執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年11月1日 12時10分
次回以降の日銀会合はライブ、米大統領選で乱高下
米ドル/円、153円台後半まで上昇後に失速
米ドル/円は153円台後半まで上昇後に失速。衆議院選での与党大敗で、日銀の金利正常化スピードが減速するとの思いから、週明けに米ドル/円は153.876円まで上昇幅を広げました。ただ、同水準からは政府の口先介入などで152.411円まで押し戻されました。その後、153.80円レベルまで戻してもみ合ったものの、日銀の12月追加利上げが意識されて米ドル/円は151.780円まで下げ幅を広げました。植田日銀総裁は、政策判断にあたって「時間的な余裕はある」との表現を今後は使わないとし、次回以降の会合が「ライブ」であることを示しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、PCE LIVE よりハロウィン?(2024年10月31日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
今年最大のビックイベント到来
来週は今年最大のイベントである米大統領選挙の週となります。近年まれに見る接戦で、最終的にハリス氏とトランプ氏のどちらが勝利するか見極めづらくなっています。各州の開票結果のニュースに一喜一憂して、神経質な展開が見込まれるため警戒は怠れません。これまでの市場動向を振り返れば、トランプ氏勝利を意識して、法人減税、拡張的な財政策、保護貿易主義をキーワードに株高・金利上昇・ドル高を織り込む流れが進んでいます。セル・ザ・ファクトの展開も考えられますが、マーケットの思惑通りとなれば、もう一段トランプトレードが進むと見られ、米ドル/円は瞬間風速で160円付近までの上昇があり得るかもしれません。このときは改めて、本邦の口先介入のトーンの行方も注目されます。
米大統領選挙への予想反応、黒文字は短期視点、茶色は中長期視点
逆に、ハリス氏が勝利したときは、失望から足もと構築されたポジションの巻き戻しが強まり、株安・金利低下・米ドル安の流れが強まることになり、米ドル/円は147円ないし145円付近までの下落も見ておいて損はないかもしれません。何れにしても、接戦のため結果判明までに時間がかかることになりそうで、その間、理に適わないような値動きとなるケースも想定されるなど、荒い値動きを覚悟しておく必要はありそうです。また、米FOMCでは米インフレが落ち着く中で雇用安定化を最優先に政策判断にあたる方向に舵を切ったため、取りあえず0.25%利下げを実施してくると見ています。ただ、足もとの個人消費を始めとする底堅いファンダメンタルズを受けて、12月利下げに対してどのようなメッセージを送るのか着目されます。
200日線を挟んで視線を変える必要(テクニカル分析)
米ドル/円は、相場の強弱判断に使われる200日移動平均線の上側での推移が続いており、全体的には買いが優勢の状況で、200日線付近では先ずは打診的に押し目買いを検討し、10月28日高値の153.876円を超えてくれば、160円を期待して買いポジションをさらに増やしていくような取引を考えています。ただ、200日線とローソク足の位置関係が逆転してくるようなら、目線を切り替える必要があり、今度は147円や145円トライを目指して売りを検討することになり、目先、200日線を挟んで神経質な展開が続くのではないかと、考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:147.000-157.000
11/4 週のイベント:
一言コメント
残忍な事件が日々、増えているように感じます。政争もいいのですが、こうしたことへ対処する言動も見せて欲しいものです。
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来週の為替予想 米ドル 円
図表4は、AIが予測した各シナリオにおけるドル円レートの推移と、各シナリオの発生確率を示している。AIの分析によると、最も発生確率が高いのは「現状維持シナリオ」で40%となっている。これは、短期的には急激な変化よりも緩やかな推移が予想されることを示唆している。次いで高い確率が割り当てられているのは「日米金融政策収束シナリオ」で30%である。この二つのシナリオで全体の70%を占めており、AIは比較的安定した市場環境が継続する可能性が高いと予測していると解釈できる。一方、「グローバル経済混乱シナリオ」には20%の確率が割り当てられており、世界経済の不確実性も無視できない水準で存在していることを示唆している。
来週さらに大荒れ予想のドル/円相場、円高と円安のメドは?
5月から7月までのドル/円のレンジは151.85円から161.95円。 レンジ幅は10.10円。 高値と安値の50%(中間点)は、156.90円。 現在の水準は、中間点よりも「円高」。 安値と中間点の50%は154.38円。
【記者解説】円安さらに加速の要因は?
