攻
ユニクロは、「あらゆる人の生活を豊かにする究極の普段着」という意味を込めた「LifeWear」のコンセプトを前面に押し出したブランディング戦略をさらに推進し、グローバル市場での成長を加速させる方針です。世界中で存在感を一層高めているユニクロの動きは、今後も注目されることでしょう。
株式会社ユニクロは、2024年9月13日までに全世界での店舗数が初めて2,500店舗を突破することを発表しました。2024年秋からは、欧州や北米、アジアにおいて、ブランドが掲げるコンセプト「LifeWear」のショーケースと位置付けた主要店舗20店舗以上を含め、さらなる新規出店を計画しています。ユニクロは、2024年に創業40周年を迎え、春にイタリアのローマ、英国スコットランドのエディンバラに初出店するなど、新規都市への出店を拡大中です。中国武漢では初の地域旗艦店をオープンし、世界各地でのブランディング強化を図っています。
「ガス代の節約にユニクロのヒートテックが使えるらしい」
今後の展開として、欧州市場では、新規都市と主要都市の一等地への出店に注力します。ポーランドには常設店舗を初出店し、オランダのロッテルダムにも初出店が決定。イタリアのローマには2号店を開店予定で、ロンドンのキングス・クロス・セントパンクラス駅周辺の再開発エリアにも新店舗のオープンが決まりました。デンマークのコペンハーゲン、オランダのアムステルダムにもそれぞれ2号店を含む6店舗の新規出店が計画されています。
アジアでは今秋、韓国・ソウルのロッテワールドモールに同国でブランド最大となる店舗を開くほか、タイ・バンコクでは、群馬・前橋の「ユニクロ 前橋南インター店」を原形とする、“新しいロードサイド店”を出店する。日本では新宿中心部への出店に加え、主要5店の開業を予定する。
“ラウンドミニショルダーバッグ”が英国人女性のTikTok投稿をきっかけに大ヒットするといったことが追い風となり、この1〜2年、欧米、特に欧州でブランド認知が拡大、新客獲得が進んでいる。今秋には「ユニクロ:シー(UNIQLO:C)」を23年秋から手掛けてきたクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)が「ユニクロ」全体のクリエイティブ・ディレクターにも就任。「ユニクロ」元来の強みである機能性や単品力に加え、クレアが得意とするスタイリング提案で、ファッションの本丸である欧州の消費者にさらにアピールを強める。
ファーストリテイリングの「ユニクロ」欧州事業が、新たな局面を迎えている。これまでは母国市場の日本、海外最大の売り上げを出すグレーターチャイナ(中国・香港・台湾)が業績を牽引する一方、欧州と北米は長年にわたり売り上げが伸び悩み、赤字が続いていた。だが、前2022年8月期に欧州と北米それぞれが営業黒字に浮上。好調のアジアに次ぐ収益柱になりつつある。
白い石造りの建物が並ぶ大通りを、赤い2階建てバスが颯爽と走っていく。道行く人々の手には、H&MやZARA、あるいはバーバリーなど高級ブランドの紙袋。ここは、イギリス・ロンドンの最も大きなショッピング街の1つ、リージェントストリートだ。日本のアパレル最大手「ユニクロ」は20年前からこの地に店を構え、ファッションの中心地である欧州市場に挑んできた。
昨年10月のファストリ決算会見。柳井正・会長兼社長は、過去最高の売上高を記録した欧州市場についてそう語った。現在、ユニクロの売上高は日本と海外を合わせて約1兆9200億円。そのうち4割強の8100億円を母国市場の日本、約3割の5400億円をグレーターチャイナが稼ぎ出す。
大台突破も通過点。そう言わんばかりの決算会見だった。 2024年8月期、連結売上収益(売上高)が初めて3兆円を突破したファーストリテイリング。ユニクロ1号店の開業から40年。感慨にふけるのかと思いきや、柳井正会長兼社長は、こう言い放った。
「服はどこから出てきたのか。ヨーロッパですよね。ユニクロの服はベーシックだが、クラシックでトラディショナル。繊細なヨーロッパ人の感性は、日本の感性とも合っている」
コメント