本日のNY時間のドル円は、米雇用統計の結果で動意づくことが予想される。特に今回発表される10月分は、ハリケーン期間などが含まれるか否か微妙な調査期間であることで、予想より振れるリスクもありそうだ。もっとも、市場予想と結果に大きな隔たりがない場合は、来週5日に米大統領選挙、7日に米連邦公開市場委員(FOMC)を控えていることで、値動きが限定されることになるだろう。
上述のように本日発表される雇用統計は振れやすいことで注意が必要だ。非農業部門雇用者数は前月比で9月の25.4万人増から11.3万人増に減少すると予想されている。これは、2つの大型ハリケーン(ヘレンとミルトン)とボーイングの大規模ストライキを含めた複数のストライキが影響している。雇用統計の調査は、基準期間は通常、月の12日を含む暦週だが、企業調査とその時期を振り返ると、ハリケーンの影響は一部で懸念されているほど大きくないとの予想もある。特にミルトンが上陸したのは10月9日遅くだったため、嵐前の9日までの間に働いていた人は就労しているとカウントされていることで、市場が懸念するほど弱い結果にならないとの声もある。ミルトンの影響がどの程度指標に反映されるかが注目される。
予想と結果に隔たりがあった場合には市場は動意づくだろうが、今回の指標結果で深追いすることは危険か。
今週に入り米国からの重要な経済指標への市場の反応は、通常よりも鈍くなっている。今週は雇用統計の前哨戦とされる9月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、10月ADP全米雇用報告、前週分の米新規失業保険申請件数及び失業保険継続受給者数などが発表された。しかし、指標発表後はいずれもHFT(High Frequency Trade)がプライスをヒットすることで市場を動意づけたが、どの指標に対しても一時的な値動きで終わり、トレンドを作るほどの動きを見せられなかった。
また、雇用指標だけではなく今週注目されていた7-9月期GDP速報値や9月個人消費支出(PCE)などの指標への反応も一過性で終わっている。
市場の反応を限らせているのは、すでに来週7日の利下げが25ベーシスポイント(bp)予想で大方固まり、1週間前と比較しても25bpの利下げは先週が95%台、そして今週も96%台にとどまっているからだろう。雇用統計の結果がよほど予想よりも大きく振れない限りは、本日も大きくレンジをブレークするのは難しいか。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、昨日NY参入後の高値153.05円。その上は10月28日高値で7月の日銀政策決定会合後の高値でもある153.88円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、本日安値151.79円。その下は200日移動平均線151.54円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しハリケーンの影響で米雇用統計は振れやすく要注意
外国為替市場では、米雇用統計、ひいては米利下げ動向が円ドル相場の見通しに直結する。
5日10:11 デイリー米SF連銀総裁 「インフレは低下、景気は減速しており、FRBは金利引き下げるべき」 「9月の利下げ幅はまだわからない、雇用統計などさらなるデータが必要」 「FRBは変化する経済に合わせ政策を調整すべき」 「労働市場は軟化したが依然として健全、悪化の証拠はみられない」 「過度にタイトな政策は労働市場のさらなる軟化につながる可能性」 「米経済は転換点にあり、データは振れが大きくなる見通し」 「見通しが明確なら積極的な行動が可能だが、現在は不透明」
日銀の高田審議委員は金沢市で講演し「物価が見通しに沿って推移するもとで、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と述べ、今後も段階的に利上げを進める考えを示した。一方で、8月に株式市場や為替市場が乱高下したことについて「影響が残存するだけに、当面はその動向を注視し影響を見極める必要がある」と強調した。
5日16:18 トルコ政府 「中期経済プログラム、2025年GDP見通しは4%(前回予測4.5%)」 「2024年GDP見通しは3.5%(前回4.0%)」 「中期経済プログラム、25年末インフレ見通しは17.5%(前回15.2%)」 「24年末インフレ見通しは41.5%(前回33%)」
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
米労働市場の減速傾向は明らかながら、どこまで悪化するかの見通しが、利下げシナリオを大きく左右しています。現段階で金融当局にとって大幅利下げは、想定以上の景気の下振れの場合の選択肢という位置づけではないかと筆者はみています。
5日10:30 高田日銀審議委員 「潜在成長率を上回る成長を続けるとみている」 「最終的な国債保有残高やバランスシートをどこまで縮小するのが望ましいかを議論することは難しい」 「政策金利引き上げ後も、緩和的な金融環境はなお継続している」 「当面は株式・為替相場の動向を注視し影響を見極める必要」 「十分な時間をかけつつ、その都度、政策金利引き上げの経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら対応」 「前向きな企業行動が続けば金融緩和度合いの更なる調整が必要」 「自然利子率のピンポイントでの把握は困難」 5日14:51 「金融市場はボラティリティーが高まりやすい状況」 「利上げ判断は毎回の経済状況をみて対応するのに尽きる」 「経済物価の見通し実現なら緩和度合い調整が基本姿勢」
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