日銀は30、31日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決める公算が大きい。7月利上げ後の金融市場の動揺を経ても、経済・物価は見通しに沿って推移しているとみる一方、米国経済はなお不透明感が大きいとの見方も強く、追加利上げのタイミングを慎重に探るとみられる。足元の円安に動きについては植田和男総裁が24日、「日本の物価にどう影響するか丹念に分析して見極めていく。時間的余裕はあると考えている」と述べた。
10/21の1.3058ドルを高値にFRB高官による大幅な追加利上げに慎重な見解が示されたことが上値を抑制、さらに米大統領選に向け「歳出増/関税引き上げ/移民制限/法人税減税」とのトランプトレードの思惑を背景に米長期金利の上昇が続いたことから10/23にかけて8/16以来の1.2907ドルへ下落。その後、ポジション調整の買戻しとともに10/25にかけて1.2998ドルへ反発したものの日足・雲の下限(1.3002ドル)が上値抵抗線として意識され1.2961ドルで取引を終えました。一方、ポンド円は10/21の194円58銭を安値に米長期金利の上昇や10/27の衆議院選挙で与党過半数割れ観測が高まり、政局先行き不透明感の「日本売り」への思惑を背景に円安が進行した10/23には7/30以来の198円44銭へ上昇。その後、本邦通貨当局による円安牽制発言から伸び悩んだものの、反落も限られ197円41銭で取引を終えました。ポンドドルは10/23に三役逆転となり日足・雲の下限(1.3002ドル)が上値抵抗線として意識され伸び悩む中、今週は主要な英経済指標の発表がないだけに米9月PCEコアデフレーターや10月雇用統計を受けてFRBの大幅利下げ観測が一段と後退すれば10/23の1.2907ドルを下回り200日移動平均線(1.2802ドル)を目指して一段と下落基調を強めるか注目されます。一方、ポンド円は日足・転換線(196円07銭)を下値支持線として10/23の198円44銭を上抜け、7/30以来の199円台へ一段高となるか、衆議院選挙の結果を受けた日本の政局不透明感や米インフレ指標を受けてドル円が155円台を目指して円安が加速するか合わせて注目されます。
A.日本政府・日銀がドル売り円買いの市場介入に踏み切るかどうかです。ここニューヨークではいまの円安の水準は投機筋などが円売りをしかけていると見られていて、日銀の会合の結果が発表される前は1ドル=155円台半ば程度だった円相場は3円近くも値下がりしました。市場介入への警戒感はこれまでになく高まっていますが、介入を行って一時的に円高に振れても、日米の金利差が根本的な要因となっている以上、円安の流れを変えられるかは不透明です。また、来週にはFRBのパウエル議長が金融政策を決める会合のあと、記者会見を開きます。パウエル議長が利下げの時期が遅れることを示唆する発言をすれば、円安がさらに進む可能性もあります。日本政府と日銀の動向を含め、市場は緊張した状態が続きそうです。
これらのシナリオは、現在の経済状況を踏まえた妥当なものであり、特に日米金融政策の動向がドル円相場に与える影響を重視している点は適切と考えられる。ただし、各シナリオにおける価格予測の幅がやや狭い印象があり、実際の市場ではより大きな変動が起こる可能性も考慮すべきだろう。
さらに、AIに対して「想定外の複数のシナリオを前提に、2024年9月末、12月末、2024年3月末のドル円価格を予測してください。またその根拠も教えてください」と指示をした。AIは前提条件として「これらは通常では考えにくい状況ですが、金融市場に大きな影響を与える可能性のあるシナリオです」としたうえで、日本の急激な金融政策転換、米国経済の急激な悪化、地政学的ショック、技術革新による経済構造の激変の4つのシナリオを挙げ、2024年9月末、12月末、2025年3月末の価格予測と根拠を示した(図表3)。これらのシナリオは確かに「想定外」の要素を含んでおり、市場に大きな影響を与える可能性がある事象を適切に捉えている。特に、技術革新による経済構造の激変というシナリオは、近年のAI技術の急速な発展を考慮すると非常に興味深い。ただし、これらの想定外シナリオにおける価格予測は、その性質上非常に不確実性が高いため、具体的な数値よりも、各シナリオが市場にもたらす可能性のある影響の方向性や大きさに注目すべきである。
