ドル円 植田総裁発言受け下落
今週初めのドル円は、衆議院選挙の結果を受けて先行き不透明感が強まる中、152円台後半でスタートしました。
週末に投開票が行われた衆議院選挙で自民・公明両党の獲得議席が過半数を下回ったことを受けて円売りドル買いが強まり、ドル円は週明けの28日(月)に153円台後半まで上昇しました。
その後152円台前半へと押し戻され、29日(火)に再び153円台後半へと上昇したものの、米9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を下回ったことを背景に失速するなど方向感を見出しにくい動きが続きました。
31日(木)には日銀が金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定し、植田日銀総裁がこれまで繰り返してきた「時間的な余裕はある」との文言を使わなかったことで追加利上げ観測が強まって、ドル円は151円台後半へと下落しました。
その後米長期金利の上昇とともに153円台を回復する場面もありましたが、1日(金)午前には一時152円を割り込んで失速するなど神経質な動きとなりました。
今週のドル円は日銀会合と植田総裁の会見を受けて一時151円台後半へと下落する展開となりました。植田総裁がこれまで繰り返してきた「時間的な余裕はある」との文言を使わなかったことで追加利上げ観測が強まり、円買いを誘いました。
来週は米大統領選やFOMCなどの重要イベントが予定されています。関税の引き上げなどを主張するトランプ氏が大統領選で勝利すればドル高につながるとの見方が強まっており、為替市場への影響を慎重に見極める必要がありそうです。
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ドル円相場10 28週振り返り 植田総裁発言受け下落
国際通貨基金(IMF)での統計でも、米ドル離れは一目瞭然です。2022年末時点で、外貨準備高の米ドルのシェアは58.4%と、1999年以降で最低でした。
NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比23.0万人増と市場予想の16.0万人増を上回った。前月の12.3万人増(18.9万人増から上方修正)を超え、28ヵ月連続で増加した。民間サービス業は19.7万人増、前月の14.0万人増(19.6万人増から下方修正)を上回った。
ドル円は10/28に記録した高値153.88をトップに反落に転じると、昨日は一時151.93まで急落しました。
米国と対立を深める各国以外でも、ドル離れが進みつつあります、インド太平洋で米国と緊密に協力するインドではカラッド財務相が3月15日、「インド準備銀行(中銀、RBI)が国内外の銀行60行、18カ国の銀行に対し、特別ルピー建てボストロ・アカウント(SRVA)の開設を承認した」と国会で報告しました。ボストロ・アカウントとは、銀行間取引で資金決済をおこなう決済口座を指します。インド国内メディア大手ファースト・ポストによれば、18カ国にはウクライナ侵攻による西側の経済制裁に直面するロシアだけでなく、ドイツや英国も含まれていました。
・米国のFed高官からは、あと1回の利上げだけでなく、複数回の利上げを支持する発言もみられた。欧州中央銀行(ECB)当局者の発言は、引き続き利上げ方向を打ち出すも、意見はまちまちで、ややタカ派が優勢といった印象。その他、日本では植田日銀総裁が政府・日銀の共同声明につき見直し不要との見方を寄せた。
FOXニュース・チャンネルの報道番組“タッカー・カールソン・トゥナイト”では4月6日、この問題を取り上げ、保守系の司会者のタッカー・カールソン氏はまず「ウクライナ戦争を受けた対ロシア制裁が米ドル離れの背景だ」と主張しました。さらに保守系のデイリ―・コーラーの記事を引用し、バイデン政権がインフレ加速で米ドルの価値を毀損しただけでなく、米ドルを武器にロシア中銀の米ドル準備高を凍結する前例を作ったと糾弾。米ドルの信用が失墜し外国人の米ドル離れを加速させ、価値を切り下げ「米国の貧困につながる」と警告しました。その上で、ウクライナ戦争を終結に導き、米債務を削減させるべきと説きます。
米労働省が5月5日に発表した米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比25.3万人増となり、市場予想の18.0万人増を上回った。2021年1月以降続くプラス圏で最小だった前月の16.5万人増(23.6万人増から下方修正)を超え、28カ月連続で増加するなか堅調な伸びを維持。2022年平均の40.1万人増は下回った。
米ドルの優位性は即座に変わることはないでしょうが、留意しておくべきは米国の金融不安です。2008年9月のリーマン・ショックに続き米銀破綻、あるいは積極的な利上げによる商業不動産ローンが発火点となる米景気後退などという事態に見舞われれば、米ドルへの信頼は一段と低下しかねません。
以上の観点から、引き続きドル円が2022年秋のようなドル円上昇トレンドに入るとは想定していない。28日の日銀金融政策決定会合で大きな変更がなかったとしても、ドル円の上値は引き続き限られよう。また、今週は27日には米1~3月期実質GDP速報値、28日には米3月PCE価格指数など重要指標の発表を予定する。さらに翌週は5月2~3日にFOMC、7日に米3月雇用統計を控え、ドル円は上下に振れやすくなりそうだ。ドル円の上値の目途はボリンジャー・バンドの2σの水準がある135.20円、下値は一目均衡表の基準線がある132.40円と見込む。
植田総裁は5月7日、岸田文雄首相と会談し、「最近の円安について日銀の政策運営上、十分注視していくことを確認した」ことを明らかにしました。翌8日の国会答弁では、「(円安の)動向次第で金融政策運営上の対応が必要になる」考えを示し、同日の読売国際経済懇話会の講演で、「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」と述べました。そのため、このところ植田総裁は円安けん制姿勢を強めたとの声も聞かれます。
(3)上記1、2を背景とした日銀による年内追加利上げ観測再燃、(4)株式市場の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、欧州勢参入後に、安値151.93まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)米新規失業保険申請件数(結果21.6万件、予想23.0万件)の良好な結果や、(6)米9月PCEコアデフレータ(結果+2.7%、予想+2.6%)の市場予想を上回る結果、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間11/1午前2時20分現在)では、152.35前後まで持ち直す動きとなっております。
チャート:ドル円の日足チャート、ボリンジャー・バンドの2σの水準で上げ渋り(白い枠が3月27日週の動き、ボリンジャー・バンドの2σは紫の枠の上限)。
中国の米ドル離れは、米国債保有高の首位を2019年10月に日本に譲ってからずっと囁かれてきましたたが、ロシアによるウクライナ侵攻によって一段と加速し始めた感があります。1月時点での米国債保有高は8,550億ドルと、前月比では過去15カ月間で14回取り崩してきました。海外勢による米国債保有高のシェアでは13.2%と、2012年の25%の半分近くへ落ち込んでいます。
チャート:ドル円の日足、20日移動平均線は黄色線、ボリンジャー・バンドの±2σは紫の枠。
今回のレポートでは、日銀の円安に対する考え方を整理します。はじめに植田和男総裁の最近の発言を振り返ると、植田総裁は4月26日、(ここまでの)円安が基調的な物価上昇率に与える影響は無視できる範囲との見解を示しました(図表1)。これを受け、為替市場ではドル高・円安が進行しましたが、その後、4月29日と5月1日に大きくドル安・円高に振れる場面がみられ、市場では為替介入が実施されたとの見方が広がりました。
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