コメ高値 農協と卸売「奪い合い」

コメ高値 農協と卸売「奪い合い」
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コメ高値 農協と卸売 奪い合い

農林水産省のまとめによると、6月末時点のコメの民間在庫量は、前年同月比で41万トン少ない156万トンとなり、比較可能な1999年以降で最も少なかった。

農協は、原油や小麦、トウモロコシなどの先物取引は容認していて、有力な取引参加者でもある。コメだけ反対する根拠は薄弱である。農協が反対する本当の理由は、コメの価格決定権を失いたくないからだといわれている。

◆概算金 =販売委託を受けた農協が生産者へ渡す前払い金。販売を取りまとめるJA全農あきたが各農協に支払う「JA概算金」を示し、各農協がそれを基に、実際に生産者に支払う「生産者概算金」を決める。

〝減反廃止〟は安倍内閣が作ったフェイクニュースだった。農協改革も不完全なものだった。今回は、本来、行政府だけで決定できる事項に、JA農協や農林族の介入を許してしまった。

コメの相対取引価格(こめのあいたいとりひきかかく)全国農業協同組合連合会(JA全農)や農協などの出荷業者と卸売業者との間で、売買取引する際の主食用米の銘柄ごとの契約価格。農林水産省はコメ価格の代表的な指標として、各団体や取引業者からのデータを取りまとめて毎月公表している。9月分からは、その年に収穫した新米の価格に切り替わるため、注目度が高い。

反対理由として農協は、「国民の主食であるコメを投機の対象にすることは許されない」という。なるほど、と思わなくもない。原油や小麦の国際相場は、先物市場での取引を反映して乱高下することがある。主食であるコメの値段が、投機筋の思惑で大きく変動することは好ましくない。

しかし、投機資金で先物価格が2万円に上昇することは、農家にとっては良いことである。先物価格が上がり、農家が減反に参加しないでコメを作るとしよう。これで出来秋に実現した米価が下がっても、実質的に農家が受け取る米価は先物価格であって、出来秋の現物市場での米価ではない。また、4千億円の財政負担でコメを減反させ、高い価格を実現して6千億円もの消費者負担を強いる減反は、廃止したほうが、国民経済にとって利益となる。

実際にも、組織の利益を守るためには農家の利益を顧みないできたのが、JA農協である。2007年、米価が低下した。事前に、JAには、種もみの取引が活発で、過剰な作付けがあるという情報が、入っていた。そこで、JAは先手を打って、農家への仮渡し金を前年の1万2000円から7000円へと大幅に減額した。JAとしては、自分たちに販売を委託すると、7000円しか払いません、売れないコメを抱えると金利・保管料を負担しなければならなくなるので、コメは扱わないというメッセージだった。組合員が利用するために作った農協が、組合員である農家に、組合を利用するなという事実上のコメの集荷拒否を通告したのである。これは当時コメ業界で「7000円ショック」と言われた。

平成30年産米から、行政によるコメの生産数量割当てが廃止になる。いわゆるコメの生産調整(減反)の廃止である。飼料米の作付けに多額の助成金が支給されるなど強力な転作誘導策が継続されるから、厳密な減反廃止といえるかどうか見方が分かれるが、主食用米の生産に行政のタガは外れることは確かだ。

大幅な引き上げの背景には、全国的なコメ不足などがある。昨年の猛暑の影響で市場への流通量が減少したことや、コロナ禍後にインバウンド(訪日外国人客)が急増して外食需要が高まったことに加え、自然災害の相次ぐ発生を受けて各家庭が備蓄を増やしたことも影響した。

JA概算金が大幅に増額されたことに、大潟村のコメ農家の男性(50)は「農家に寄り添ってくれたと感じている。今年の水準が続けば、不作などから離農を考えていた人も続けてみようという気力が出てくるのではないか」と歓迎した。

コメの価格は現在、だれがどのように決めているのだろうか。以前、全国米穀取引・価格形成センター(米価格センター)があり、売り手である農協と買い手である卸業者との間で取引され、コメの現物相場が形成されていた。ところがコメ流通の自由化で取引数量が激減し、23年3月末、解散に追い込まれてしまった。

現在の米価は、市場の需給関係に左右されるものの、「定価」を示すなど価格決定の主導権を握っているのが、全国のコメの取扱量の約5割を握る全農である。

しかしながら、モノの価格を決める方法として、需要と供給とのバランスで決まる「市場」に代わる仕組みは、残念ながら、ない。先物市場は、カネの欲が渦巻く場である。株式市場、為替市場、原油先物市場、そしてコメ先物市場も例外ではない。「投機的取引は嫌い」という心情を私たちは抱くが、人類がこれまでに試みた他の価格決定システムと比べれば、市場取引はマシな仕組みなのである。

JA農協は、先物価格が高くなると、農家がコメを作る意欲が出て、減反に協力しなくなるとか、投機資金によってコメが投機的なマネーゲームの対象となり、価格が乱高下することは望ましくないと主張する。

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