10/21の1.0872ドルを高値にFRB高官が利下げに慎重なスタンスを表明したのに対し、タカ派とされるECB 高官が12月の追加利下げに前向きな考えを示すなど欧米金利差拡大の思惑とともに10/22にかけて1.0793?へ下落。さらに、米大統領選でトランプ候補が勝利すればインフレが再燃するとの思惑を背景に米長期金利の上昇を背景に10/23には7/3以来の1.0761ドルまで下落。その後、ポジション調整の買戻しやドイツ10月製造業/サービスPMIが市場予想を上回ったことから10/25に1.0839ドルへ反発したものの、ラガルドECB総裁のハト派寄り発言を受けて1.0793ドルへ反落し1.0796ドルで取引を終えました。一方、ユーロ円は10/21の162円02銭を安値に米長期金利の上昇に加え、衆議院選挙を巡る与党過半数割れの可能性を背景にした「日本売り」の円安進行とともに10/23に165円02銭へ上伸。ただ、本邦通貨当局による円安牽制発言を受けてドル円が伸び悩んだことから163円台後半へ反落し、164円43銭で取引を終えました。ユーロドルは日足・転換線や200日移動平均線(1.0839ドル/1.0870ドル)が上値抵抗線として意識される中、米9月PCEコアデフレーターや米10月雇用統計を受けてFRBの11月利下げ見送り観測が高まれば、あらためて欧米金利差が意識され10/23の1.0761ドルを下抜け、6/26の1.0666ドルを目指して一段安となるか注目。また、先週ドイツ連銀が公表した月報で10-12月期の経済活動が停滞するとの見通しを示していることから反発のきっかけを見出しにくいだけに戻り売り優勢の展開が予想されます。また、ユーロ円は200日移動平均線(164円54銭)が上値抵抗線として意識されるほか、今週は日々低下基調にある日足・雲の上限に沿って伸び悩む可能性があります。そのため、対ドルでの動向はもちろん、米経済指標の結果を受けてドル円を中心に円安が一段と加速するか、あるいは27日投開票の衆議院選挙の結果を受けて日経平均株価が予想以上の調整を強いされる結果となり、リスク回避の円買いにつながるか合わせて注目されます。
本節では、最新のAI技術を活用し、ドル円相場の将来予測を行う。まず、1996年10月から2024年6月末のドル円データをAIに読み込ませ、「情報を分析し、洞察してください」と指示したところ、AIは読み込ませたデータが1996年10月28日から2024年6月30日までのドル円レートの週次データであることを認識し、長期トレンド、主要な変動期、変動幅、近年の傾向、周期性、ボラティリティごとに洞察を加えた(図表1)。AIによる分析結果をみると、1996年10月から2024年6月までのドル円データについて、それぞれの観点から詳細に分析されている。これは人間のアナリストによる分析と比較しても遜色なく、むしろより客観的で包括的な視点を提供しているといえる。特に、データの周期性やボラティリティの変化に関する指摘は興味深く、為替市場の構造的な変化を示唆している可能性がある。
A.最大の要因は、日銀がただちに円安に歯止めをかけるつもりが無さそう、と市場が受け止めたことです。会合の前は日銀が円安への対策を示すのではないかという見方が市場にはありました。それだけに、植田総裁の会合の後の発言は為替の動きを、今は“傍観している”とも捉えられ、東京市場に続きニューヨーク市場でも円売りがさらに加速した形です。さらに、アメリカのインフレのしつこさを示す指標の発表もあり円安に拍車がかかりました。
26日のニューヨーク外国為替市場では日銀の金融政策決定会合の結果などを受けて円安が一段と加速し、円相場は1ドル=158円台まで値下がりしました。1990年5月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準となりました。
次に、AIに対して「想定内の複数のシナリオを前提に、2024年9月末、12月末、2025年3月末のドル円価格を予測してください。またその根拠も教えてください」と指示したところ、AIは留意点として「これらの予測は、現時点での情報と過去のトレンドに基づいています。実際の為替レートは、予期せぬ経済イベントや政策変更によって大きく変動する可能性があります」としたうえで、現状維持シナリオ、日米金融政策収束シナリオ、グローバル経済混乱シナリオの3つを挙げ、2024年9月末、12月末、2025年3月末の価格予測と根拠を示した(図表2)。
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